2026年7月、中国ゲーム業界は目まぐるしい変化と活気に満ちています。上海では大規模な「BilibiliWorld 2026」が開幕し、ゲーム、アニメ、クリエイター文化が融合した祭典が繰り広げられる一方、巨人網絡は驚異的な150%超の増益を達成。大手二社からは待望の新作が夏商戦に投入され、市場の競争は一層激化しています。しかし、その陰で人気二次元ゲームの更新停止という厳しい現実も浮上。miHoYoの新作テスト、網易の国家レベル技術賞受賞、そしてグローバルに波及するXboxの組織再編まで、日本の読者も注目すべき中国ゲーム業界の最新動向を深掘りします。
中国ゲーム業界、夏の祭典と経済の躍動
BilibiliWorld 2026盛大に開幕、世界へ
2026年7月10日、中国最大の動画プラットフォームであるBilibili(ビリビリ)が主催する祭典「BilibiliWorld(BW)2026」が上海で華々しく開幕しました。7月12日まで開催されるこのイベントには、170社以上の出展企業と700を超えるブースが集結し、そのうち約130社が国内外のゲーム会社です。ゲーム、アニメ、映像、トレンドカルチャー、クリエイターエコシステムと多岐にわたるコンテンツが披露され、今年は初めて世界190以上の国と地域に向けてチケット販売が実施されました。
会場では、『アークナイツ』『デルタフォース』『原神』『崩壊:スターレイル』『鳴潮』といった人気ゲームのブースやイベントが多数設置され、多くのファンで賑わいました。BWは、従来型のゲームショウとは異なり、ゲーム、アニメ、クリエイター、そしてファン文化のクロスオーバーを強く意識しており、夏商戦に向けてゲームメーカーがブランド認知度を高める重要な舞台となっています。
巨人網絡が驚異の成長、ゲーム市場を牽引
中国の老舗ゲーム会社である巨人網絡(Giant Network)は、2026年上半期の業績が大幅に向上する見込みだと発表しました。7月7日の発表によると、純利益は前年同期比で157.38%〜183.12%増の20億〜22億元(約430億〜470億円、1元=約21.5円換算)に達するとのことです。
この驚異的な成長の主な要因は、協力型アドベンチャーゲーム『超自然行動組』の好調です。同作は春節期間中に単日・単月の売上記録を更新し、第2四半期に入っても安定した収益を維持しています。さらに、海外版『Tomb Busters』は5月27日に日本、韓国、米国でリリースされ、初日には日本のiOS無料ゲームランキングで3位、韓国では7位にランクインするなど、国際市場での成功も貢献しています。この発表後、中国A株のゲーム関連銘柄は軒並み上昇し、巨人網絡の株価は一時ストップ高に迫る勢いを見せました。
中国モバイルゲームが世界市場を席巻:Sensor Tower報告
Sensor Towerが7月8日に発表した2026年6月の中国モバイルゲームパブリッシャー世界収益ランキングによると、中国企業38社が世界のモバイルゲームパブリッシャー収入トップ100にランクインしました。これらの企業は合計で20.6億ドル(約140億元、約2,900億円)を稼ぎ出し、世界のトップ100パブリッシャー全体の収益の41.6%を占めるという驚くべき数字を記録しています。
ランキング上位は騰訊(Tencent)、点点互動(FunPlus)、檸檬微趣(Lemon Game)、網易(NetEase)、miHoYo、三七互娱(37 Interactive Entertainment)が順に並び、大きな変動はありませんでした。特筆すべきは、Kuro Game(庫洛游戏)が『鳴潮』の周年イベント後に『サイバーパンク:エッジランナーズ』とのコラボバージョンをリリースし、6月の収益が前月比39%増となり、パブリッシャーランキングを7位にまで押し上げた点です。また、Bilibiliも『三国:謀定天下』などの新作が牽引し、収益が前月比で倍増、ランキングを17位上げて13位となりました。
製品カテゴリでは、点点互動の『Whiteout Survival』や『Kingshot』、檸檬微趣の『Gossip Harbor』が引き続き好調で、SLG(シミュレーション戦略ゲーム)、カジュアルマージ(合成ゲーム)、サバイバル建造といったジャンルが、中国製ゲームの海外収益の主要な柱であり続けています。
新作攻勢と業界の課題:二次元ゲームの未来は?
大手二社が夏商戦に新作投入!熾烈な争いへ
2026年7月9日、中国ゲーム業界の二大巨頭である騰訊(Tencent)と網易(NetEase)が、それぞれの重点タイトルを同日リリースし、夏のゲーム商戦の幕を切って落としました。騰訊が送り出したのは、浙江無端科技が開発し、騰訊ゲームがパブリッシングする『失控進化』です。PCとモバイルのクロスプラットフォームに対応し、海外で人気のサバイバルゲーム『Rust』のライセンスを受けたオープンワールドサバイバル、資源収集、建設、対戦などが核となる体験です。リリース前の予約者数は4,000万人を突破し、リリース後はiOSの総合・無料ランキングで1位を獲得しました。
一方、網易からは、Jokerスタジオが7年の歳月と500人以上の開発チームを投じて生み出した『遺忘之海』が登場しました。ゴシック様式のアートスタイルと木偶のようなキャラクターが特徴で、航海、探検、キャラクター育成といった要素を融合した海洋冒険RPGです。PC版が先行してオープンベータテストを開始し、モバイル版は7月23日にリリースされる予定です。
『失控進化』がハードコアなSOC(サバイバルオープンワールド)ゲーム、『遺忘之海』が冒険RPGとジャンルは異なりますが、両作とも夏の商戦をターゲットにしています。これは、今年の夏商戦が例年以上に激しい競争になることを示唆しています。
『深空之眼』更新停止に見る二次元ゲームの厳しさ
勇仕網絡(YOUNGSHI NETWORK)が開発・運営するARPG二次元モバイルゲーム『深空之眼』は、7月9日に運営方針の調整を発表し、7月23日のV5.2アップデートをもってコンテンツ更新を正式に停止することを明らかにしました。ただし、サーバーは引き続き稼働し、プレイヤーは通常通りログイン可能です。未消費の有料リソースについては、返金対応が提供されます。サービス終了ではなく「更新停止・サーバー継続」という形は、プレイヤーの権利を一定程度保護するものです。
2022年にサービスを開始し、4年以上運営されてきた『深空之眼』の更新停止の理由は、「ゲームコンテンツの制作品質がプレイヤーの期待に応えられず、市場での成績も理想とは程遠かった」と公式に説明されています。同日、プロデューサーの阿尾氏が長文の謝罪メッセージをプレイヤーに公開しました。
2026年上半期には、『新月同行』『黑色信标』『白荊回廊』など、かつては独自のテーマで一定の評価を得ていた複数の二次元ゲームがサービス終了または更新停止を発表しています。これは、トップクラスのタイトルがコンテンツ供給能力とブランド力で市場の大部分を占める中、中規模の「ミッドコア」二次元ゲームがコンテンツ更新のペース、広告コスト、ユーザー定着率の面でますます大きなプレッシャーに直面している現状を反映しています。これらのタイトルが長期的な運営を維持することは、ますます困難になっていると言えるでしょう。
miHoYo新作『崩壊:因縁精霊』「進化テスト」開始
miHoYo(ミホヨ)の新作『崩壊:因縁精霊』が、7月9日に「進化テスト」を開始しました。このテストはPC、iOS、Androidプラットフォームで実施され、参加者数限定、非課金、データ削除形式で行われます。2025年の初回テスト以来、今回が二度目の大規模なテストとなりますが、正式リリース時期はまだ発表されていません。
『崩壊:因縁精霊』は「精霊育成アドベンチャーストラテジーゲーム」と位置づけられています。プレイヤーはオープンワールドで精霊を発見し育成し、「因縁対決」と呼ばれるバトルを通じて戦います。一部の精霊は特定の条件を満たすことで新たな進化形態を解放することも可能です。miHoYoがこれまでリリースしてきたコンテンツ主導型のゲームとは異なり、『崩壊:因縁精霊』は精霊の収集、チーム編成、戦略的な対戦に重点を置いているのが特徴です。
テクノロジーと再編:業界の未来を形作る動き
網易、デジタルヒューマン技術で国家級栄誉
2026年7月8日、中国科学技術部が発表した2025年度国家科学技術進歩賞の受賞プロジェクトリストに、浙江大学、網易(杭州)網絡有限公司、杭州相芯科技有限公司、浙江凌迪数字科技有限公司が共同で完成させた「知能化三次元デジタルヒューマン制作キーテクノロジーとその応用」プロジェクトが、国家科学技術進歩賞二等賞を受賞しました。これは、中国で最も権威ある科学技術賞の一つです。
この受賞発表後、網易傘下の人気ゲーム『逆水寒』開発チームは、同ゲームがこの技術の重要な研究開発および検証の場であったことを明らかにしました。関連技術はAIキャラクター、プレイヤーがカスタマイズできるインテリジェントエージェント、テキストからのモーションや素材生成といった機能に応用されています。『逆水寒』では、4,000万体以上のAIゲストが登場し、AIスクリプトによる作品が2,000万件近く生成され、シミュレーション経営ゲームの「特殊インタラクション」生成も2,000万件を超えています。
この技術プロジェクトが国家レベルの科学技術賞を受賞したことは、ゲーム製品が大規模な商業応用シーンとして国家級の科学技術プロジェクトに貢献し得ることを示しており、ゲーム業界全体にとって明るいニュースと言えるでしょう。
Xbox、史上最大規模の組織再編へ
2026年7月6日、Xboxは同社史上最大規模となる組織再編を開始すると発表しました。発表内容によると、Xboxは2027会計年度中に約3,200名の削減を計画しており、そのうち約1,600名が発表当日に解雇されました。これは、ゲーム業界全体が直面する経済的な逆風と、企業戦略の再構築の一環として捉えられています。
まとめ
2026年7月の中国ゲーム業界は、BilibiliWorldのような大規模イベントでの盛り上がり、巨人網絡の目覚ましい業績拡大、そして大手二社による新作の投入など、経済的にもコンテンツ的にも大きな躍動を見せています。特に中国モバイルゲームの海外市場での存在感は増すばかりで、その影響力は今後さらに拡大していくでしょう。
一方で、『深空之眼』の更新停止に見られるように、競争が激化する二次元ゲーム市場では、中規模タイトルが厳しい現実に直面しています。これは、コンテンツの質と持続的な更新、そして強力なブランド戦略が、長期的な成功の鍵であることを示唆しています。
また、網易のデジタルヒューマン技術による国家級の評価は、ゲームが単なるエンターテインメントを超え、最先端テクノロジーの応用と発展の場としても重要な役割を担っていることを証明しています。Xboxの大規模な組織再編は、グローバルゲーム業界全体が変革期にあることを示しており、中国市場の動向と合わせて、今後のゲーム業界の方向性を注視する必要があるでしょう。日本のゲームファンや業界関係者にとっても、中国市場のこうした動きは、未来のゲーム体験やビジネスチャンスを考える上で、非常に示唆に富むものと言えそうです。
元記事: chuapp
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