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「エーリックスホルム:奪われた夢」がRTTジャンルに挑む!物語性重視の新作ゲームに注目

stealth game real-time tactics - 「エーリックスホルム:奪われた夢」がRTTジャンルに挑む!物語性重視の新作ゲームに注目

リアルタイムタクティクス(RTT)ゲームの常識を覆す新作「エーリックスホルム:奪われた夢」が話題を集めています。従来の「コマンドス」シリーズやMimimi Studiosの作品が持つ自由度とは一線を画し、濃厚なストーリーとリニアなゲーム体験を追求。20世紀初頭の北欧工業港都市を舞台に、若き主人公ハンナと弟の物語が展開されます。RTTジャンルに新たな風を吹き込む本作の魅力と、その挑戦について深掘りしていきましょう。

「エーリックスホルム:奪われた夢」が描く、新たなRTTゲーム像

「エーリックスホルム:奪われた夢」(以下「エーリックスホルム」)は、多くのプレイヤーがRTTゲームに抱くイメージとは異なる体験を提供します。ゲームのプロモーション映像を見た筆者は、わずか1分半で予約購入を決めたといいます。その映像は、舞台となる北欧風の工業港都市エーリックスホルムと、スウェーデン風の主人公ハンナとその弟ヘルマンを描きながら、少量ながらも実機プレイ映像が混じっていました。この映像から、筆者は本作が潜入を主とするRTTゲームであることを看破したのです。

既存のRTTゲームとの決定的な違い

RTTゲームの金字塔といえば「コマンドス」シリーズ。そして、近年ではMimimi Studiosが「シャドウタクティクス」「デスペラードスIII」「シャドウ・ギャンビット」といった作品でこのニッチなジャンルを再興させました。これらの作品のプロモーションでは、個性豊かで手練れのキャラクターで構成された小隊が常に中心に据えられ、ベテランプレイヤーはキャラクターの外見からそのスキルを推測し、ゲームプレイを頭の中でシミュレーションできるほどです。しかし、「エーリックスホルム」は、まるで異なる印象を与えました。

本作が筆者に最初に与えた印象は、2019年に大きな驚きを与えた「A Plague Tale: Innocence(プレイグ テイル -イノセンス-)」に酷似していました。同じく毅然とした表情の少女が主人公であり、親密な弟との関係性、そして物語の舞台設定への深い描写。筆者は、これが叙事性を重視したRTTゲームになる可能性を強く感じたのです。

高度なリニアリティとキャラクター連携が鍵を握るゲームプレイ

「コマンドス」以来、潜入を主とするRTTゲームは、広大なマップと多様な敵配置、そしてプレイヤーが自由に攻略ルートを選べる「遊園地」的な傾向が強かったと言えます。しかし、「エーリックスホルム」は叙事性を重視するがゆえに、この傾向とは一線を画しています。

「解き方」を見つけるパズル的体験

「エーリックスホルム」の最大の特徴は、非常に線形的なゲームプレイにあります。これは、攻略ルートやクリア方法が単一であること、追加のチャレンジ目標がないこと、さらにはキャラクターのスキル数が少ないことなど、多岐にわたります。従来のRTTゲームのステージが「面」であるならば、本作は「線」が複雑に絡み合ったような構造をしているのです。

プレイヤーは、多くの場合、唯一の攻略ルートを見つけ出すことを求められます。狭い活動範囲と多数の警備員がいる中で、安全な道は一本しかないことが多く、何度も試行錯誤して敵の行動パターンを把握し、回避ルートを探る必要があります。これはまるで、緻密に設計されたパズルを解くような体験です。

Mimimi Studiosの作品のような自由なチャレンジ要素は少なく、目標は終点に到達することのみ。収集品を見つける以外に、特別な追加目標はありません。これにより、ゲームはより一層パズルゲームのような趣を帯びていますが、幸いにもステージの規模は大きくなく、敵の動きも限定的であるため、過度にプレイヤーを悩ませることはありません。

限られたスキルと戦略的なキャラクター連携

「エーリックスホルム」では、プレイヤーが操作できるキャラクターは最大3人。主人公のハンナ、盗賊ギルドのリーダーであるアルヴァ、そしてハンナの準保護者である元水兵セバスチャンです。それぞれのキャラクターが持つ能力は、わずか1つのアクティブスキルと1つのパッシブスキルのみに抑えられています。

  • ハンナ:麻酔ダーツで敵を無力化、通風管を通過可能。
  • アルヴァ:パチンコで照明を破壊したり、石で敵の注意をそらしたり、配管を伝って屋根に上ることが可能。
  • セバスチャン:警備員を気絶させる、水泳が可能。

「コマンドス」やMimimi作品の多彩なスキルを持つチームメンバーに比べると、非常に控えめな構成です。しかし、ゲームはこれらの限られたスキルを最大限に活用させるための工夫を凝らしています。例えば、序盤はハンナのステルス移動や麻酔ダーツ、アルヴァの環境干渉スキル、セバスチャンの戦闘能力と移動能力を個別に学び、その後、3人が揃ってからは、それぞれの特性を活かした複雑な連携が求められるようになります。

特に、ハンナは通風管、アルヴァは屋根、セバスチャンは水路と、3人それぞれに異なる移動経路が用意され、特定の地点で合流し、互いのスキルを組み合わせて難所を突破する設計は秀逸です。これにより、単調になりがちなリニアなゲームプレイに深みと戦略性を加えています。

RTTジャンルにおける新たな挑戦と今後の展望

「エーリックスホルム:奪われた夢」は、リアルタイムタクティクスゲームに新たな物語的深みをもたらそうとする意欲作です。従来の「遊園地」的な自由な戦略性とは異なる、リニアな体験と濃厚なストーリーテリングは、このジャンルに新風を吹き込むかもしれません。

物語性を重視したRTTゲームの先行例としては、2020年にリリースされた「ピーキー・ブラインダーズ:マスターマインズ」がありましたが、そのゲームプレイ部分の評価は必ずしも高くありませんでした。それだけに、「エーリックスホルム」が叙事性を追求しつつ、RTTとしての面白さをどこまで両立できたのかは、このジャンルの未来を占う上で非常に興味深い点です。

一部課題はあるものの、ユニークなゲーム体験を求める日本のゲーマーにとって、本作は注目すべきタイトルとなるでしょう。今後のアップデートや、この挑戦がRTTジャンル全体に与える影響にも期待が高まります。物語と戦略が融合した新しい形のゲーム体験に、ぜひ注目してみてください。

元記事: chuapp

Photo by Tima Miroshnichenko on Pexels

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