中国テクノロジー業界では、このほど複数のビッグニュースが報じられました。半導体企業のWillsemiが上海証券取引所科学技術イノベーション板(科創板)でのIPOで初値5倍超を記録し、AIユニコーンのMiniMaxとZhipu AIが香港上場へ向けて前進。さらにTencentはOpenAIの元研究者を迎え、AI体制を大幅に強化しました。一方、米国ではSpaceXが2026年のIPOに向けた「規制上の静粛期間」に入ったことを従業員に通知。国内外のテック業界の「今」と「これから」を象徴する動きを深掘りします。
中国テック企業の躍進:IPOとAIユニコーン
半導体大手Willsemi、科創板で初値5倍超の「億万長者メーカー」に
Willsemi Integrated Circuit (Shanghai) Co., Ltd. (以下、Willsemi) が、上海証券取引所科学技術イノベーション板(通称:科創板、STAR Market)に正式に上場しました。発行価格は1株あたり104.66元でしたが、初値でなんと568%もの急騰を記録し、その後時価総額は3,000億元(約6兆円)を突破しました。これにより、わずか1単位(通常500株)保有していた投資家は、30万元(約600万円)を超える利益を得た計算になります。科創板ではわずか半月の間に、時価総額1,000億元を超えるIPOが2件も誕生したことになり、その勢いは目を瞠るばかりです。
Willsemiの創業者兼経営者である陳維良(Chen Weiliang)氏は、かつて半導体大手AMD(超威半导体)に10年以上勤務した経歴を持ち、そこで出会った仲間と共に2020年にWillsemiを創業しました。創業から現在に至るまで、同社には100社以上の投資元が名を連ねており、その数の多さは業界で驚きをもって受け止められています。
AIユニコーンMiniMaxとZhipu AI、香港上場へ加速
中国を代表するAI大規模モデルのユニコーン企業であるMiniMax(稀宇科技)とZhipu AI(智譜AI)の2社が、香港証券取引所による上場聴聞を通過したと報じられました。これらの情報は、澎湃新聞(The Paper)が複数の関係者から得たものです。両社とも現時点ではこの件に関するコメントを控えていますが、業界内で最も注目されているAIスタートアップ企業として、その上場スピードは市場の予測を上回るものとなっています。
TencentがAI戦略を強化、元OpenAI研究員を招聘
Tencentは、大規模モデルの研究開発体制を強化するため、新たにAI Infra部、AI Data部、データ計算プラットフォーム部を設立したことを発表しました。これにより、大規模モデルの研究開発システムと中核能力を全面的に強化する方針です。
特に注目すべきは、元OpenAI研究員の姚順雨(Yao Shunyu)氏が、「CEO/総裁弁公室」首席AI科学者として就任したことです。姚氏はTencent総裁の劉熾平(Liu Chiping)氏に直接報告を行い、同時にAI Infra部および大規模言語モデル部の責任者も兼任し、技術工程事業群総裁の盧山(Lu Shan)氏にも報告する体制となります。新設されたAI Infra部は、大規模モデルの訓練と推論プラットフォームの技術能力構築を担当します。
SpaceX、2026年IPOへ向け「サイレントピリオド」突入
関係者の情報によると、SpaceXは従業員に対し、同社が規制上の「静粛期間(サイレントピリオド)」に入ると通知しました。これは、ロケットおよび衛星製造事業者であるSpaceXが、2026年に計画されている新規株式公開(IPO)に向けて一歩近づいたことを意味します。
内部メールの内容を引用した関係者の話では、SpaceXは従業員に対し、米証券取引委員会(SEC)の規制に準拠するため、会社の成長や評価額などのIPO計画に関してコメント、議論、または宣伝を行うことを避けるよう求めています。この制限は、ソーシャルメディア、インタビュー、会議、公の場での活動にも及ぶとのことです。
まとめ
今回のニュースは、中国テック業界の目覚ましい発展と、AI分野における熾烈な競争を浮き彫りにしています。WillsemiのIPO成功は、半導体産業への投資熱が高まっていることを示し、MiniMaxとZhipu AIの香港上場への動きは、AIユニコーン企業が次の成長フェーズへと移行しつつあることを物語っています。特にTencentがOpenAIの元研究者を迎え入れたことは、中国企業が世界のAI人材獲得競争に積極的に参画し、グローバルなAI技術開発を加速させている明確なサインと言えるでしょう。
一方、SpaceXのIPOに向けた動きは、宇宙産業という新たなフロンティアにおける民間企業の成長と、それがもたらす金融市場への影響を示唆しています。これらの動向は、日本企業にとっても、中国市場の潜在力やAI技術の進化、宇宙産業の動向を注視し、新たなビジネスチャンスやパートナーシップの可能性を探る上で重要な示唆を与えてくれるでしょう。
元記事: pedaily
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