イギリス・バーミンガムで、サッカーの試合中に駐車していた電気自動車(EV)が文字通り「解体」され、主要部品が盗まれるという衝撃的な事件が発生しました。近年、同地では「解体党(Dismantling Party)」と呼ばれる窃盗集団による同様の自動車部品盗難が頻発しており、特に試合日には自動車犯罪が急増していることが明らかになっています。愛車のEVがたった2時間の間に無残な姿に変えられた被害者の怒りと、その背景にある組織的な犯罪の実態に迫ります。この事件は、EVの普及が進む日本にとっても決して他人事ではないかもしれません。
サッカー観戦中に愛車が無残な姿に
試合終了後、目に飛び込んできた光景
事件は8月23日の土曜日、バーミンガム・シティFCのホームスタジアムであるセント・アンドルーズ・スタジアム近くで発生しました。一人のサッカーファンが義父と共に試合を観戦するため、自身のプジョーe-208電気自動車をボルタートン・ロードに駐車しました。しかし、試合が終わり車に戻った彼が目にしたのは、信じがたい光景でした。愛車は無残にも「解体」され、ボンネット、フロントバンパー、そして2つのヘッドライトが完全に持ち去られていたのです。エンジンと配線だけがむき出しに残され、車は走行不能な状態にされていました。
被害者はインタビューに対し、「警察の対応には不満はないが、抑止力が欠けている」と語り、同様の被害に遭う人々が増えている現状に強い懸念を示しました。
頻発する「解体党」の犯行と組織的背景
サッカーファンを狙う巧妙な手口
この事件はSNSで大きな反響を呼び、多くのサッカーファンが同様の被害経験を共有しました。あるファンは「自分の車も3回も壊され、部品を盗まれた」とコメントしています。公式データによると、2024年上半期において、セント・アンドルーズ・スタジアム周辺でクラブがホームゲームを開催する日には、自動車関連の犯罪件数が通常日の約2倍に跳ね上がっていることが判明しました。
専門家は、サッカーファンが狙われる理由について、「試合中は少なくとも2時間は車に戻らないことを犯人たちは知っており、車を解体するのに数分しかかからないため、絶好の標的となる」と解説しています。盗まれた部品はその後、違法な「解体工場」に流れ込み、追跡が極めて困難になるという、組織的な犯行が示唆されています。
まとめ
イギリスで頻発するこの「解体党」による自動車部品盗難事件は、単なる窃盗というよりも、組織化された犯罪の一端を露呈しています。特に電気自動車は部品が高価であるため、狙われやすいのかもしれません。短時間で車を「解体」し、部品を流通させる手口は、警察による取り締まりを困難にしています。日本でもEVの普及が進む中、このような組織的な自動車犯罪が持ち込まれる可能性もゼロではありません。駐車場のセキュリティ強化や、自動車メーカーによる部品追跡システムの導入など、多角的な対策が求められるでしょう。私たちも、見慣れない場所での駐車には細心の注意を払う必要があるかもしれません。
元記事: mydrivers
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