中国のNANDフラッシュ大手、YMTC（長江存儲）のSSDブランド「ZhiTai（致態）」が、一部で流布された「生産ライン一時閉鎖」のデマを迅速に否定しました。原材料価格の高騰などを理由としたこの虚偽情報は、SNSを中心に一時的に大きな話題となりましたが、ZhiTaiは公式声明を通じてこれが悪意のある偽造であることを明確にしました。この記事では、拡散されたデマの内容と、ZhiTaiが指摘する「偽情報」の具体的な誤りについて詳しく解説し、中国テック企業が直面する情報戦の一端をお届けします。
YMTC傘下「ZhiTai」の生産ライン閉鎖デマが拡散
2023年11月下旬、インターネット上で「長江存儲業務調整告知信（YMTC事業調整通知書）」と題するスクリーンショットが突如として拡散されました。この通知書は、原材料価格の高騰とグローバルなストレージ原材料の制約を理由に、YMTCが展開するSSDブランドZhiTaiの「致鈦Ti600、致鈦SSD、致鈦TiPlus7100sシリーズの生産ラインを一時的に約30日間閉鎖・調整する」と主張していました。YMTCは世界的に重要なNANDフラッシュメモリーメーカーであるため、この情報は瞬く間にストレージ市場関係者の間で大きな懸念と議論を巻き起こしました。
ZhiTai、迅速にデマを否定し「悪意ある偽造」と発表
このような状況に対し、ZhiTaiブランドは同日の夜には迅速に公式声明を発表し、拡散された情報が虚偽であることを厳正に表明しました。ZhiTaiの声明では、流布されたスクリーンショットは「悪意を持って偽造された」ものであり、YMTCおよびZhiTaiブランドがこの情報を発表したことは一切ないため、「信じず、拡散しないでほしい」と強く呼びかけています。
デマの「不自然な点」が明らかに
ZhiTaiは、この流布された「通知書」を詳しく分析することで、その信憑性の低さを指摘しています。具体的には、以下のような明らかな誤りが確認されました。
ブランド名の誤記
公式ブランド名である「致態（ZhiTai）」が、誤って「致鈦」と表記されていました。YMTCは2021年にはすでに「致態」を公式ブランド名として使用しており、公式発表でこのような初歩的な誤字が発生することは考えられません。
SSD製品の不自然な表記
通知書に挙げられている「Ti600」や「TiPlus7100s」シリーズは、それ自体がSSD製品です。しかし、これらの名称の間に「致鈦SSD」と単独で書かれている点は、情報の重複であり不自然です。
新製品発表直後の生産停止は非現実的
特に、ZhiTai TiPlus7100sは今年11月に発表されたばかりの最新製品です。発表直後に生産が一時停止されるというのは、市場戦略や事業計画上、全く常識に反する動きと言えます。
まとめ：信頼性のある情報が不可欠な時代
今回のYMTC傘下ZhiTaiを巡るデマ騒動は、サプライチェーンの不安定さや国際情勢の緊張が高まる中で、いかに不確実な情報が市場に混乱をもたらすかを示す一例となりました。特に、世界経済に大きな影響を与える中国のハイテク企業に関する情報は、常に注目を集めます。ZhiTaiの迅速なデマ否定と、その根拠となる明らかな誤謬の指摘は、企業が情報戦に晒される現代において、いかに正確な情報発信と対応が重要であるかを物語っています。
NANDフラッシュ市場はグローバルなサプライチェーンの一部であり、YMTCのような主要プレイヤーの動向は日本の半導体業界にも間接的に影響を与えます。今回のデマによって、実際にSSDの供給や価格に影響が出ることはありませんでしたが、今後も中国テック企業の公式発表や信頼できる情報源からのニュースに注視していく必要があるでしょう。
元記事: mydrivers
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