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中国実写インタラクティブドラマ『盛世天下』始動!過酷な宮廷サバイバルと“真の選択”

Chinese historical drama - 中国実写インタラクティブドラマ『盛世天下』始動!過酷な宮廷サバイバルと“真の選択”

『隠形守護者』(The Invisible Guardian)で世界を驚かせたNew One Studioが、待望の新作実写インタラクティブドラマ『盛世天下』(The Prosperous World)を本日(9月9日)、世界同時リリースしました。宮廷を舞台にした壮大なサバイバル劇は、プレイヤーの選択が容赦なく運命を左右するという、従来のゲーム体験とは一線を画すリアリズムが大きな話題を呼んでいます。

インタラクティブドラマの進化形?『盛世天下』が描く宮廷の真実

『隠形守護者』制作チームNew One Studioが贈る実写インタラクティブドラマ『盛世天下』の「媚娘篇」が、本日(9月9日)世界多プラットフォームで同時リリースされました。

宮廷サバイバルをテーマに、プレイヤーの選択が主人公の運命を左右する本作は、前作を超える全編20時間以上にも及ぶ圧倒的なボリュームを誇ります。中国の主要ゲームプラットフォームであるTapTapで8.7点、好游快爆で8.6点という高評価を獲得し、前作とのバンドル版は中国国内セールスランキングで最高8位に食い込むなど、早くも大きな注目を集めています。制作チームは、高規格のコンテンツと物語を通じて、宮廷の権力闘争と生存の選択という没入感ある体験をプレイヤーに提供することを目指しているとのこと。しかし、本作がなぜこれほどまでにプレイヤーを没入させるのでしょうか?その秘密に迫ります。

「爽文」ではない!容赦ない現実が突きつける“残酷な選択”

本作をプレイしてまず印象的なのは、その豪華絢爛なビジュアルです。舞を舞う主人公の姿や翠玉と黄金で飾られた宮廷の舞台など、まさに「盛世王朝」の華麗な世界が目の前に広がります。しかし、『盛世天下』はすぐにその幻想を打ち破ります。ゲーム開始早々、主人公・伍元照は、最初の「生死を分ける選択」に直面します。友人からの贈り物と思われた簪が、実は皇后からの問い詰めの印であったり、選択肢のどれを選んでも、誰かが犠牲になる、あるいは主人公自身が危険に晒されるといった、予想外の展開が次々とプレイヤーを襲うのです。

特に衝撃的なのは、美しく印象的だった姜才人が物語の序盤で命を落とすシーンです。これは「主人公だから死なない」というお決まりのパターンが通用しないことをプレイヤーに突きつけ、宮廷の危険な生存環境を強烈に印象付けます。制作人Demi氏は、この設計思想を人気海外ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』を例に挙げて説明しています。「主人公然としたキャラクターでも、不死のオーラをまとっているわけではない」と。本作では、いつでも死が隣り合わせであり、その「運命のリアルさ」がプレイヤーに緊張感と圧迫感を与え続けるのです。

物語が進むにつれて「同室探し」「夜宴での謁見」「太子の廃位」といったイベントが続く中で、主人公は絶えず殺意に満ちた状況に置かれます。「キャラクターの運命は、冷徹な現実ロジックに支配される」という基調が強調され、プレイヤーは否応なくその世界観を受け入れざるを得なくなります。

「本当の自分」ではなく「客観的な生存ロジック」で生き残れ

プレイヤーは伍元照として宮廷生活を送る中で、命がけの選択を繰り返します。しかし、本作は単に「プレイヤーの自由に任せる」だけではありません。多くのインタラクティブドラマでは、「正解の選択肢」を選ぶことで主人公が物語の終点に到達し、プレイヤーの自由度が制限されることがあります。しかし、『盛世天下』の脚本家は、この問題を巧妙に解決しています。

伍元照の物語は一直線に進むものの、プレイヤーは何度も試行錯誤を繰り返す中で、彼女とこの時代の現実を理解していきます。早期の選択がずっと後になって結果に繋がるなど、一見して分かりにくい因果関係が多く、私は数十回ものやり直しを経て、ようやく多くの問題に単純な「正解」がないことに気づきました。

例えば、魏王からの協力の誘いを断ると即座に殺され、ならばと受け入れると更なる危険が待っている。あるいは、弱き者への情けが裏目に出て命を落とす。プレイヤーは自身の選択戦略を何度も修正せざるを得ません。しかし、その根底には伍元照の「生存」という絶対的な目標があります。制作チームは、プレイヤーに「リアルな自分を演じる」のではなく、「客観的で現実的なロジックで、物語の残酷な試練に立ち向かう」ことを求めているのです。

このように、現実世界が常に変化し、生存の答えも更新されるという物語の提示方法は、プレイヤーにキャラクターの成長と奥行きを感じさせます。画面の中の彼女が、まるで記憶の中の誰か、あるいは「ある時期の自分」のように鮮やかに生き生きと映るのです。脚本家は、この普遍的な「生存」のテーマを中心に据え、時間の経過とともに変化する環境の中で「リアルさ」を強調し続けることで、プレイヤーを完全に物語に引き込みます。

小さな個人が挑む、巨大な宮廷の権力構造

ある物語作家は「物語をデザインすることは、本質的に敵役(反派)をデザインすることであり、敵役がいなくなれば物語は終わる」と語ったそうです。しかし、『盛世天下』において、伍元照が対峙するのは宮廷内の個々の人物だけではありません。

本作が描くのは、唐の時代をベースにした架空の「盛朝」です。主人公が直面する課題は、「同僚からの排斥、上司からのいじめ、一度の失敗が死を意味し、自分の運命は自分で決められない」という言葉で集約されます。歴史書の中で読み飛ばされがちなこれらの言葉が、プレイヤーにとっては具体的で切実な困難として立ち塞がります。

例えば、夜宴後の章で魏王から皇帝の禁じた事柄への協力を求められるシーン。プレイヤーは生き残るために承諾するしかありませんが、それはより大きな危険を招きます。魏王の行動は自身の権力欲、つまり彼自身の生存命題によるものであり、伍元照を直接害する意図はないのかもしれません。しかし、彼の選択は主人公を深淵の淵へと突き落とします。

つまり、魏王は一見「悪役」に見えても、実際には「この時代に生きる誰もが抱える生存命題」こそが真の「敵役」なのです。そのため、『盛世天下』の物語は「悪役がいなくなる」ことで終わることはありません。封建的な皇権の下では、誰もが自らの運命を主導できず、主人公は常に危険の中で機転を利かせ、生き延びる道を探し続けるしかないのです。

姨母の寝室から逃げる際に宮女と遭遇し、殺すか見逃すかの選択を迫られるシーンも同様です。見逃せば告発され殺され、殺せば更なる罪を背負うかもしれません。姨母もまた、親族への情よりも自身の生存戦略を優先する冷徹さを見せます。物語序盤から主人公が自ら宮門を押し開き、それから瞬く間に深淵に突き進むさまは、強烈な悲劇性を帯びています。入宮は伍元照自身の選択であるため、どんな困難に直面しても他者を恨むことはできず、絶望に陥っても一人後悔するしかないという、皮肉な現実が描かれています。この緊迫感と矢継ぎ早に展開する物語は、プレイヤーの心を鷲掴みにし、息つく暇も与えません。

まとめ:インタラクティブドラマの新たな可能性を切り開く『盛世天下』

『盛世天下』は、単なるビジュアルノベルや選択式ドラマに留まらない、実写インタラクティブドラマの新たな可能性を示しています。プレイヤーの選択が本当に意味を持ち、その結果が容赦なく突きつけられることで、物語への究極的な没入感を生み出しています。

「主人公は死なない」という従来の物語の常識を打ち破り、プレイヤーに「リアルな生存」という根源的なテーマと向き合わせるこの作品は、ゲームとドラマの境界を曖昧にし、インタラクティブコンテンツの深奥へと誘います。中国市場では『隠形守護者』で確立されたこのジャンルが、今回『盛世天下』でさらに進化を遂げ、グローバル展開されています。日本でも同様の体験を提供する作品が増えることを期待せずにはいられません。

プレイヤー自身の「客観的な生存ロジック」が試される本作は、今後もその独自の世界観で多くのファンを魅了することでしょう。

元記事: chuapp

Photo by cottonbro studio on Pexels

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