中国の人気ブロガー「韓路(Han Lu)」氏が、近年のPC自作市場におけるメモリとSSDの異常な価格高騰について警鐘を鳴らしました。かつてはCPUやグラフィックカードが予算の主役でしたが、今やメモリとSSDが圧倒的な割合を占め、1万元(約20万円)を投じても2年前の半額程度の性能しか得られないと指摘しています。この現象は、AI需要の爆発的な増加と供給構造の変化が背景にあり、日本のPC自作ユーザーにとっても他人事ではありません。果たして、PCパーツ市場に何が起きているのでしょうか。
中国のPC自作市場に異変!メモリとSSDが「主役」に
中国の著名なテクノロジーブロガーである韓路氏は、自身のWeibo(中国版Twitter)で、多くの高校卒業生から1万元(約20万円)のPC自作見積もり相談を受けるものの、「正直、もう組めない」と本音を漏らしました。その主な理由が、メモリとSSDの価格があまりにも高騰しているためです。
韓路氏によると、現在、DDR5 32GBメモリの価格は3000元(約6万円)、1TB SSDは1300元(約2.6万円)にも達しているとのこと。これだけで合計4300元(約8.6万円)が消費され、マザーボード、CPU、グラフィックカードといった主要パーツに回せる予算はわずかになってしまいます。その結果、1万元のPCを組んでも、性能は2年前の4000~5000元(約8~10万円)のPCと大差ない水準になってしまうと警鐘を鳴らしています。
以前のPC自作では、まずグラフィックカードを選び、次にCPUとマザーボードを決め、残りの予算で他のパーツを自由に選ぶのが一般的でした。しかし現在では、メモリとSSDという「大物」を最初に確保し、残った予算でCPUとグラフィックカードを選ぶという、完全に逆転した予算配分になっていると韓路氏は語ります。
価格高騰の背景:AI需要と供給構造の変化
韓路氏の指摘は決して誇張ではありません。今年に入ってから、ストレージチップの価格は高騰の一途をたどっており、特にDDR5メモリとSSD(NANDフラッシュ)の上昇幅は驚くべきものです。
DRAM市場の動向
市場調査会社TrendForceのデータによると、DRAMの契約価格は2024年第1四半期に一時90%〜95%も上昇し、第2四半期も58%〜63%の高騰を記録しました。ある主流の32GB DDR5メモリキットは、約900元(約1.8万円)から約4000元(約8万円)近くまで高騰しているケースもあり、一日で3回も価格が変動する現象さえ見られます。
このDRAM価格高騰の核心的な原因は、AI(人工知能)計算能力の需要爆発にあります。高性能なAIサーバーで使われるHBM(高帯域幅メモリ)の生産能力が大幅に拡大した結果、DDR5などの一般的なDRAMの生産ラインが圧迫されているのです。
NANDフラッシュ市場の動向
NANDフラッシュ(SSDの主要部品)の契約価格も、55%〜60%の範囲で上昇しています。ある主流の1TB SSDは、昨年400元(約8000円)を下回っていたものが、現在では900元(約1.8万円)以上になっています。
NANDフラッシュの高騰背景には、メーカーが生産能力を高性能な企業向けSSDに傾注していることがあります。これにより、消費者向け製品の供給が逼迫し、品薄状態と価格上昇を引き起こしているのです。販売代理店の中には、緊急性の低い消費者に対しては、一時的に購入を控えるよう勧める動きも見られます。
日本のPC自作ユーザーへの影響と対策
このストレージ価格高騰の波は、中国だけでなく世界のDIY PC市場に顕著な影響を与えています。一部のPC自作ユーザーは、32GBメモリの予算を24GBに妥協したり、グラフィックカードとCPUだけ先に購入し、メモリ価格が下がるのを待ってから揃えるといった対応を余儀なくされています。
中国市場で起きているこれらの状況は、時差こそあれ、日本のPCパーツ市場にも確実に波及していく可能性があります。PCの新規購入や自作を検討しているユーザーは、メモリやSSDの価格動向に引き続き注意を払う必要があるでしょう。
まとめ
中国のPC自作市場で起きているメモリとSSDの価格高騰は、AI需要の高まりによる半導体生産構造の変化が深く関わっています。かつてのPC自作の常識が覆され、ストレージデバイスが予算の大部分を占める時代へと変化しつつあるのです。
今後、HBMの生産体制が安定し、一般的なDRAMやNANDフラッシュの供給が回復すれば、価格も落ち着く可能性はあります。しかし、AI市場の成長が続く限り、高性能メモリやストレージへの需要は高止まりするでしょう。日本のPCユーザーも、このグローバルなトレンドを理解し、賢いPC購入・自作計画を立てることが求められます。
元記事: mydrivers
Photo by Marta Branco on Pexels












