中国のテック業界から、また一つ注目のニュースが飛び込んできました。2025年9月8日、制御モーター分野で急成長を遂げる常州三十電機股份有限公司(通称「三十」)が、北京証券取引所に鳴り物入りで上場。上場初日の終値は78.2元を記録し、なんと公募価格から785%を超える驚異的な高騰を見せました。投資ファンド「穩正資產(Wenzheng Asset)」が投資する企業としては10番目のIPO成功事例となり、その確かな投資眼と三十の技術力が証明された形です。特に、AGVや協働ロボット、さらには人型ロボット分野への応用で注目される同社の飛躍は、今後の中国製造業の動向を占う上でも重要な指標となるでしょう。
中国新興企業「三十」が北京証券取引所に華々しく上場!
2025年9月8日、常州三十電機股份有限公司(三十、証券コード:920100.BJ)は、北京証券取引所に正式に上場しました。午後3時時点での株価は78.2元に達し、上場初日から785%以上という目覚ましい上昇率を記録しました。
上場を祝う式典には、三十に投資する穩正資產の創業パートナーである陳義楓氏、王進氏が招待され、三十の成功を熱烈に祝福しました。三十の成功的な上場は、穩正資產が投資した企業の中で10番目のIPO達成企業となり、同ファンドにとって「十全十美(完璧)」なIPO実績を達成する重要な節目となりました。
穩正資產の投資先の20%以上がIPOを実現しており、これは同ファンドが掲げる「デュアルファスト」投資モデル(技術の急速な進歩と需要の急速な爆発が重なる分野に積極的に投資するモデル)が市場で継続的に検証され、IPO成果が「常態化されたリリース段階」に入ったことを示しています。
「三十」とは?グリーンな未来を牽引する専門的モーションコントロールソリューションのリーダー
2002年に設立された三十は、制御モーターの研究開発、製造、販売に特化したハイテク企業です。同社の主力製品には、ステッピングモーター、サーボモーター、ブラシレスモーター、および関連製品が含まれます。これらの製品は、小型、高出力密度、そして環境に優しい省エネ特性を顕著に持ち、精密制御モーターの分野で高い評価と独自のブランドを確立しています。確かな製品品質と優れたサービスにより、三十は多くのモーションコントロールメーカーや産業オートメーション機器メーカーにとって信頼できるパートナーとなっています。
協働ロボットから人型ロボットへ:技術革新の最前線
三十は継続的な自社研究開発と技術革新を通じて、その製品を幅広いハイテク分野に応用しています。防犯、繊維、光通信、半導体、3C電子、自動車製造、ロボット、医療機器、スマートロジスティクスなど、多岐にわたる領域で活用されています。
現在、同社はHikvision(海康威視)、Dahua Technology(大華股份)、Da Hao Technology(大豪科技)、Yu Neng Technology(昱能科技)、Nisshinbo Mechatronics(日発精機)、Cixing Co., Ltd.(慈星股份)、Zhejiang Keba(浙江可勝)、CITIC Bo(中信博)、Rayshine Intelligent(雷赛智能)、Wayz Technology(威之高科)といった各細分化された業界のリーディングカンパニーと強固な協力関係を築いています。
特に、AGV(無人搬送車)や協働ロボットの分野では、革新的な基礎材料と高スロット充填率技術を駆使した自社開発により、Hikvision、Dahua Technology、そしてFANUCロボットとの提携を成功させています。協働ロボット向け製品はすでに量産化されており、人型ロボット分野においても顧客へのサンプル出荷を開始しています。
協働ロボットは、人間とロボットの協働を妨げる障壁を取り除き、ロボットを保護柵やケージの束縛から解放する新型の産業用ロボットです。その画期的な製品性能と幅広い応用分野は、産業用ロボットの発展に新たな時代を切り開いています。
驚異的な成長を続ける「三十」の業績
近年、三十の業績は持続的な成長を維持しています。2022年から2024年にかけて、同社の売上高はそれぞれ2.87億元(前年比1.89%増)、3.62億元(同26.05%増)、4.20億元(同16.05%増)と推移しました。同期の親会社株主に帰属する純利益は、それぞれ2697.63万元(同5.57%増)、4864.08万元(同80.31%増)、5633.50万元(同15.82%増)と大幅に増加しています。
今年の上半期も高い成長率を維持しており、売上高は2.56億元(前年比21.23%増)、親会社株主に帰属する純利益は3152万元を達成しています。
まとめ:中国ロボット産業の未来を担う「三十」の挑戦
常州三十電機の上場成功と株価の急騰は、同社の革新的な制御モーター技術と、特にロボット産業における市場からの高い期待を明確に示しています。AGVや協働ロボット、そして未来の人型ロボットといった最先端分野での製品開発と大手企業との連携は、三十が単なる部品メーカーに留まらず、次世代の産業オートメーションとロボット技術を牽引する存在であることを物語っています。
穩正資產のような投資ファンドが積極的に支援する背景には、中国が推進する「ものづくり強国」戦略と、その中核を担うハイテク企業の成長があります。日本の企業にとっても、中国市場における技術革新のスピードと、三十のような新興企業の動向は、今後も注視していくべき重要な指標となるでしょう。
元記事: pedaily
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