中国の大型連休「労働節(メーデー)」に合わせ、ゲーム業界で多くのビッグニュースが飛び交いました。中国最大級の同人イベント「CP32」での人気MOBA『王者栄耀』の公式出展は大きな話題を呼び、散爆網絡(SUNBORN)からは待望の新作「二次元シューター」が2作品発表されました。さらに、miHoYoの国際化責任者の交代劇や、Perfect Worldの新作『異環』がリリース初日で1億元超えの売上を記録するなど、熱気を帯びた中国ゲーム市場の最新動向を深掘りします。
中国ゲーム業界の祭典「CP32」を席巻した人気タイトル
五一労働節期間中、中国最大規模の同人イベント「COMICUP 32(CP32)」が杭州国際エキスポセンターで盛大に開催されました。期間を2期に分け、合計10,000を超えるブースと390以上の専門エリアが集結し、ゲーム、アニメ、小説など多様なサブカルチャーファンで賑わいました。
本イベントで特に注目を集めたのは、人気MOBAゲーム
『王者栄耀』が初の公式ブースを出展したことです。「五五開黒節」(5月5日の友達とゲームをするイベント)を目前に控え、巨大なキャラクター「司空震」の装置や、「無限王者団」をテーマにした痛車、『王者農学園』のキャンパスをテーマにしたコスプレ企画などが展開され、多くの来場者やSNSユーザーの関心を集めました。その他、『明日方舟(アークナイツ)』、『崩壊:スターレイル』、『恋と深空』、「暖暖」シリーズなども同人ブースのランキング上位を占め、ファンメイドコンテンツの強さを見せつけました。企業ブースでは、『燕雲十六声』、『逆水寒』、『オーバーウォッチ』といった大型タイトルが没入感のあるゲーム内シーンを再現し、来場者を魅了しました。
散爆網絡(SUNBORN)が放つ「二次元シューター」新作の衝撃
5月2日、上海国家会議展覧センターで開催された『ドールズフロントライン』(少女前線)十周年音楽嘉年華の会場で、散爆網絡(SUNBORN)の創業者兼CEOである羽中氏が、同社の今後の製品戦略を正式に発表しました。その中で、
2つの「二次元シューター」新作が初めて公開され、大きな注目を集めました。
『逆向崩壊:F』:写実的二次元とUE5が融合する戦略PVEシューター
ひとつは、
『逆向崩壊:F』。Unreal Engine 5で開発され、「写実二次元」スタイルを特徴とする三人称PVEシューティングゲームです。最大4人での協力プレイと戦術的な実行が重視され、プレイヤーは個性豊かなモンスターと戦いながら資源を収集し、脱出を目指します。さらに、ゲーム外ではTRPGのような広大な世界探索体験も用意されています。本作は『逆向崩壊:パン屋作戦』の世界観を継承しており、物語の深堀りが期待されます。羽中氏によると、2024年半ばに企画が立ち上がり、開発期間は約2年、5億元(約100億円)以上の費用が投じられる見込みで、2028年前後のマルチプラットフォーム展開を目指しているとのことです。
『少女前線:藍蝶の契約』:より手軽で爽快なIP新作
もうひとつは、散爆網絡傘下のヘカティスタジオが開発する
『少女前線:藍蝶の契約』です。こちらも「少女前線」IPの世界観を継承し、かつて「Project Net」として東南アジアで小規模テストが行われていました。2026年内のリリースを予定しており、『逆向崩壊:F』と同様に4人組隊のプレイが特徴ですが、より軽量で、プレイヤーの操作フィードバックによる爽快感を重視した体験が提供されるとのことです。
同人サークルから企業へと成長した散爆網絡は、「少女前線」の10周年という節目に、二次元シューターという新ジャンルへの挑戦を通じて、次なる成長戦略へと舵を切ろうとしています。この挑戦が、戦術シミュレーションという既存の枠を超え、IPの新たな可能性を切り開くか、今後の動向が注目されます。
躍進する新作と激変する業界の裏側
『異環』の快進撃:グローバル初日売上1億元超え
4月30日、Perfect World(完美世界)はオンライン会議で投資家向けに、新作
『異環』のローンチ状況を説明しました。副社長兼取締役会秘書である馬駿氏らは、本作のグローバルでの初動が好調で、特に
グローバル初日売上は1億元(約20億円)を突破し、新規ユーザー獲得数や国内での定着率(翌日/3日/7日)などの主要指標が、同社の過去作『幻塔』を大幅に上回ったことを明らかにしました。これは、製品の吸引力、ゲーム品質、プレイヤーの定着率が大幅に向上したことを示しています。
プラットフォーム別のデータでは、国内PC版のユーザーが約65%、海外ではPC版とPlayStation版が合わせて約75%を占めるなど、PC・コンソール市場での存在感が際立っています。今後の商業化戦略については、初期バージョンでは「良心的」な課金設定とし、将来的には都市をテーマにした車、家、ファッション、スキンなどの課金コンテンツを増やしていく方針で、ポルシェとのコラボレーションも近日中に予定されています。リリース後の初のガチャ「尋」が5月7日に実装され、今後の大型アップデートも着々と準備が進められています。
注目作『遺忘之海』三測開始と版号取得
4月30日、NetEase(網易)の新作
『遺忘之海』が「破暁号テスト」(三測)の参加者募集を開始しました。同時に公開された新たなストーリーコンセプトPV「余燼」では、ゲームの一部世界観とキャラクター設定が明らかになりました。本作はNetEase傘下のJoker事業部が開発しており、先行テストでは成熟したゲームプレイと優れたアートスタイルが評価されています。特筆すべきは、
4月29日に中国国内での版号(ライセンス)を取得したことで、2026年内の正式リリースが期待されます。5月22日には先行ライブ配信が予定されており、さらなる詳細が明かされることでしょう。
miHoYo国際化の重要人物が異動
4月30日、miHoYo内部で人事に大きな動きがありました。同社の国際化ビジネスの核となる人物、
金雯怡(ジン・ウェンイー)氏が退職を表明する社内文書を公開し、その職務はSeven(王宇陽)氏に引き継がれることになりました。金雯怡氏は長らくmiHoYoの海外展開と国際化戦略を担当し、『原神』のグローバルローンチを推進するなど、miHoYoをローカルデベロッパーからグローバルブランドへと押し上げる上で極めて重要な役割を果たしました。
後任のSeven氏は、かつてBilibiliで副社長を務め、ライブ配信およびメインサイト運営業務を担当した経験を持ち、miHoYoでは近日中に新作『Varsapura』のグローバル展開と国際化推進業務を担当する予定です。この国際化責任者の交代は、miHoYoのグローバル戦略が新たな段階に入ることを意味するかもしれません。
中国大手ゲーム企業の好調な決算と今後の展望
労働節期間中には、中国の主要ゲーム企業から好調な決算報告が相次ぎました。4月27日、37Games(三七互娯)は2026年第1四半期決算を発表し、売上高37.20億元(約744億円)、純利益8.73億元(約174億円)で、前年同期比59.02%の大幅増益を達成しました。
同日、ジャイアントネットワーク(巨人網絡)も2025年通期および2026年第1四半期決算を公開。2025年の売上高は50.47億元(約1,009億円)で前年比72.69%増、純利益は17.55億元(約351億円)で23.13%増。2026年第1四半期単体では、売上高23.29億元(約465億円)で前年同期比221.70%増、純利益10.80億元(約216億円)で210.58%増と驚異的な成長を遂げました。これは、同社の新作
『超自然行動組』が成功し、2月にはDAU(デイリーアクティブユーザー)が1,000万人を突破したことが大きく貢献しています。
4月28日には、遊族網絡も2025年通期および2026年第1四半期決算を発表。2025年の売上高は14.02億元(約280億円)でした。
これらの決算報告は、中国ゲーム市場全体の力強い成長傾向を明確に示しており、各社の積極的な新作投入と運営戦略が功を奏していると言えるでしょう。
まとめ
中国ゲーム業界は、大型連休中も活発な動きを見せました。人気IPのオフラインイベントでの盛り上がりから、大手企業の新作発表と成功、そして人事異動による新たな戦略の兆しまで、そのダイナミズムは日本のゲーム市場にも大きな示唆を与えます。特に、PC・コンソール市場での存在感を増す中国タイトルや、二次元シューターという新ジャンルへの挑戦は、今後も目が離せません。中国企業の技術力と市場戦略の進化は、日本のゲーム開発者やプレイヤーにとっても、新たな機会と刺激をもたらすことでしょう。
元記事: chuapp
Photo by Nino Souza on Pexels












