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Supercell、1.5億ドル投じた『爆裂小隊』失敗から何学んだ?

Mobile game project failure Game development strategy - Supercell、1.5億ドル投じた『爆裂小隊』失敗から何学んだ?

モバイルゲーム業界の巨匠Supercellが、異例の1.5億ドル(日本円で約220億円)もの巨額を投じた新作『爆裂小隊(Squad Busters)』。しかし、鳴り物入りのグローバルローンチからわずか1年余りで、残念ながらサービス終了の発表となりました。長年「ヒット作しか出さない」という独自の哲学を貫いてきたSupercellにとって、これは一体何を意味するのでしょうか。中国のゲームメディアGameLookが海外メディアdofの記事を基に分析した内容から、その失敗の深層と、そこから得られた貴重な教訓を日本の読者の皆様にお届けします。

Supercellの「常識破り」だった『爆裂小隊』

これまでSupercellは、徹底した品質管理とユーザーテストを経て、莫大な収益を上げる「億ドル級のヒット作」のみを世に送り出してきました。しかし、2018年の『ブロスタ』以来、新作のグローバルヒットが出ていないという課題に直面。この停滞を打破するため、Supercellは大胆な決断を下します。それが、これまでの長いテスト期間を省略し、内部データや主要プラットフォームからのフィードバックを信じて、満を持してグローバルローンチに踏み切った『爆裂小隊』でした。

そして、そのプロモーションもまた常識破りでした。2024年6月にリリースされた『爆裂小隊』は、ハリウッドの一流スターを起用し、YouTubeやTikTokを巻き込んだ大規模なインフルエンサーマーケティングを展開。まるでマーベル映画のような壮大なキャンペーンで、瞬く間に世界中の注目を集めました。リリース当初は6,000万ダウンロードを突破し、月間収益2,500万ドルを記録するなど、一見成功しているかに見えました。しかし、その勢いは急速に失速します。ゲームデザインに内在する欠陥が露呈し、運営チームの立て直しも空しく、最終的にはサービス終了という決断に至ったのです。

1.5億ドルの「試練」がもたらしたもの

この『爆裂小隊』には、実に1.5億ドル(約220億円)もの莫大な資金が投じられたと推測されています。その内訳は、広告宣伝費だけで約1億ドル。特に、約6,000万ダウンロードのうち2,500万ダウンロードは有料ユーザー獲得によるもので、その費用は約6,500万ドルにも上ります。ハリウッドスターの起用やインフルエンサー連携にかかった費用は、さらに数千万ドルと見積もられています。

しかし、ゲームの収益はリリースから約8,000万ドルにとどまり、投資額には遠く及ばない商業的な失敗となりました。プレイヤーの継続率が低く、課金行動も活発ではなかったことが、この結果に繋がったと分析されています。加えて、少なくとも5年にわたる開発期間にかかった人件費などの研究開発費も、3,000万ドルから4,500万ドルと決して少なくありません。

ただし、Supercellにとってこの失敗は、単なる資金の損失以上の意味を持ちます。dofは、これを「新時代に成功する方法を探すための必要な実験」と捉えています。同社の純利益が年間10億ドル規模であることを考えると、この1.5億ドルの損失は、会社の存続を揺るがすものではなかったのです。

「規律」と「大胆さ」の衝突がSupercellを変革

この『爆裂小隊』の経験は、Supercellの企業文化に大きな変革をもたらしました。CEOの積極的な声明の背後には、COOやCMOの退任、首席ゲーム責任者職の撤廃といった大規模な人事異動が見られます。さらに、社外の才能と連携する「Spark Labs」プロジェクトや、AIを活用したゲーム開発を進める「AIラボ」の立ち上げなど、組織体制の刷新が進んでいます。

Supercellはこれまで、小さな独立したチームが完璧なゲームを作り上げるという「規律」を重視してきました。しかし、この規律が行き過ぎると、新たな挑戦への「恐れ」へと繋がりかねません。『爆裂小隊』の失敗は、Supercellがその「失敗への恐れ」を克服し、大規模な挑戦を厭わない「大胆さ」を取り戻すための試練だったと言えるでしょう。

近年、Supercellは従業員数の増加、ヘルシンキ以外の地域へのスタジオ開設(上海、ロンドンなど)、企業買収(Space Ape)、さらにはゲーム以外のエンターテイメント分野への進出(Netflixドラマなど)といった変化を遂げています。これは、過去の成功モデルに固執せず、常に進化し続ける同社の姿勢を示しています。

まとめ:失敗から学ぶ、ゲーム業界の未来

『爆裂小隊』の商業的失敗は、Supercellにとって苦い経験であったことは間違いありません。しかし、それは同時に、長年の成功モデルに安住せず、新しい時代に適応するための「必要な投資」でもありました。この一件は、過去の成功体験が時にイノベーションの足かせとなるという、あらゆる産業に通じる普遍的な教訓を示しています。

日本のゲーム開発者にとっても、Supercellの大胆な挑戦と、そこからの学びは大いに参考になるでしょう。完璧を目指すあまりに機会を逸することなく、時には大規模な試行錯誤を恐れない姿勢が、次の時代のヒット作を生み出す鍵となるかもしれません。Supercellがこの経験を糧に、今後どのような革新的なゲームを世に送り出すのか、引き続き注目が集まります。

元記事: gamelook

Photo by Karola G on Pexels

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