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中国「ネット依存症治療学校」の闇を暴く!大学生の命がけ潜入ルポ

Youth re-education camp China Internet addiction forced treatment - 中国「ネット依存症治療学校」の闇を暴く!大学生の命がけ潜入ルポ

中国で社会問題となっている「インターネット依存症治療学校」。表向きは青少年の更生を謳いながら、その裏で生徒への虐待や人権侵害が横行していると言われています。今回、大学生の高盛さんを中心としたグループが、この閉鎖的な施設の闇を暴くため、命がけの潜入取材を敢行しました。彼らはどのような手口で学校に潜入し、そこで何を目撃したのでしょうか? 中国特有の社会問題を背景に、若者たちが真実を追い求める衝撃のルポを日本の読者の皆様にお届けします。

「ネット依存症治療学校」の闇に挑む若者たち

20歳の大学生、高盛さんは、今回で3度目となる「ネット依存症治療学校」への潜入を準備していました。彼がこの問題に関心を持つようになったのは、中学生の頃に豫章書院という悪名高い更生施設のニュースを知ったのがきっかけです。さらに高校時代には、親友がそうした学校に送り込まれる経験をし、この現状に対し「何かをしなければ」と強く決意しました。

2024年に大学に進学した高盛さんは、仲間と共に「潜入行動」を開始。過去1年間で2回の潜入に成功し、学校側による生徒への虐待や強制連行の確固たる証拠を手に入れてきました。これらの学校は「隔離」と「暴力矯正」を基本方針とし、虐待のニュースは少なくありません。しかし、被害者の多くが親によって強制的に送り込まれた未成年であるため、警察への通報や証拠保全が難しく、退学後も世論に訴えることしかできないのが現状です。そのため、内部告発のための「潜入」は極めて重要な意味を持つのです。

ドキュメンタリー映画のような潜入作戦

今回の潜入作戦には、高盛さんの他に張常勇さん、王宇航さんの計3名が直接参加しました。高盛さんは「問題児」として学校に潜入し、内部の様子を録音ペンで記録します。張常勇さんは、高盛さんの「父親」を演じ、学校の勧誘員と事前に連絡を取り、高盛さんを学校へ引き渡す役割を担いました。そして王宇航さんは、勧誘員が高盛さんを「捕獲」する様子を隠しカメラで撮影し、証拠収集と万一の際の暴力沙汰への対応を担当しました。

張常勇さんは、学校の勧誘員に対し「息子(高盛さん)が早恋(早すぎる恋愛)でトラブルを起こし、相手の親が家に来て困っている」と設定を伝えます。これに対し、勧誘員は「隔離するしかない」「学業よりもまず問題を解決すべき」と、巧みに親の不安を煽り、学校への入校を促しました。さらに勧誘員は、14歳で妊娠した少女の例を出し、親の焦りを加速させます。「善意の嘘」で子供をだまし、スマホのネットワーク調査と偽って車に乗せ、そのまま学校へ連れ去る手口が常套手段だと言います。

この学校の学費は半年で39,800元(約80万円)で、食費、宿泊費、トレーニング費用が含まれます。さらに、子供を迎えに行くための費用と、5,000元(約10万円)の前金が必要で、残金は入校後3日以内に支払うことになっていました。勧誘員は、他の学校が半年12万元(約240万円)もすることや、隠れた費用が多いことを引き合いに出し、自校がいかに良心的であるかを強調していました。

外部から遮断された「矯正施設」の現実

私(筆者)は、張常勇さんの代理で「高盛さんの兄」として学校の見学に赴き、その実態を間近で確認しました。学校は県城から約20km離れた村の西南角に位置し、高壁に囲まれていました。外部から見えるのは古銅色の鉄門のみで、その奥にはさらに鉄柵の門と、「錦繍前程(輝かしい前途)」と書かれた衝立がありました。校舎は3階建ての寮で、すべての窓には防犯バーが取り付けられ、2階の寝室へ通じる階段にも鉄柵の門があります。

寮の窓から見下ろすと、校庭とバスケットボールコートは2メートルほどの高さの壁で囲まれ、その上には有刺鉄線、さらに内側へ傾斜したフェンスが設置されていました。これらはすべて、生徒の脱走を徹底的に防ぐためのものです。李教官は、生徒の1日のスケジュールを説明してくれました。朝6時に起床し、午前中は「部隊と同じ」軍事訓練。昼食後に休憩を挟み、午後は「感恩」や国学の授業、夜はニュース番組の視聴が組まれています。教官と生徒は同じ場所で食べ、同じ部屋で寝起きすると言います。

まとめ

高盛さんたちの潜入活動は、中国の「ネット依存症治療学校」という閉鎖的な空間で起きている人権侵害の実態を世に問うものです。インターネットの普及とともに、中国では若者のネット依存が深刻な社会問題となり、その解決策として、親がこうした施設に子供を送り込むケースが後を絶ちません。しかし、その多くが非科学的な方法や暴力を用いた「矯正」であり、子供たちの心身に深い傷を残しているのが現実です。今回の潜入ルポは、このような「闇ビジネス」がどのように機能し、いかに巧妙に親を欺き、子供たちを監禁しているかを浮き彫りにしました。この問題は中国固有のものかもしれませんが、子供の教育や成長における保護者の責任、そして社会が抱える問題に対する個人の向き合い方を、私たち日本社会にも問いかけています。

元記事: chuapp

Photo by Nataliya Vaitkevich on Pexels

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