ストレージ業界の巨人Micron Technologyが、米ニューヨーク州に総額1000億ドル(約15兆円)という驚異的な投資を投じる巨大半導体工場プロジェクトを、1月16日に正式に着工しました。これはニューヨーク州史上最大の民間投資であり、世界の半導体産業の勢力図を塗り替える鍵となる一歩と見られています。特にAI分野の需要爆発に対応する高性能ストレージチップの製造に注力し、2045年までには約9000人もの新規雇用を創出し、世界トップの座を狙う壮大な計画です。
AI時代の到来を告げる、Micronの超巨額投資
Micronは、米ニューヨーク州に建設する次世代のウェハー工場を1月16日に着工すると発表しました。このプロジェクトは、総投資額が1000億ドルに達し、ニューヨーク州史上最大規模の民間投資となります。単なる工場建設にとどまらず、世界の半導体サプライチェーンの再構築を加速させ、特に人工知能(AI)の進化を支える高性能ストレージチップの生産拠点としての役割が期待されています。
計画によると、この製造拠点は段階的に4つの先進的な工場を建設する予定です。最初の工場は2030年に稼働を開始し、2番目の工場は2033年に利用可能となる見込みです。そして、2045年までには全ての4工場が完成する予定となっています。この巨大プロジェクトが完了すれば、ウェハー製造からパッケージング、テストに至るまでの全サプライチェーンをカバーし、最終的には約9000人の新規雇用を創出すると見込まれています。
Micronは、新工場がAI分野の爆発的な需要を満たす高性能ストレージチップの生産に特化すると強調しています。これまでのところ、同社はこのプロジェクトに対し、慎重かつ戦略的な姿勢で準備を進めてきました。
環境評価による遅延を乗り越え、いよいよ始動
この注目されるプロジェクトは、当初2024年半ばの着工を予定していましたが、数万ページに及ぶ環境影響評価報告書の審査が必要だったため、約1年半の遅延が発生していました。しかし、Micronの発表によると、現在までに全ての事前承認と敷地準備作業が完了しています。
今年の3月31日までには敷地整備を完了させ、その後は鉄道支線の改修や湿地の造成といったインフラ整備工事が本格的に開始される予定です。
激化するDRAM市場、Micronの戦略的挑戦
市場調査会社Counterpoint Researchのデータによると、2025年第3四半期の世界HBM(高帯域幅メモリ)市場において、Micronは売上高シェア21%で第3位に位置しています。SK hynix(57%)、Samsung Electronics(22%)に続く形です。
しかし、HBMを含むDRAM市場全体では、SK hynixが34%、Samsungが33%、そしてMicronが26%と、上位3社のシェアの差は比較的縮まっています。業界アナリストは、今回のMicronの大規模な生産能力拡大は極めて戦略的な意味を持つと指摘しています。もしMicronが市場シェアを40%まで引き上げられれば、現在の「三強体制」を打破し、競合他社を上回り世界最大のストレージチップサプライヤーとなる可能性を秘めています。
特に、AIの計算能力に対する需要が爆発的に増加し続ける中、高性能ストレージチップの市場は今後も力強い成長が見込まれています。Micronのこの大規模な動きは、そうした市場の波を捉え、主導権を握るための決定的な一手と言えるでしょう。
未来を見据えた段階的投資と持続可能性
この工場建設プロジェクトは、20年にわたる長期的なスパンで展開され、段階的な実施戦略が採用されます。初期段階の工場では、主に3D NANDフラッシュメモリの生産に焦点を当て、その後の工場ではより先進的な製造プロセス技術が順次導入される予定です。
Micronは、新工場が全自動化されたスマート生産システムを採用し、最も厳格な環境保護設備を整えることを明言しています。これにより、生産能力の向上と同時に、持続可能な発展の要件を満たすことを保証するとしています。
日本のテック業界への影響と今後の展望
Micronによるニューヨーク州での1000億ドル規模の巨大半導体工場建設は、世界の半導体サプライチェーンに多大な影響を与えることは間違いありません。特にAI市場における高性能DRAMやHBMの重要性は今後一層高まるでしょう。この動きは、日本企業にとっても、半導体製造装置や材料、あるいはAI関連技術といった分野で、間接的に大きなビジネスチャンスや影響をもたらす可能性があります。
半導体分野における国家間の競争激化と、サプライチェーンの再構築の動きを象徴する今回のプロジェクトは、Micronが本当に世界のトップに君臨できるのか、今後の動向に大きな注目が集まります。
元記事: pcd
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