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中国、低空経済からAIまで!地方政府主導ファンドが続々設立

drone city humanoid robot - 中国、低空経済からAIまで!地方政府主導ファンドが続々設立

中国各地で、新興産業の育成を目指す政府系投資ファンドの設立が活発化しています。空飛ぶクルマやドローンで構成される「低空経済」から、AIロボット開発に不可欠な「具身智能(エンボディドAI)」、さらには農業や新エネルギー分野に至るまで、多様な分野に巨額の資金が投入されています。浙江省の低空経済ファンドの登録完了を皮切りに、武漢のスタートアップ支援ファンド、北京の農業・新エネルギーファンド、そして湖州の具身智能ファンドなど、総額数十億元規模の投資が、中国の産業構造転換を加速させる動きが顕著です。本記事では、これらの最新動向を日本の読者向けに詳しく解説します。

中国各地で進む産業育成投資の最前線

中国では、国家戦略として掲げる産業高度化のため、各地方政府が積極的にファンドを設立し、特定の産業分野への投資を加速させています。これは、単なる経済成長だけでなく、テクノロジー競争力の強化と地域経済の活性化を同時に目指すものです。

浙江省、空飛ぶクルマを支える「低空経済」ファンドを設立

浙江省では、省初の省級「低空経済産業基金」となる「浙江空港低空経済股権投資合伙企業(有限合伙)」が中国証券投資基金業協会に登録を完了しました。目標総規模は30億元(約600億円)、初回は10億元(約200億円)で、浙江省空港集団傘下の浙江空港資本控股有限公司などが共同で設立しました。

「低空経済」とは、ドローン、空飛ぶクルマ、小型航空機など低高度空域を利用する産業全般を指し、物流、観光、緊急救援など多岐にわたる応用が期待されています。浙江省は、この分野を新たな成長エンジンと位置づけ、積極的にインフラ整備と産業育成を進めています。

武漢市、10億元規模の「種子創投基金群」でスタートアップ育成を加速

湖北省武漢市の東湖ハイテク開発区は、今後3年間でイノベーション・スタートアップエコシステムを再構築する計画を発表し、その一環として10億元(約200億円)規模の「種子創投基金群」を設立しました。このファンド群は、大学や研究機関、地元企業と連携し、コンセプト検証、エンジェル投資、VC投資の3段階をカバーすることで、早期段階のプロジェクトに焦点を当てます。目標は3年間で400件以上の早期プロジェクトに投資することであり、リスクを分担する「早期・小規模投資」と「株式転換債」の仕組みも導入されています。

北京の農業・新エネルギー分野にも巨額投資

北京市順義区は、「北京農業産業投資基金二期」を含む4つのファンドを発表しました。農業産業基金二期は総規模5億元(約100億円)、存続期間10年で、科学技術農業、スマート農業、融合産業に焦点を当て、株式投資を通じて優良な農業経営体の成長を支援します。管理面では、CO-GP(共同ゼネラルパートナー)モデルを導入し、地域農業プロジェクトの誘致を強化する方針です。

また、北京市亦庄経済開発区には、「北京亦庄智造新能源創業投資基金合伙企業(有限合伙)」が登録資本金10億元(約200億円)で設立されました。このファンドは未上場企業への創業投資に特化し、新エネルギー分野のイノベーションを後押しします。中国が食料安全保障と脱炭素社会の実現を国家戦略として重視していることが、これらの投資からも読み取れます。

湖州、最先端「具身智能(エンボディドAI)」に特化

浙江省湖州市では、「湖州徳馬数科具身智能股権投資有限合伙企業」(徳馬具身智能産業基金)が中国証券投資基金業協会の登録を完了しました。総規模2億元(約40億円)のこのファンドは、「専門GP+産業LP」の協業モデルを採用。管理側(共同GP)は、豊富な株式投資経験を持つ晶英時代と、湖州の産業資源に精通する湖州創投が共同で運営します。

「具身智能(エンボディドAI)」とは、ロボットや自動運転システムのように、物理的な身体(エンボディメント)を持つAIを指します。現実世界でAIが行動し、学習する能力を高めるための研究開発に特化したファンドであり、中国が次世代AI技術の中核となる分野への投資を強化していることを示しています。

まとめ

中国各地の政府系ファンドによる投資活動は、単なる資金供給に留まらず、それぞれの地域が持つ強みや国家戦略と連動した、より高度な産業育成戦略の一環として位置づけられます。低空経済、具身智能といった先端技術分野から、食料安全保障に関わる農業、そして環境問題に対応する新エネルギーに至るまで、多岐にわたる産業への投資は、中国経済の構造転換を強力に推進するものです。

これらの動きは、単に中国国内に留まらず、世界のサプライチェーンや技術開発競争にも大きな影響を与える可能性があります。日本の企業や投資家にとっても、中国の政策動向とそれに伴う資金の流れを詳細に把握することは、今後のビジネス戦略を構築する上で不可欠となるでしょう。

元記事: pedaily

Photo by Pierre Blaché on Pexels

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