中国発の人気スマホゲーム『陰陽師』が、リリースから9年を迎え、再びiOSセールスランキング上位に返り咲く「再ブレイク」を果たしています。一時期はSNSでの話題が落ち着いていたものの、今なお多くのプレイヤーに愛され続けるその理由は何でしょうか?筆者は先日、杭州で開催された9周年記念オフラインイベントに参加。開発チームとの直接対話や、ゲームの世界観を体験できるアート展を通じて見えてきたのは、プレイヤーの声を真摯に受け止め、共に未来を築こうとする開発陣の姿勢でした。本記事では、その人気の秘密と、長寿タイトルの運営哲学に迫ります。
『陰陽師』が9周年で再ブレイク?その人気の秘密を探る
2016年にリリースされた中国発の和風ファンタジーRPG『陰陽師』は、かつて日本でもCMが放送され、その美しいグラフィックや奥深いストーリー、豪華声優陣で大きな話題となりました。しかし、その熱狂的なブームも一時期は落ち着き、SNSでの話題も減少。そう思われていた矢先、今年9月の9周年記念アップデートを機に、中国iOSセールスランキングでトップ10入りを果たす「回春」を見せたのです。なぜ9年もの長きにわたり、これほど多くのプレイヤーが『陰陽師』を愛し続けるのでしょうか。その答えを探るべく、筆者は中国・杭州で開催された9周年記念イベントに参加しました。
開発チームとプレイヤーの「真摯な対話」:現世寮約
イベントのメインの一つは、開発チームとプレイヤー代表が直接意見を交わす座談会「現世寮約」でした。会場は、まるで友人のリビングのような和やかな雰囲気。制作陣は、プレイヤーへの感謝を述べるとともに、過去のコンテンツ品質における課題を率直に認め、「今後はプレイヤーの期待に応えられるよう努力していく」と誠実な姿勢を示しました。
プレイヤーの声がゲームを形作る
座談会では、ゲーム制作の裏側が数多く語られました。例えば、人気を博した新式神「雪御前」のCG制作秘話。一瞬のカットにすら、プレイヤーが一時停止して鑑賞することを想定し、高精度な最適化を施しているといいます。「プレイヤーがいつでも一時停止した時、式神が常に美しい姿であるように」という言葉からは、細部へのこだわりが伝わってきました。
さらに、ゲームシステムに関しても、プレイヤーの要望が大きく反映されています。例えば、間もなく実装される「朧車探索システム」は、日常の単調なコンテンツを自動化し、プレイヤーの負担(「肝(ガン)」、中国で「過度な周回プレイ」を指す俗語)を軽減するための機能です。一見「やり込みが必要なゲーム」という印象が強い『陰陽師』ですが、実際には「より楽しい遊びに注力できるよう、退屈な部分は自動化する」という、プレイヤーのプレイ体験を重視した改善が進められていることが明らかになりました。
人気の高い「百鬼棋局」の常駐化や「超鬼王」イベントの再実施に加え、不評だったガチャやオークションといった「好ましくないメカニズム」の削除、報酬形式の見直しなども、プレイヤーのフィードバックに基づいて行われています。開発チームは、時に大胆なアイディアを披露しつつも、プレイヤーの意見を「航路を修正する重要な力」と捉え、ゲームデザインのあらゆる段階に深く組み込んでいるのです。
座談会を通じて感じたのは、開発チームの真摯さとオープンさでした。ゲームの問題点から改善策、そして現在の技術でできないことまで、包み隠さず説明するその姿勢は、プレイヤーとの間に強固な信頼関係を築く上で不可欠な要素だと感じました。
ゲームの世界に没入する:9周年インタラクティブアート展
もう一つのハイライトは、ゲームの世界観をリアルに再現した「9周年インタラクティブアート展」でした。会場に入ると、まるでゲーム内の平安京に足を踏み入れたかのような美しい庭園が広がり、桜の木や油紙傘がプレイヤーを迎え入れます。特に印象的だったのは、実写召喚装置です。プレイヤーが5人一組で召喚台に立つと、晴明の呪文とともに扉が開き、Coserが演じる式神が目の前に登場し、直接プレゼントを手渡してくれるという、究極の没入体験が提供されていました。このようなイベントを通じて、プレイヤーは単なるゲームのファンに留まらず、キャラクターや世界との「縁」を強く感じ、ゲームへの愛着を深めているのでしょう。
まとめ
『陰陽師』が9年間もの長きにわたり愛され、今なお「再ブレイク」を果たす秘密は、開発チームの「プレイヤーへの真摯な姿勢」と「オープンなコミュニケーション」にあると言えるでしょう。ゲームの品質向上はもちろんのこと、プレイヤーの声を深く理解し、それをゲームデザインに反映させることで、ユーザーエンゲージメントを極限まで高めているのです。オフラインイベントでの直接対話や、世界観を体感できるインタラクティブな体験は、デジタルな関係を超えた「仲間意識」のようなものを生み出しています。
日本のゲーム市場においても、長寿タイトルが直面する課題は少なくありません。今回の『陰陽師』の事例は、一時的なブームに終わらず、時代とともに進化し、プレイヤーと共に成長していくための重要なヒントを与えてくれます。中国のゲーム開発におけるプレイヤーとの共創という哲学は、今後、日本のゲーム業界にも大きな影響を与えるかもしれません。
元記事: chuapp
Photo by Tima Miroshnichenko on Pexels












