人気ゲーム『原神』や『崩壊:スターレイル』を開発するHoYoverse(旧miHoYo)が、未公開情報のリーク(情報漏洩)対策に躍起になっています。その取り組みは驚くほど徹底されており、ついに刑事責任を追及するまでに至りました。企業秘密の保護を巡るこの動きは、日本のゲーム業界にも大きな示唆を与えるかもしれません。
HoYoverse、リーク対策の「本気度」
最近、HoYoverse法務部門の公式アカウントは、リーク対策キャンペーンの最新成果を発表し、ゲーム業界内外に大きな衝撃を与えました。特に注目すべきは、『原神』と『崩壊:スターレイル』の未公開ゲームコンテンツを流出させた徐某某氏が、刑事強制措置の対象となったことです。これは、HoYoverseが追及してきた数多くの情報漏洩者の中で、初めて刑事責任を問われた事例であり、ゲーム業界全体で広範な関心を集めています。
ついに刑事訴追の動きも
HoYoverse法務部門は同時に、これまでに260人以上の情報漏洩者を追及してきたことを明らかにしました。この数字からも、彼らがいかに組織的かつ継続的に情報漏洩問題に取り組んでいるかが伺えます。
プラットフォーム連携で徹底追及
ほぼ同時期には、HoYoverseがTencent QQを提訴したというニュースも多くのプレイヤーや業界関係者の注目を集めました。Tencent QQ側はHoYoverseが民事訴訟の必要性から関連ユーザー情報の提供を求めていることを認めました。これは、HoYoverseがリーク対策を進める上で必要な正規の法的手続きと推測されます。実際、HoYoverseは2021年以降、同様の理由で中国の大手動画プラットフォームBilibiliに対しても複数回提訴しており、Bilibiliも捜査に協力することで、多くの情報漏洩者がその姿を隠すことができなくなっています。
ファンも歓迎?中国ゲームコミュニティの反応
HoYoverseがここまで徹底的な対策を行う背景には、長らくBilibiliが中国国内のHoYoverse関連リーク情報の主要な発信源となってきたことがあります。「ゲーム名+リーク」で検索すれば、真偽入り乱れた多くのリーク情報が見つかる状況に対し、HoYoverseがこれを看過するはずがありません。
Bilibili動画に見る「正当な報復」
つい先日、Bilibiliのトップページには「HoYoverseに訴えられ、10万元(約200万円)の賠償を求められました」と題された動画が登場しました。投稿者の「Ruaioi」氏はわずか500人ほどのフォロワーしかいない無名のUP主でしたが、この動画は165万回以上再生され、6万近いコメントが寄せられました。そのコメントの大半は「活该(自業自得だ/当然の報いだ)」というものでした。このUP主は2年前、当時未実装だった『原神』Ver.4.1のストーリーに関するリーク動画を2本投稿し、主要な情報を動画タイトルに直接記載していました。これらの動画は1週間ほどで規約違反により削除されましたが、2年後にHoYoverseからの訴状が届いたというわけです。この動画は、支援を求めるだけでなく、HoYoverseへの謝罪と反省の意を示すものでした。彼が動画を投稿したのと前後して、HoYoverseが他の情報漏洩者を訴えた類似の推薦動画もいくつか表示されました。あるネットユーザーがコメントで「あなたが訴えられたのではなく、単に順番が回ってきただけだ」と述べたように、HoYoverseが情報漏洩者への追及を決して諦めていないことがわかります。
国境を越えるHoYoverseの監視網
HoYoverse法務部門が言及した260人以上の情報漏洩者には、おそらく海外の「外部リーカー」は含まれていないでしょう。しかし、リーク者が海外にいても、HoYoverseの追及から逃れることはできません。かつて海外のSNSで有名だった「UBatcha」というリークアカウントは、正確かつ大量のリーク情報で一躍名を馳せ、『原神』のグローバルプレイヤーの間で広く注目されていました。しかしHoYoverseは彼を野放しにせず、一枚の召喚状によって、この伝説的なリークアカウントは最終的に削除され、姿を消すことになりました。
まとめ:なぜHoYoverseはリークにそこまでこだわるのか
HoYoverseが情報漏洩対策にこれほどまで厳しく臨むのは、彼らのゲーム開発に対する姿勢と密接に関係しています。莫大な研究開発費を投じて生み出されるコンテンツは、彼らにとって重要な知的財産です。リーク情報は、綿密に計画されたコンテンツリリース計画を台無しにし、プレイヤーが体験するはずだったサプライズや感動を奪い去ります。また、コミュニティの秩序を乱し、一部のプレイヤーに不公平な優位性をもたらすことで、ゲーム体験全体の質を低下させる可能性もあります。
HoYoverseの今回の徹底した法的措置は、単なる企業防衛に留まらず、知的財産権の尊重と健全なゲーム環境の維持という、ゲーム業界全体にとって重要なメッセージを発しています。日本のゲーム企業も、情報漏洩対策の強化を検討する上で、HoYoverseの事例から多くのことを学ぶことができるでしょう。
元記事: news
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