中国ライブコマース界のカリスマ的存在である『辛巴(シンバ)』氏がライブ配信業界からの引退を宣言しました。しかし、その直後、彼の妻である初瑞雪(チュウ・ルイシュエ)氏が初の単独ライブ配信を行い、驚異的な売上を記録し、大きな話題となっています。約15時間にわたる配信で、その売上はなんと20億元(日本円で約400億円以上)を突破。しかし、「永久引退」を公言したはずの辛巴氏が、この配信中に複数回登場し、指導を行ったことで、ネットユーザーからは「変相的な販売ではないか?」との疑問の声も上がっています。
驚異の初配信!20億元超の売上を記録
辛巴氏がライブ配信業界からの引退を表明した後、妻の初瑞雪氏が8月29日に初のライブ配信を開始しました。この配信はなんと15時間近くにも及び、最終的な売上は20億元(約400億円)を優に超えるという驚異的な記録を樹立しました。
配信開始からわずか15分でオンライン視聴者数は200万人を突破。2時間後には視聴回数が2400万回を超え、獲得した「いいね」の数は1億件を突破、さらに新規フォロワーも20万人増加しました。この目覚ましい結果に対し、初瑞雪氏自身も「私はこの場に立っている、辛選(辛巴氏のライブコマースグループ)の『定海神針』(基盤を支える重要な存在)である」と満足げに語っています。
「永久引退」のはずが…夫・辛巴の“影”
注目すべきは、辛巴氏が自ら「永久引退」を宣言し、配信には「現れていない」とされていますが、実際には配信中に3度も音声で登場し、そのうち2度は商品の説明を行っていたことです。彼は一方でフォロワーに対し「引き継ぎ作業であり、ライブ配信はもう自分とは関係ない」と語りながら、他方では妻の初配信を「指導する」と発言しており、その言動には矛盾が見られます。
また、辛巴氏は過去に「5回引退宣言して4回復帰した」という批判について、「これまで一度も引退したことはなく、引退したいと言っただけだ」と釈明。しかし今回については「今回こそは、本当に大衆に対して、自分が引退したと正式に告げる」と強調しました。
ネットユーザーの疑問と批判
この一連の出来事に対し、中国のネットユーザーからは「形を変えた販売ではないか」「以前の衛生用品の問題はまだ解決していないのに、一体誰が彼のモノを買っているんだ?」といった疑問や批判の声が多数寄せられています。辛巴氏を巡っては過去に販売商品の品質問題が報じられたこともあり、そのブランドイメージに疑問符が投げかけられている状況です。
まとめ:中国ライブコマースの未来と日本への示唆
今回の辛巴氏と初瑞雪氏の事例は、中国のライブコマース業界におけるインフルエンサーの影響力と、そのビジネスモデルの複雑さを示唆しています。トップインフルエンサーが引退しても、その家族が事業を継承し、同等の(あるいはそれ以上の)売上を上げるという現象は、ブランドの強さと顧客基盤の厚さを物語っています。
しかし、「永久引退」を宣言しつつも配信に関与する姿勢は、ユーザーからの不信感や批判を招くリスクもはらんでいます。中国の巨大な市場と、そこでのライブコマースの活況は、日本企業がEC戦略を練る上で学ぶべき点も多いでしょう。一方で、インフルエンサーマーケティングにおける透明性や、一度失われた信頼をどう回復していくか、あるいは家族ビジネスとしての展開の是非など、様々な課題が浮き彫りになったと言えます。今後も中国ライブコマース界の動向から目が離せません。
元記事: gamersky
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