ハリウッドの常識を覆し、R指定ヒーロー映画として世界中で大ヒットを記録した『デッドプール』。その誕生には、知られざるドラマがありました。主演のライアン・レイノルズが、映画化を決定づけた2014年のテスト映像リークの裏に、自身の「仕掛け」があったことを遂に告白しました。映画制作会社が二の足を踏む中、彼はいかにしてこの異端のヒーローを銀幕に送り出したのでしょうか。今回は、その衝撃の真実と、デッドプールが大成功を収めるまでの軌跡を紐解きます。
デッドプール誕生の知られざる舞台裏
始まりはR指定への懐疑
物語は2012年に遡ります。ティム・ミラー監督がCGIで制作した『デッドプール』のテスト映像が作られました。この映像では、ライアン・レイノルズが「おしゃべりな傭兵」デッドプールの声を担当し、実写映画化の可能性を示唆するものでした。しかし、当時の20世紀フォックス映画の幹部たちは、過激な表現を含むR指定(年齢制限指定)のヒーロー映画には否定的で、企画は宙に浮いてしまいます。多くのハリウッド作品がファミリー層をターゲットにする中、ニッチなR指定映画への投資はリスクが高いと判断されたのです。
リークが切り開いた未来
事態が急転したのは2014年。このテスト映像が何者かによってインターネット上にリークされると、ファンたちの間で爆発的な反響を呼びました。この驚くべき熱狂が、20世紀フォックスを動かす決定打となります。ファンの圧倒的な支持を目の当たりにしたスタジオは、ついに映画制作へのゴーサインを出したのです。このリークがなければ、私たちが知る『デッドプール』は誕生しなかったかもしれません。
ライアン・レイノルズの告白と記録破りの成功
「少しズルをした」直感の勝利
先日、トロント国際映画祭でこの件について語ったライアン・レイノルズは、ついに自らがリークの「犯人」であったことを認めました。「ええ、あの時は少しズルをしました」と彼は明かしつつも、「しかし、皆が興味を持つようなポイントを掴んだと思っていました」と続けました。制作会社がデッドプールの魅力を理解せず、企画が進まなかった数年間、レイノルズは「このキャラクターに魅了され、彼がスーパーヒーロー映画の世界にいることを自覚しているという、その独特な設定が好きだった」と語っています。そして、テスト映像がその魅力と可能性を証明したにもかかわらず、スタジオが踏み切らなかったことへのもどかしさを明かしました。
リークの瞬間について、彼は「誰かがその映像をネットに流し、私は歯磨きをしながら鏡の中の自分に問いかけました。『おい、お前は何をした?これは違法かもしれないぞ!』と。しかしその24時間後には、映画の製作が正式に承認されたのです」と、当時の緊迫した状況と劇的な展開を振り返りました。これまで彼はインタビューやSNSで、リーク犯を捜索すると冗談めかして語るなど、この件についてとぼけ続けてきました。
記録破りの大成功とデッドプールユニバース
こうして制作が決定した『デッドプール』は、わずか5800万ドルの制作費にもかかわらず、全世界で7億8000万ドル以上の興行収入を記録。それまでR指定映画の最高記録を持っていた『マトリックス リローデッド』を破り、見事にその記録を更新しました。その後も、続編の『デッドプール2』、そして昨年公開された『デッドプール&ウルヴァリン』が相次いでその記録を塗り替え、現在『デッドプール&ウルヴァリン』はR指定映画史上最高の興行収入を誇る作品となっています。ライアン・レイノルズの直感と「ズル」が、ハリウッドの歴史に新たな一ページを刻んだと言えるでしょう。
まとめ: 逆境を乗り越えた異端のヒーロー
『デッドプール』の成功は、単なる興行収入の記録更新にとどまりません。クリエイターの情熱と、それに応えるファンの熱量が、ときにハリウッドの巨大な壁をも動かし、新たな可能性を切り開くことを証明しました。ライアン・レイノルズの「勇気ある行動」がなければ、私たちはこの型破りなヒーローの魅力を大スクリーンで体験することはできなかったでしょう。今後も、デッドプールの「おしゃべり」と「破天荒な活躍」が、映画界にどんなサプライズをもたらすのか、その動向から目が離せません。
元記事: gamersky
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