Home / テクノロジー / ゲーム / テンセント馬暁軼氏が語る、ゲーム業界の「不確実性」と未来戦略

テンセント馬暁軼氏が語る、ゲーム業界の「不確実性」と未来戦略

Gaming strategy meeting, Game development brainstorming - テンセント馬暁軼氏が語る、ゲーム業界の「不確実性」と未来戦略

世界的なゲームイベント「Gamescom(ゲームズコム)」で、中国ゲームの存在感がかつてなく高まっています。その中心にいるのが、中国最大手テック企業テンセントグループの高級副総裁、馬暁軼(マー・シャオイー)氏です。2016年から約10年間にわたり、同氏への定期的なインタビューを続けてきたメディアは、その洞察が多くの未来を予見し、また過去の決断の成果を検証してきたと語ります。変化の激しい現代において、彼が語るゲーム業界の「不確実性」と、それを乗り越えるための「原則」とは何でしょうか。この記事では、Gamescomでの圧倒的な存在感を背景に、テンセントが描くゲーム業界の未来戦略に迫ります。

テンセントが信じる「時間の検証」と成功の原則

馬暁軼氏は、ゲーム業界における「不確実性」の高さについて語ります。どれだけ努力し、リソースを投入しても、成功の確率は最高で30%に過ぎないと言います。ユーザーの好みやゲームの難易度など、予測不能な要素が多いためです。昨年のSteamでは約1.9万本、モバイルゲームは約6万本がリリースされましたが、その中で「ロングセラーゲームの収益基準」を超えたのはわずか6本(『鳴潮』、『恋与深空』、『絶地潜兵2(Helldivers 2)』、『黒神話:悟空(Black Myth: Wukong)』、『三角洲行動(Delta Force: Hawk Ops)』、『ゼンレスゾーンゼロ(Zenless Zone Zero)』)のみ。これらの成功作の共通点は、開発チームがそれぞれの分野で長い経験を持ち、何度も反復と改善を重ねてきたことだと分析します。

「私たちは、ある製品が成功した理由を特定の方法で探しがちですが、実際には成功確率を高めることが核心であり、その結果として成功が生まれると信じています」と馬暁軼氏は語ります。彼は、成功は単一の「十分条件」ではなく、10個以上の「必要条件」をクリアして初めて「抽選資格(成功のチャンスを得るための条件)」が得られるようなものだと例えます。かつて業界で盛んに議論された「工業化」も、今では多くの企業が到達した「必要条件」の一つに過ぎません。工業化なくしては現在の業界標準の品質に追いつくことは困難ですが、それが成功を保証するわけではないのです。

だからこそ、馬暁軼氏は「反復」の重要性を強調します。抽選資格を得たとしても、成功確率は最高で30%。10回試して1回成功すれば良い方だと考え、チームには「一度で成功することは非現実的であり、継続的に挑戦できることを知ってほしい」と伝えていると言います。

ヒット作を生み出す「長期視点」と「絶え間ない変革」

ロングセラーゲームの誕生は結果論であると馬暁軼氏は語ります。例えば、テンセントの最新作『三角洲行動(Delta Force: Hawk Ops)』の成功も、後から振り返れば重要な二つの決断があったと言います。

一つ目は「PC First(PC優先)」という決断です。モバイルゲームが主流の中国市場で、あえてPC版から開発を進め、品質を徹底的に磨き上げてからモバイルに移植するという戦略が、制作水準を飛躍的に向上させました。これはPCプレイヤー層の拡大という「運」も味方した側面があるとのことです。

二つ目は「『搜打撤』(探索・戦闘・離脱)というジャンルが大衆化する可能性」を見出したことです。かつてはニッチでハードコアなジャンルとされていたものを、より幅広い層に受け入れられるポテンシャルがあると判断しました。これらの決断は、今でこそ成功によって「容易に、明白に」見えるものの、当時の状況下では非常に困難な判断だったと振り返ります。

テンセントはまた、社内で「XO」と呼ばれる組織構造の継続的な見直しと改善を推進しており、「XO1.0、XO1.1、XO2.0」とバージョンアップを重ねています。これはゲーム開発、マネジメント、戦略の全てにおいて「反復」の力を信じる姿勢の表れです。馬暁軼氏は、ゲーム業界のサイクルが以前の2~3年から、現在は4~5年というより長い期間になっていると指摘します。現在の好業績を支えるプロジェクトの多くは、2021年頃に意思決定されたものであり、「まるで格闘ゲームでパンチを繰り出して、それがヒットするのを待つように、私たちは何も変えていないのに、突然全てが好転した」と、時間差で結果が現れるゲーム開発の特性を語りました。この長期的な視点こそが、現代のゲーム開発における新たな常識であると彼は強調します。

まとめ

テンセントグループ高級副総裁の馬暁軼氏の言葉からは、変化の激しいゲーム業界で成功を掴むためには、短絡的な手法に囚われず、「不確実性」を受け入れ、長期的な視点で「原則」を信じ、絶え間ない「反復」と「変革」を続けることが不可欠であるという強いメッセージが伝わってきます。特に、中国のゲーム企業がグローバル市場で存在感を増す中で、テンセントのようなリーディングカンパニーが持つこの哲学は、日本のゲーム開発者や企業にとっても多くの示唆を与えることでしょう。最終的な目標が「良いゲームを作る」というシンプルなものであれば、テンセントはより長期的な計画を受け入れる準備があると言います。今後のテンセントの動向、そして中国ゲーム業界全体の進化から目が離せません。

元記事: chuapp

Photo by Pavel Danilyuk on Pexels

タグ付け処理あり:

メーリングリストに登録

毎週のニュースレターで最新情報をキャッチアップ。今すぐ登録して、大切な情報を逃さずチェック!

利用規約に同意します

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

AI特集

メーリングリストに登録

毎週のニュースレターで最新情報をキャッチアップ。今すぐ登録して、大切な情報を逃さずチェック!

利用規約に同意します

関連リンク

にほんブログ村 ニュースブログ ITニュースへ