全世界で注目を集めるFPS(ファーストパーソン・シューティング)ゲーム『The Finals』が、ついに中国市場で本格始動します。スウェーデンのEmbark Studiosが開発し、Nexonの子会社である同スタジオが手掛ける本作は、2023年12月7日にグローバル版がリリースされ、その革新的なゲームプレイで多くのプレイヤーを魅了してきました。特に、Nexonとテンセント(Tencent)の強力なタッグにより、中国版『終極角逐(The Finals)』は7月に版号(中国でのゲーム配信許可)を取得し、この夏に初のテストプレイを実施。FPSジャンルの新たな可能性を追求するこのタイトルは、既存の枠を超えた「唯一無二のプレイスタイル」で、未来のeスポーツシーンを牽引する存在となるかもしれません。
FPS市場に新たな風を:『The Finals』が提示する「競技性」
近年、FPSゲーム市場はかつてないほどの繁栄期を迎えています。バトルロイヤル(BR)やヒーローシューターなど、多様な新作が次々と登場し、大手メーカーは市場の主導権を握るべく競争を繰り広げています。しかしその一方で、既存の枠に囚われない、全く新しいゲームプレイが成功を収めることは稀でした。そんな中、『The Finals』は、この停滞した市場に新たな活力を与えるべく登場しました。
本作は、チームベースの競技FPSであり、その根底には「戦闘の爽快感」と「極めて高い競技性」が流れています。プレイヤーは3人1組のチームを組み、広大な立体マップで、制限時間内に最も多くの現金を獲得したチームが勝利するというルールです。このキャッシュ獲得がゲームの核となる循環を生み出します。
核心システム:キャッシュアウトを巡る攻防
キャッシュ獲得には主に2つの方法があります。一つは敵をキルすることで少額を得る方法。もう一つは、より戦略的で多額の現金を得る「キャッシュアウト」システムです。プレイヤーはまずマップ上の「金庫」から「現金箱」を確保し、次に「提現機(キャッシュアウト機)」まで運びます。提現機でのキャッシュアウトには一定の時間が必要で、この間、全チームが提現機を目指して集結します。現金箱を持つチームは、成功するまで提現機を防衛し続ける必要があり、この攻防がゲームの最も熱い瞬間を生み出します。
自由度の高いモジュール式キャラクターカスタマイズ
『The Finals』のキャラクターデザインもまた革新的です。多くのFPSゲームが固定されたエージェント制を採用する中、本作は「モジュール式」のカスタマイズを導入しています。プレイヤーは以下の手順で自分だけのキャラクターをDIYできます。
- 体型の選択: 「軽量級」「中量級」「重量級」の3種類があり、移動速度やヘルスポイントに直結します。軽量級は素早い動きと低いヘルスでアサルトや遊撃、重量級は遅いが高いヘルスで前線維持、中量級はバランスの取れた支援役として機能します。
- スキル、武器、道具の選択: 各体型には専用のアイテムが用意されています。例えば、軽量級はサブマシンガンやナイフでステルス移動や素早い位置取り、中量級はアサルトライフルやスナイパーライフルで味方の迅速な救助やタレット設置、重量級はRPGやハンマー、ガトリングガンなどの重火器で敵を圧倒できます。
このモジュール設計はプレイヤーに非常に高い自由度を与え、様々な組み合わせによって戦略の幅を大きく広げ、ゲームプレイの奥深さを増しています。
最大の魅力:全地形破壊が実現する「立体都市戦」
『The Finals』のもう一つの大きな特色は、まさに「立体戦闘」です。一般的なFPSゲームが平面的な戦闘に終始する中、本作はまさに文字通りの「立体戦闘」体験を提供します。マップ内の高層ビル群はジップラインで接続されており、プレイヤーはパルクールのように高速で移動できます。ロープや滑り台なども豊富に配置されており、高所へのアクセスが容易なため、常に上下左右からの攻撃を警戒する必要があります。
さらに驚くべきは、開発チームの『Battlefield』シリーズでの経験が活かされ、本作は「全地形破壊」を実現している点です。プレイヤーは重火器やスキル、マップ上の爆破ボトルを使って壁を破壊し、建物を崩壊させることで、予期せぬ射線や新たな侵攻ルートを作り出すことができます。特定のガジェットは、この破壊システムと連携するように設計されており、戦術的な選択肢を無限に広げます。
国際版の課題と中国版の改善点、そして未来への期待
『The Finals』は、その華やかな演出、臨場感あふれる実況、観客の歓声、そしてスピーディーで立体的な戦闘戦略が一体となり、他に類を見ない「競技感」を生み出しています。Embark Studiosはeスポーツにも力を入れており、TCLリーグを複数回開催するなど、ゲームバランスの調整も競技性を重視する方向で行われてきました。
しかし、この過度な競技性重視は、国際版では一部プレイヤーから疲労感や新規プレイヤーへのハードルの高さを指摘される要因となりました。娯楽モードの不足や、純粋なエイム力よりもチームの連携や戦略が勝敗を大きく左右するため、固定チームを持たないソロプレイヤーの体験が損なわれるケースもありました。
こうした課題に対し、中国版『終極角逐』ではいくつかの改善が施されています。例えば、新規プレイヤー向けに「ルート提示」機能が追加され、F2キーを押すと最寄りの金庫への道順が表示されるようになりました。また、テスト版では「武器マスター」のような娯楽モードも導入され、従来のFPSプレイヤーがエイム力を存分に発揮できる場を提供しています。
『The Finals』は、その現在の完成度だけでなく、将来的な拡張性においても大きな可能性を秘めています。特に「全地形破壊」という核心メカニズムは、今後、大規模戦闘や独自のヒーローシューターモードなど、多様な新プレイモードの基盤となり得ます。現在においてもFPSジャンルで唯一無二の存在である『The Finals』が、今後どのような進化を遂げ、日本のプレイヤーにどのような影響を与えるのか、その動向から目が離せません。
元記事: chuapp
Photo by Yogendra Singh on Pexels












