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【え、バスが宅配便を!?】乗客ガラガラで経営難…中国の路線バスが「最強の副業」で復活し始めたワケ

路線バスが宅配便を運ぶ新時代到来

中国で路線バスを活用した宅配便配送が急速に広がっています。郑州、南京、成都などの主要都市で公共交通機関と大手宅配企業・順豊(SF Express)との協業が相次いで発表され、業界に新たな波を起こしています。背景には公共交通利用者の減少で運行効率が低下したバス会社と、配送コスト削減を目指す宅配企業の利害が一致した現状があります。この「バス+物流」モデルは、都市部の交通渋滞回避、農村部への配送網拡充、そして公共交通事業者の新たな収益源確保という三つの課題を同時に解決する可能性を秘めており、中国の物流インフラに大きな変革をもたらすと注目されています。

大手企業が続々参入する「バス配送」ブーム

中国各地で公共交通機関と宅配企業の協業が活発化しています。最近では郑州公共交通集団が順豊との協力を発表し、「公共交通+物流+エコシステム」の融合による新しいビジネスモデルの構築を目指すと発表しました。この2ヶ月間だけでも、南京公共交通集団と成都公共交通集団が相次いで順豊との協力協定を締結しています。

中国新聞週刊の調査によると、順豊は西安、武漢、蘭州などの都市でも「宅配便+公共交通」の協力モデルを展開しており、全国規模での事業拡大を進めています。

郑州では既に具体的な取り組みが始まっています。郑州公共交通の佛岡バスターミナル内の車両整備工場には、インテリジェント宅配便仕分けラインが完成しており、順豊側は路線バスを利用して大型配送センターからこのターミナルまで荷物を運び、細分化した後に配達員が各戸への配送を行う仕組みを構築しています。

郑州公共交通集団は361路線を運営し、136ヶ所のバスターミナルを保有する大規模事業者です。一方、先行事例となった南京では、今年5月から503路線「六合北駅〜鼓楼バスターミナル」で「同城快递線(市内宅配便路線)」として実際の運用が開始されています。この路線では「公共交通+宅配便」モデルで都市部と郊外を結び、六合地区の農産物が「早朝収穫、午前発送、昼食テーブルへ」という迅速配送を実現しています。

バス事業者の新たな収益源となるか

では、なぜ今このような協業が注目されているのでしょうか。宅配便事業は公共交通会社にとって新たな収益の柱となる可能性があるのでしょうか。

まず、路線バスは都市交通における主導的地位から徐々に退いているのが現状です。近年の急速な経済発展に伴い、自家用車の普及率が大幅に向上しました。多くの家庭にとって自家用車の保有は日常の移動を便利にするだけでなく、生活の利便性と快適性を大きく向上させています。同時に、地下鉄や軽軌道などの軌道交通も全国で急速に発展しており、その定時性、高効率性、迅速性によって、従来バスを利用していた多くの乗客を獲得しています。

交通運輸部のデータによると、2014年から現在まで、全国のバス乗客数は約半分まで減少しています。この数字の背景には、多くの路線バスが運行中に車内がガラガラの状態で走行している現実があり、バス輸送力の空洞化が常態となっています。

ピーク時間帯でも過去と比較して明らかな減少傾向が見られ、非ピーク時間帯のバス空席率はさらに深刻です。郊外路線や人口密度の低い地域では、元々の乗客数が少ない上に自家用車や軌道交通との競争により、バス運営は困難を極めています。このような状況下で、大量のバス車両、人的資源、関連運営コストが遊休状態となり、バス会社にとって巨大な資源の無駄と経済的圧迫となっています。

双方にメリットをもたらす協業モデル

大量の空いたバス輸送力に直面し、バス会社はこれらの資源を活用して資源の最適配置と経済効果の向上を実現する効果的な方法を模索する必要に迫られています。宅配企業との協業は、まさに時代の流れに沿った選択と言えるでしょう。

バス会社にとって、専門的な運転手、成熟した配車管理システム、都市各所に張り巡らされた路線バスネットワークという資源は、宅配輸送分野で大きな潜在価値を持っています。一方、宅配企業は急成長する事業量と上昇し続ける物流コストの圧力に直面しています。国家郵政局の最新データによると、2024年の宅配便業務量と業務収入はそれぞれ1745億件と1.4兆元を達成し、前年同期比でそれぞれ21%と13%の成長を記録しました。中国の宅配便業務量は11年連続で世界第1位を維持しています。

特に都市配送部門では、交通渋滞や車両通行規制などの問題が宅配企業を長年悩ませてきました。バス会社との協業により、宅配企業はバスの優先通行権を活用して交通渋滞時間帯や路線を回避し、配送効率を向上させ、物流コストを削減することができます。

双方の協業は相互補完を実現できます。バス会社は遊休輸送力を活用して宅配輸送業務を展開し、収入源を増加させる一方、宅配企業は配送チャネルを拡大し、サービス品質を向上させることができます。この協業モデルは双方の互恵を実現するだけでなく、都市交通圧力をある程度緩和し、重複輸送による資源浪費と環境汚染を減少させる効果も期待されています。

今後の展望:下沈市場への展開と多様化の可能性

「公共交通+物流」のビジネスモデルには、まだ十分に発掘されていない多くの可能性が存在します。物流インフラが相対的に発達していない地方都市や農村地域において、地域の公共交通資源を活用した貨物配送は、現地の物流環境を大幅に改善し、地域経済の発展を促進する可能性があります。特に宅配便サービスがまだ完全に普及していない辺境の農村地域では、バスの活用により物流配送効率を大幅に向上させることができるでしょう。

また、電子商取引の急速な発展に伴い、消費者の宅配サービスに対する需要が日々増大しており、これもバス会社に新たな事業成長の機会を提供しています。既存のバス路線を最適化したり、専用の宅配便路線を新設することで、バス会社は市場需要を満たしながら自社事業の多角化を実現することができます。

日本でも物流業界の人手不足や配送効率の向上が課題となっており、この中国の取り組みは参考になるかもしれません。公共交通機関の活用による物流網の効率化は、持続可能な社会インフラの構築という観点からも注目に値する試みと言えるでしょう。

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ソース:公交车送快递成潮流?快递会成公交公司又一赚钱门路?

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