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野原ひろし、中国でまさかの「覇権」アニメに!「酷評」がミーム化する怪現象を解説

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日本国民的アニメ『クレヨンしんちゃん』の頼れる大黒柱、野原ひろし。彼を主人公としたスピンオフアニメ『野原ひろし 昼メシの流儀』が、今、中国で異例のヒットを飛ばしています。しかし、その人気の裏には、日本の視聴者には想像もつかない「酷評の嵐」と、それが生み出した奇妙な「ネットミーム」文化がありました。一体、中国の若者たちは、ひろしに何を見出し、どのように楽しんでいるのでしょうか?その驚きの実態に迫ります。

中国で野原ひろしがまさかの「覇権」を握る!

日本のアニメ文化は国境を越え、中国でも絶大な人気を誇っています。特に1990年代から2000年代生まれの世代にとって、『クレヨンしんちゃん』に登場する野原ひろしは、誰もが知る国民的なキャラクターです。双葉商事第一営業部の課長として、時には頼りになり、時にはダメな父親として、多くの視聴者に愛されてきました。

そんな彼を主人公に据えたスピンオフアニメ『野原ひろし 昼メシの流儀』が、今年の10月、中国の動画配信プラットフォームで驚異的な数字を記録しました。ある大手動画サイトでは、1話あたりの再生回数が100万回を超え、コメント(中国語で「弾幕」と呼ばれる)も22万件に達するなど、日本の10月新番の中でまさに「覇権アニメ」と呼べるほどの人気ぶりを見せています。さらに、AbemaやTVerといった日本の動画プラットフォームのランキングでも上位に食い込むなど、その注目度の高さが伺えます。

「酷評」が人気を加速?歪んだ評価のミーム化

しかし、この驚異的なヒットは、決して作品自体の「質」が高く評価された結果ではありませんでした。むしろ、その真逆です。中国の視聴者からは「あまりにもひどい」「クソだ」といった酷評が相次ぎ、それこそがこのアニメの話題性を爆発的に高める要因となったのです。

「偽物」とまで揶揄されるキャラクターデザインと演出

本編の『クレヨンしんちゃん』と同じ世界観のはずが、『野原ひろし 昼メシの流儀』に登場する野原ひろしは、多くのファンにとって違和感の塊でした。原作とは似ても似つかないシャープな顔つきになり、その行動原理も本来のひろし像とはかけ離れていると指摘されています。作中では、都会のきらめく景色に「感動した」と口にしながら、表情は無表情で淡々としている場面や、美味しそうな料理を前にして恍惚とした表情が、まるで「鼻水が垂れ流れているようだ」と揶揄されるなど、過剰なデフォルメが施されています。

これらの奇妙なギャップは、元のキャラクターへの愛着が強いファンほど、「これは野原ひろしではない」「まるで自分が野原ひろしだと妄想する精神病患者だ」とまで酷評し、一種の「不気味の谷現象」を引き起こしました。結果として、この作品の野原ひろしは、本家IP(知的財産)のファンからはほとんどひろしとして認識されず、別のキャラクターに置き換えても物語が成立してしまうほど、キャラクター性が希薄であると評されています。

グルメアニメなのに「まずそう」な作画

さらに、グルメアニメであるにもかかわらず、料理の作画にも厳しい目が向けられています。主人公が「美味しい」と感嘆する美食が、どう見ても食欲をそそらない、むしろ「まずそう」に描かれている点も、視聴者の失笑を買いました。このような作画の粗さも相まって、作品は純粋な鑑賞対象というよりも、「ネタ」として消費される道具と化していったのです。

「黒い人気」が成功に導いたSNS時代のコンテンツ戦略

これらの様々な問題点が積み重なった結果、『野原ひろし 昼メシの流儀』は、作品としての評価は低いものの、その「酷さ」自体がインターネット上で大きな話題となり、ミーム化しました。SNSを通じて、その奇妙な表情や不自然な描写が拡散され、「これはこれで面白い」「逆に見てみたくなる」という「黒い人気」を獲得したのです。

アニメ制作陣も、この漫画版の「黒い人気」を意識し、意図的にその路線を踏襲した可能性があります。良い意味での人気ではなく、悪評によって視聴者の関心を引き、結果として再生回数や話題性を爆発的に向上させる。これは、現代のSNS時代におけるコンテンツ戦略の一つの形と言えるかもしれません。

まとめ

中国で社会現象を巻き起こしている『野原ひろし 昼メシの流儀』は、作品の質の高さではなく、その「酷評」や「ネタ」としての消費によって、予想外の成功を収めました。日本の国民的キャラクターである野原ひろしが、海を渡って「偽物」と揶揄されながらも「覇権アニメ」となる現象は、グローバル市場におけるコンテンツの受容や評価基準の多様性を示唆しています。

今後のコンテンツ制作において、作品の「良さ」だけでなく、「話題性」や「ミーム化」の可能性をいかに戦略的に活用するかが、新たな成功の鍵となるかもしれません。この『野原ひろし 昼メシの流儀』の事例は、日本のコンテンツが海外でどのような形で受け入れられ、進化していくのかを考える上で、非常に興味深い示唆を与えてくれるでしょう。

元記事: gamersky

Photo by Andrea Piacquadio on Pexels

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