フランスの国民的俳優アラン・ドロン氏の遺産を巡る争いが、彼の死後1年が経過した今もなお泥沼化しています。報道によると、末息子のアラン=ファビアン・ドロン氏が父親の遺言の無効を求め、パリの裁判所に民事訴訟を提起したことが明らかになりました。遺言作成時、アラン・ドロン氏に十分な判断能力がなかったと主張されており、この一家の確執は、新たな局面を迎えています。
遺言無効を巡る法廷闘争が勃発
末息子の訴えと「判断能力不足」の主張
アラン・ドロン氏がこの世を去って1年、彼の家族を巡る遺産争いが表面化しました。彼の末息子である31歳のアラン=ファビアン・ドロン氏は、父親が遺言を作成した際、「十分な判断能力を欠いていた」と主張し、パリの裁判所に遺言の無効を求める民事訴訟を起こしました。彼の主張の根拠となっているのは、昨年9月に父親の主治医から得たという医療報告書です。この報告書には、アラン・ドロン氏が「固定記憶、集中力、想起、理解力において認知障害を抱えていた」と記されているとのこと。裁判所は、この訴訟の初公判を来年3月9日に開催すると決定しました。
アラン=ファビアン氏の弁護士はメディアに対し、「彼は真実を探している。父親が操られていたこと、不適切な事態が起こっていたことを証明したい」と語っており、家族間の深い不信感がうかがえます。
複雑な家族関係と遺産配分の内幕
アラン・ドロン氏の子供たち:それぞれの関係性
アラン・ドロン氏には、複数の女性との間に子供がいます。最初の妻ナタリー・ドロン氏との間には長男アントニー・ドロン氏(今年60歳)がいます。そして、オランダ人モデル・女優のロザリー・ヴァン・ブレーメン氏との間に、娘アヌーシュカ氏(1990年生まれ)と、今回の提訴者である末息子アラン=ファビアン氏(「リトル・アラン・ドロン」とも呼ばれる)がいます。ロザリー氏はアラン・ドロン氏のMV撮影で知り合い、31歳の年の差を超えて恋に落ち、自身のキャリアを放棄してまで彼と連れ添いましたが、2001年に破局しています。
また、有名な音楽家ニコ氏との間には息子クリスチャン・アーロン・ブローニュ氏がいましたが、アラン・ドロン氏からは最後まで認知されませんでした。クリスチャン氏は2023年に60歳で薬物過剰摂取により亡くなりましたが、彼の息子ハール・ブローニュ氏がDNA鑑定を求め、フランスの裁判所はこれを支持しています。今月にも関連する聴聞会が開催される予定で、もし親子関係が確定した場合、それがアラン・ドロン氏の遺言と遺産配分にどのような影響を与えるかは、現時点では不明です。
娘に集中した遺言内容と肖像権
アラン・ドロン氏の遺言は、2022年11月24日に草案が作成されました。その内容は、娘のアヌーシュカ氏に遺産の50%を、2人の息子にはそれぞれ25%ずつを配分するというものでした。さらに、彼の作品や肖像権、そして氏名権は全てアヌーシュカ氏一人に帰属するとされています。注目すべきは、これに先立つ2023年2月22日には、彼の個人ブランドや肖像権を管理する会社「ADID(Alain Delon International Distribution)」の株式51%も、すでに娘のアヌーシュカ氏に譲渡されていたことです。
しかし、末息子アラン=ファビアン氏の主張によれば、当時86歳だった父親は認知能力がすでに低下しており、そのため遺言や株式譲渡は無効であるべきだとしています。彼が入手した医療報告書に記載された認知障害は、遺言や株式譲渡が行われた時期と重なっており、これらの文書がスイスの病院滞在中に署名されたものであることを示唆しています。
晩年のアラン・ドロン氏を巡る家族の確執
アラン・ドロン氏を巡る三子女の遺産争いは、彼が存命中にすでに泥沼化していました。当初、アヌーシュカ氏、アントニー氏、アラン=ファビアン氏の三兄妹は、晩年の父親を世話していた日本人女性ヒロミ・ローリン氏(1992年にアラン・ドロン氏と知り合う)に対し、不正利用などを訴える形で一致団結していました。しかし、その後の経緯で、兄妹間の亀裂が深まり、最終的に遺産を巡る法廷闘争へと発展した形です。「父は操られた」という末息子の弁護士のコメントは、家族間の複雑な人間関係と不信感を浮き彫りにしています。
まとめ
フランス映画界のレジェンド、アラン・ドロン氏が残した華麗なるキャリアの裏側で、家族は泥沼の遺産争いを繰り広げています。末息子の提訴により遺言の有効性が問われる中、父親の認知能力が争点となり、医療報告書が重要な証拠として提出されました。さらに、認知されなかった息子のDNA鑑定が実施される可能性も浮上しており、その結果が遺産配分に新たな波紋を広げるかもしれません。
今後の裁判の行方やDNA鑑定の結果が、最終的にアラン・ドロン氏の遺産がどのように分割されるかを決定づけることになります。偉大な俳優の人生の終幕を彩る人間ドラマは、ファンだけでなく、多くの人々の関心を集め続けることでしょう。
元記事: gamersky
Photo by Diva Plavalaguna on Pexels