PvPゲームにおいて、プレイヤーのスキルやデッキ構築の妙だけでなく、「運」も重要な要素です。しかし、近年のPvPゲームでは、この「運」がシステムによって密かに操作され、多くのプレイヤーが「見えざる手」による不公平感を覚えるという問題が浮上しています。中国メディアChuappのコラム『触乐怪話』に掲載された記事は、人気デジタルカードゲーム『Marvel Snap』を例に、開発側の過度なバランス調整が、かえってプレイヤー体験を損ねている現状を鋭く指摘。公平さを追求するあまり、ゲーム本来の面白さが失われるジレンマについて考察します。
PvPゲームの「公平性」と「楽しさ」のジレンマ
PvP(プレイヤー対プレイヤー)ゲームにおいて、開発側が勝率バランスを追求するのは当然のことと思われがちです。しかし、あまりにも行き過ぎた調整は、時にプレイヤーに強い不満をもたらします。中国メディアChuappのコラム『触乐怪話』の筆者である銭雨沈氏(チェン・ユイチェン)は、人気デジタルカードゲーム『Marvel Snap』での自身の体験を例に、その不満を語っています。
『Marvel Snap』を例に考える「カウンター」と「アンバランス」
『Marvel Snap』では、新カードや強力なメカニズムが続々と登場するたびに、それに対抗するための「カウンターカード」が導入されます。ゲームの初期段階では、数枚のカウンターカードで様々な状況に対応できる汎用性があり、カウンターデッキ自体も有効な戦略でした。しかし、カードプールが拡大し、複雑なメカニズムが増えるにつれて、カウンターカードは特定の強力なカードやメカニズムにしか効かない「ピンポイント」なものへと変化していきました。
この状況は、プレイヤーにとって大きなジレンマを生み出します。特定の強カードを対策するためにピンポイントのカウンターカードをデッキに組み込んでも、その強カードと遭遇しなければ、デッキのその部分は全くの無駄となってしまいます。銭雨沈氏はこれを「ハンマーを持って釘を待っていたら、恐竜や大砲、魔人、聖剣といった全く違う相手が現れて、ハンマーが役に立たなかったようなものだ」と表現しています。わずか12枚で構成される『Marvel Snap』のデッキにおいて、1~2枚のカードが全く機能しないことは、勝敗に甚大な影響を与えるのです。
「見えざる手」による強引なバランス調整の実態
開発側もこの問題を認識しているのか、筆者はゲーム内の「見えざる手」による、ある種のバランス調整を感じ取っているといいます。それは、特定のバージョンで強力なデッキを使うと、なぜかそのデッキを対策するカウンターデッキの使い手とばかりマッチングさせられる現象です。逆に、筆者がカウンターデッキを組んでいざ戦いに臨むと、狙っていた強カードを使う相手は一向に現れず、全く異なるタイプのデッキばかりと当たるというのです。
さらに、ゲーム中に登場する「3つのフィールド」の特殊効果も、筆者のデッキに不利なものばかりが連続して選ばれることがしばしばありました。まるでシステムに狙い撃ちされているかのような感覚に陥り、特定のデッキを使用すると必ずと言っていいほど不利な地形効果に遭遇するといいます。
このような調整は、結果として強力なデッキが環境を席巻することを防ぎ、カウンターデッキを使うプレイヤーにも勝利の喜びを与えるという意味では「バランスが取れている」のかもしれません。しかし、これは「運」の要素がシステムによって意図的に操作され、プレイヤーが「システムの勝率調整のための道具」として利用されていると感じさせてしまうのです。ごく一部のトッププレイヤーを除けば、ほとんどのプレイヤーの勝率が50%前後に収束するよう仕向けられているように見えます。
システムに操作される不快感:運か、それとも介入か?
確かに、統計的な公平さは保たれているのかもしれません。しかし、この体験はプレイヤーにとって非常に不快なものです。筆者は子どもの頃に遊んだトランプを例に挙げ、カードの引きの良し悪しは完全に運任せだったと述懐します。しかし、現代の電子ゲームにおける「隠されたバランス調整」は、自身がシステムに「バランス操作されている」と気づいた瞬間に、子どもの頃にひどい手札ばかり引き続けた時よりも数百倍も不快な感情が湧き上がると語っています。
電子ゲームにおける「偽のランダム性」や「偽の確率」の調整には、プレイヤーに気づかせずに上手く機能している事例もあります。筆者は、開発側がそうした手法を研究し、プレイヤーが勝ち負けを純粋に「自分の運や実力」の結果だと受け止められるような解決策を早急に見つけてほしいと願っています。システムに見えない手で弄ばれていると感じさせるのではなく、真の意味でプレイヤーがゲームを楽しめる環境が求められているのです。
まとめ
PvPゲームにおけるバランス調整は、プレイヤーのエンゲージメントを維持する上で不可欠ですが、その手法がプレイヤーの体験を損なうほど強引であるならば、本末転倒と言えるでしょう。中国メディアの記事が提起した『Marvel Snap』での問題提起は、日本を含む世界中のPvPゲーマーが共感しうる普遍的なテーマです。透明性の低い「見えざる手」による勝率操作は、短期的な公平性をもたらすかもしれませんが、長期的なプレイヤーの信頼と満足度を損なうリスクをはらんでいます。開発側には、プレイヤーが「納得感のある負け」と「純粋な勝利の喜び」を感じられるような、より洗練されたバランス調整のあり方が求められています。
元記事: chuapp
Photo by Mikhail Nilov on Pexels












