中国テック界の巨人アリババグループが、最新四半期(2026会計年度第2四半期にあたる2025年7月〜9月期)の決算を発表し、市場予想を大きく上回る好業績を記録しました。売上高は2,477億9,500万元に達し、一部事業剥離の影響を除くと、前年同期比15%増という堅調な成長を見せています。この成長を牽引しているのは、主にAIとクラウドコンピューティング、そして大消費という二つの戦略分野への継続的な投資です。
中でも、アリババクラウドの四半期売上高は前年同期比34%増と過去最高を更新。また、大消費プラットフォームの相乗効果も顕著で、即時小売事業がタオバオアプリの月間アクティブユーザー数を急速に増加させています。アリババグループの呉泳銘CEOは、AI技術インフラの構築と、Eコマース・生活サービスが融合した大消費プラットフォームの構築に注力していると述べました。AIと消費という双方向の成長戦略で、アリババがどのような未来を描いているのか、詳しく見ていきましょう。
AIとクラウドが成長を牽引
アリババの成長戦略の中核をなすAIとクラウドコンピューティングは、今期も力強い成長を維持しています。特にクラウドインテリジェンス事業グループは、旺盛なAI需要を背景に売上高を加速させました。AI関連製品の売上高は9四半期連続で三桁成長を達成しており、その勢いは止まりません。
最先端AI技術と市場での優位性
アリババクラウドは、「云栖大会(コンピューティングカンファレンス)」で、AI基盤モデル、高性能インフラ、開発フレームワークを網羅するフルスタックアップグレードソリューションを発表しました。同社のAIモデル群は言語、音声、視覚、マルチモーダル、コードなどの分野で「7連発」を達成。フラッグシップモデルである「通義千問(Qwen3-Max)」は、コードによる実問題解決やスマートツール呼び出しの専門テストで世界トップクラスの評価を得ています。
このフルスタックの技術力を背景に、アリババクラウドは中国のAIクラウド市場で圧倒的な地位を築いており、2025年上半期の市場シェアは35.8%に達し、2位から4位までの合計を上回っています。最近ではNBA、万豪(マリオット)、中国銀聯といった大手企業とのAI協業も実現し、企業向け(AI to B)市場での拡大を加速させています。
消費者向けAIアプリも好調
企業向け市場の拡大と同時に、アリババは消費者向け(AI to C)AI分野でも飛躍的な進歩を遂げています。アリババのAIチャットアプリ「千問App」は、リリースからわずか1週間でダウンロード数が1,000万を突破。将来的にはEコマース、地図、地域生活サービスといったアリババのエコシステムに深く統合される予定です。これにより、アリババはAI to BとAI to Cの両分野で強力な成長エンジンを確立する「双方向推進」の戦略を展開しています。
大消費プラットフォームの相乗効果
アリババの大消費(広範な消費者向けサービス)事業も、AIと連動しながらさらなる相乗効果を発揮しています。
Eコマースと即時小売の成長
今四半期は、Eコマース顧客管理収入が前年同期比10%増、即時小売事業の収入はなんと60%増を記録しました。特に即時小売では、9月以降、単位経済性(顧客一人あたりの収益性)が顕著に改善し、ユーザー維持率と平均注文単価がともに上昇しています。
10月31日現在、約3,500のTmallブランドが即時小売ネットワークに接続しており、その効果は「独身の日(11月11日)」期間中にも現れました。タオバオアプリの消費者数は前年同期比で二桁増となり、約600ブランドの流通取引総額(GMV)が1億元を突破。Tmallブランドの即時小売の1日平均注文数は、9月と比較して198%増という驚異的な伸びを見せています。
多様なサービスと効率性向上
地図サービス「高徳地図(AutoNavi)」も革新的なサービスモデルを通じて、国民的アプリケーションとしての地位を盤石にしています。9月にリリースされた「高徳スキャンストリートランキング」は、ユーザー行動と信用に基づいたオフラインサービス評価システムを構築し、10月1日のデイリーアクティブユーザー数は3.6億人を突破し、過去最高を記録しました。
さらに、ユーホーエンターテイメント、高徳、アリババヘルスなど、アリババグループの多角的な事業もそれぞれ収益を伸ばし、グループ全体の経営効率が持続的に向上していることを示しています。
まとめ
今回の決算報告は、アリババグループがAIと大消費という二大戦略分野への積極的な投資を通じて、持続的な成長を実現していることを明確に示しました。特に、AIクラウドの圧倒的な成長と、それがEコマースや生活サービスと融合することで生まれる相乗効果は、アリババの未来を力強く牽引するでしょう。
「AI to B」と「AI to C」の両輪で技術革新と市場拡大を同時に進めるアリババの戦略は、中国国内のデジタル経済の進化を加速させるだけでなく、日本を含む世界のテック企業にとっても重要な示唆を与えています。即時小売の急成長や消費者向けAIアプリの普及は、今後の消費行動や物流、そしてビジネスモデルのあり方を大きく変える可能性を秘めており、その動向から目が離せません。
元記事: pcd
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