中国のゲームデベロッパー「上海涼屋ゲーム」が開発する新作ARPG『楼蘭:詛咒之沙』(Lou Lan: Curse of Sand)が初のPVを公開し、その高いクオリティで注目を集めています。砂漠と枯骨、古代建築が織りなす西域ファンタジーの世界観、そして俯瞰視点での爽快な戦闘アクションは、数ある国産ゲームの中でも異彩を放っています。しかし、真に驚くべきはその開発チームの顔ぶれです。元「Halo」や「God of War」シリーズを手掛けたベテランクリエイターが率い、FromSoftware作品や『暗影火炬城』の開発者も集結。「大手ゲーム会社から小規模スタジオへ」という異色の経歴を持つ彼らが、いかにしてこの期待作を生み出しているのか、プロデューサーの槐宏文氏へのインタビューからその秘密を探ります。
伝説級クリエイター集結!『楼蘭』開発チームの秘密
新作ARPG『楼蘭:詛咒之沙』のPVが公開され、その独特な世界観と爽快なアクションが大きな話題を呼んでいます。黄砂舞う西域を舞台にした写実的な幻想世界、俯瞰視点での多彩な武器とスキルを駆使したバトルは、プレイヤーの期待を大きく高めています。この期待作を手掛けるのは、上海涼屋ゲームというわずか16人の小規模スタジオ。しかし、その中身は驚くべき顔ぶれです。
中心となるプロデューサーの槐宏文氏は、かつて343スタジオやサンタモニカスタジオといった海外の大手デベロッパーで、「Halo」や「God of War」シリーズの開発に10年以上にわたり携わったベテラン。さらにチームには、FromSoftware作品や、高い評価を得た『暗影火炬城』に携わった熟練のクリエイターも名を連ねています。「ベテランから若手まで三世代が集結した」と評されるこのチームが、いかにして大手では成し得ない作品を創り出しているのか、触楽のインタビューから紐解いていきましょう。
大手では通用しない?小規模チームに必要な「資深多面手」
アイデアとリアリティから生まれるプロジェクト
槐氏によると、上海涼屋ゲームのチームは独立して運営されており、深圳の涼屋ゲームとはゲーム開発の理念を共有しつつも、異なるアプローチを取っています。彼らは単なる短期的なヒットを狙うのではなく、長期的な視点でゲーム開発に取り組み、複数のIPと高品質な製品を生み出すことを目指しています。
実は、『楼蘭』は彼らの最初のプロジェクトではありません。2020年のチーム設立当初は、3Dの仙侠(仙人や神魔の要素を取り入れたファンタジー)ローグライクを模索していたとのこと。しかし、深圳涼屋ゲームのピクセルアート系ローグライクに合わせようとした結果、チームのDNAと合わないと感じたそうです。そこで2022年上半期、彼らの強みである3DアクションRPGに焦点を当て直し、現在の『楼蘭』の企画がスタートしました。
槐氏は、プロジェクトの立案は単なる「ひらめき」から生まれるものではないと語ります。チームの過去の経験、例えば歴史幻想や写実幻想のスタイル、そして関門やアクションのノウハウといった蓄積が、『楼蘭』のような西域を舞台にした作品と強く結びついたのです。チームの得意分野と合わないアイデアであれば、たとえ魅力的でも採用しないという明確な方針が伺えます。
大手にはない「多才なベテラン」の強み
小規模チームである上海涼屋ゲームが、大手デベロッパーとは異なるアプローチで開発を進めている点は非常に興味深いポイントです。槐氏は、数百人規模の大手スタジオが「工業化」と「プロセス」を重視し、専門分野に深く特化した人材を求めるのに対し、小規模チームでは「資深多面手(ベテランのマルチプレイヤー)」が不可欠だと強調します。
彼らのチームでは、中核メンバーが通常1.5から2部門を兼任しています。例えば、『楼蘭』のようなARPGでは、ベテランのレベルデザイナーが環境アーティストの知識も持つことで、ビジュアルとゲームプレイの最高の相乗効果を生み出すことができます。また、戦闘システムの開発では、アクションのフィーリングや手触りを理解するだけでなく、プログラミングやスクリプトの知識も持つ人材が求められます。大手では複数の役職に分担されるような作業を、一人でこなすことで、限られたリソースの中で高い生産性と創造性を実現しているのです。
アクションゲームの開発は、経験が非常に重要であり、近道はありません。幸いにも上海涼屋ゲームのチームは豊富な経験を持つため、大きな回り道をすることなく開発を進められています。
『楼蘭』が目指すもの:ハードコアではない、幅広いプレイヤーへのアプローチ
「ソウルライク」でも「デビルメイクライ」でもない、独自の道
一口にアクションゲームと言っても、「ソウル」シリーズのような低速・高難度なものから、「ベヨネッタ」や「デビルメイクライ」のような高速で華麗なものまで様々です。『楼蘭』は純粋なアクションゲームではなく、ARPG(アクションRPG)として位置付けられています。これは、RPGの成長要素もゲームの魅力の一つと考えているからです。
また、彼らは『楼蘭』を「ハードコアなゲーム」とは定義していません。開発中のプレイヤーテストでは、「難しい」と感じたプレイヤーはいなかったとのこと。より多くのプレイヤーが楽しめるように、幅広い層にアピールするゲームを目指しています。
昨今のゲーム開発では、特定の作品からの「既視感」が指摘されることも少なくありません。同じゲームエンジン(Unreal Engine 5など)を使用すればグラフィックが似てきたり、カメラアングルが『仁王』や『ディアブロ4』に似ていると言われることもあります。また、パリィシステムがあれば『SEKIRO』、巨大ボスとスタミナ要素があれば「ソウル」シリーズを連想させがちです。
しかし、『楼蘭』のチームは、意図的に特定の強固なベンチマーク作品を設定していません。彼らが好きなゲームの要素を組み合わせつつも、独自のデザインと視点で、他の作品との差別化を図ることに注力しています。無意識のインスピレーションは避けられないものの、独自の戦闘体験と世界観を創り出すという明確な目標を持って開発が進められています。
まとめ:ベテランの知見と独自の哲学で切り開く未来
『楼蘭:詛咒之沙』の開発チームは、「遊び方を核としたプロジェクト」という明確な哲学のもと、世界観やアートといった要素を構築しています。多くの小規模スタジオが直面するプロジェクト管理の課題に対し、彼らはベテラン開発者の豊富な経験と、固定観念にとらわれない柔軟なアプローチで立ち向かっています。
大手スタジオでの成功体験を持ちながらも、小規模な独立チームとして新たな挑戦を続ける上海涼屋ゲーム。彼らの情熱と独自の哲学が詰まった『楼蘭:詛咒之沙』は、中国ゲーム業界の新たな可能性を示すだけでなく、日本のゲームファンにとっても注目すべき存在となるでしょう。今後のさらなる情報公開と、ゲームのリリースが待ち遠しい限りです。
元記事: chuapp
Photo by Monstera Production on Pexels












