中国の公募ファンド業界で注目を集める「万家基金」(Wanjia Asset Management)が、経営層の大胆な人事刷新を発表しました。長年の功労者である方一天(ファン・イーティエン)董事長が退任し、後任には元総経理の陳広益(チェン・グアンイー)氏が董事長に昇格。さらに、副総経理を務めていた莫海波(モー・ハイボー)氏が新たな総経理に就任します。この内部昇格を主軸とした「新体制」は、同社の今後の成長戦略にどのような影響を与えるのでしょうか。日本の読者にも分かりやすく、その背景と今後の展望を掘り下げます。
万家基金、経営層が大幅刷新!内部昇格で新時代へ
万家基金の人事異動は、先日の公式発表により確かなものとなりました。4月17日、同社は方一天(ファン・イーティエン)前董事長が個人的な理由により辞任したことを公表。その後任として、陳広益(チェン・グアンイー)前総経理が新董事長に、そして副総経理であった莫海波(モー・ハイボー)氏が新総経理に就任しました。
方一天氏は、上海財政証券や中国証券監督管理委員会(CSRC)での豊富な金融監督経験を持つ人物です。2014年10月に万家基金に入社し、2015年7月からは董事長として同社を牽引。その在任期間は同社史上最長を記録しました。業界関係者によると、方一天氏は今後、上海の別の大手ファンドに移籍し、退任予定の総経理の後任となる可能性が指摘されています。
今回昇格した新経営層は、いずれも万家基金の内部出身者です。新董事長の陳広益氏は2005年3月に入社以来、運用保障部副総監やファンド運用部総監などを歴任し、2021年3月から総経理を務めていました。新総経理の莫海波氏も2015年3月に入社し、その前は財富証券や中銀国際証券で研究員として活躍。2022年8月に副総経理に昇格しています。
新総経理・莫海波氏の輝かしい実績とその戦略
新総経理に就任した莫海波氏は、約11年の投資経験を持つベテランファンドマネージャーです。彼が運用する6つのファンドは、いずれも年率リターンが15%を超え、2026年4月16日時点での運用規模は127.02億元(約2,700億円)に達しています。
莫海波氏の代表作である「万家品質生活ファンド」は、2015年8月の設立以来、累積リターン619.85%、年率リターン20.25%を記録しています。また、「万家新興藍籌ファンド」は設立8年で累積リターン612.71%、年率21.16%という驚異的な成果を上げています。「万家精選」と「万家社会責任定開」の年率リターンはそれぞれ21.85%と27.49%に達し、2020年設立の「万家価値優勢一年持有」も年率16%のリターンを実現しています。これらの数字は、彼の「成績優秀者が昇進する」という昇進ロジックを裏付けるものであり、ファンド業界における人材戦略として、研究・投資能力の強化を重視する傾向を反映しています。
今年に入り、中国の公募ファンド業界では経営層の変動が頻繁に発生しています。Windデータの集計によると、4月16日までに業界全体で52社のファンド会社が経営層の刷新を行い、延べ104人が関与しました。この変動の背景には、株主の戦略調整、会社の事業方向性最適化、個人のキャリアプラン、そして定年退職などが挙げられます。
新体制が描く万家基金の未来戦略
万家基金は、今回の経営層調整を受けて、今後の戦略方向性をメディアに明らかにしました。アクティブ株式運用分野では、「プラットフォーム型、一体化、多戦略」の投資研究体制を深化させる方針です。パッシブ運用(インデックス運用)においては、ETFへの投資を拡大し、業界研究やマクロ戦略などの資源を統合して商品化を進める計画です。
また、低金利環境下での顧客ニーズに対応するため、「固定収益+(債券とその他の資産を組み合わせた商品)」やFOF(ファンド・オブ・ファンズ)のプロダクトラインを拡充し、ドローダウン(最大下落率)を厳しく管理します。同時に、ファンド投資コンサルティングサービスを資産管理システムに組み込むことで、顧客への付加価値向上を目指します。
方一天氏が董事長を務めた期間中、万家基金の運用規模は飛躍的な成長を遂げました。2015年第3四半期末には230億元未満であった公募ファンド規模が、2025年末には5956億元にまで増加し、10年間で約25倍もの成長を達成しました。株主である方正証券の年次報告書によると、万家基金は2025年に営業収入20.75億元、純利益3.75億元を達成し、それぞれ前年比16.63%と14.81%の増益となりました。
新経営層がこの成長トレンドを維持し、さらに発展させることができるか、今後の業界競争の中でその真価が問われることになるでしょう。
まとめ
万家基金の経営層刷新は、単なる人事異動ではなく、中国の金融業界における競争激化と、才能ある人材の囲い込み、そしてパフォーマンス重視の傾向を如実に示しています。特に、莫海波氏のような実力者がトップに立つことで、よりデータドリブンでアグレッシブな投資戦略が展開される可能性も考えられます。日本企業が中国市場を理解する上で、こうした大手金融機関の動きは重要な指標となります。新体制がどのように市場を牽引していくのか、今後の動向から目が離せません。
元記事: pcd
Photo by Felicity Tai on Pexels






