中国のロボット開発企業「宇樹科技(Unitree Robotics)」が、上海証券取引所のハイテク企業向け市場「科創板(スターマーケット)」への上場手続きを本格化させました。資金調達目標はなんと42.02億元(約840億円)。四足歩行ロボットと人型ロボットの両輪で、2025年には売上17億元、純利益6億元を突破。研究開発から一般消費者、そして産業応用まで、多様な市場で存在感を高める宇樹科技の驚異的な成長戦略とコスト競争力に迫ります。
中国ロボット界の新星「宇樹科技」が科創板上場へ!
中国の革新的なロボット企業、宇樹科技(Unitree Robotics)が、上海証券取引所のハイテク企業向け市場「科創板(スターマーケット)」への上場準備を進めています。科創板は、中国の科学技術イノベーションを推進するため2019年に開設された、ナスダックのような役割を果たす市場です。宇樹科技は公開予定株数が4044.64万株以上、総額42.02億元(約840億円)の資金調達を目指しており、これは科創板の事前審査制度導入後、2番目の申請企業となります。
同社は汎用ロボットの研究開発を核としており、四足歩行ロボットと人型ロボットの「二刀流」戦略を展開。その成果として、2025年には売上高17.08億元(約340億円)、純利益6億元(約120億円)を達成するなど、目覚ましい成長を遂げています。
四足歩行ロボットと人型ロボット、両輪で市場を牽引
累計3万台突破の四足歩行ロボット
宇樹科技の四足歩行ロボットは、2017年の初代製品「Laikago」の登場以来、累計販売台数が3万台を突破しています。当初は研究機関が主な顧客でしたが、現在では商業施設での活用が42.3%、産業用途が26.12%(2025年第1~3四半期データ)を占めるなど、用途が多様化。特に消費者向け製品のオンライン販売額は、前年同期比で347%もの急増を見せています。
爆発的成長を遂げる人型ロボット
一方、人型ロボット事業はさらに爆発的な成長を遂げており、同期間の売上比率は51.53%に達しています。出荷台数は5500台以上を記録し、特に中型モデル「G1シリーズ」は、8.5万元(約170万円)という戦略的な価格設定により、人型ロボット売上の88.9%を占める主力製品となっています。
顧客構成では、依然として研究・教育機関が73.6%と大きな割合を占めますが、企業向けの案内ロボットやスマート製造現場での活用など、産業応用シナリオが急速に拡大しています。招股説明書(上場目論見書)が指摘する「研究需要の先行性」が、まさにラボから現場、そして市場へと進化する同社の軌跡を証明しています。
圧倒的なコスト優位性と市場への浸透戦略
自社開発によるコスト競争力
宇樹科技の強力な競争力の源泉は、そのコスト優位性にあります。モーターや減速機といったロボットの心臓部となる主要部品を自社で研究開発・製造することで、外部からの部品調達コストを全体の14%~18%に抑えることに成功しています。これにより、四足歩行ロボットの単体コストは2022年の2.23万元から1.21万元へと大幅に削減され、粗利率は42.36%から55.49%に向上しました。
人型ロボットの粗利率も、G1シリーズの構成比率上昇により一時的に62.91%と微減したものの、依然として業界平均を大きく上回る高い水準を維持しています。例えば、世界的な大手企業であるボストン・ダイナミクスの四足歩行ロボット「Spot」が50万元(約1000万円)で販売されているのに対し、宇樹の消費者向けモデル「Go2 Air」は1万元(約20万円)を突破。さらに中型人型ロボット「R1 Air」は2.99万元(約60万円)という価格で提供されており、その価格破壊力は驚異的です。
メディア露出による販売促進
同社は市場露出にも積極的で、その効果は絶大です。2025年上半期には、同社のロボットが中国中央電視台の国民的番組「春節聯歓晩会(春晩)」に登場。これにより、第2四半期の人型ロボット売上は前四半期比で167.15%もの驚異的な成長を記録しました。一時的な反動減はあったものの、第4四半期には2.81億元の売上を達成し新記録を樹立。年間受注残高も前年比93.15%増の2.82億元に達しています。2026年の春晩でも25台のロボットによる集団パフォーマンスを披露するなど、その影響力をさらに強固なものにしています。
出荷台数世界一を巡る論争と世界の競合
招股説明書によると、2025年の人型ロボット出荷台数は5500台を超えています。これは一部の市場調査レポートで智元(Zhiyuan)がリードしているという見方に対し、宇樹側は統計範囲の違いによるものと説明しています。
賽迪伝媒(CCID Media)の同一基準によるレポートでは、宇樹科技が5500台以上で世界首位に立ち、2位の智元を1500台上回るとされています。海外の競合企業を見ると、FigureやAgility Roboticsの年間出荷台数がそれぞれ約150台程度であり、テスラ社の「Optimus」に至ってはまだ量産段階にありません。このデータは、宇樹科技が人型ロボット市場で他社を圧倒する出荷規模を達成していることを示しています。
まとめ
宇樹科技は、四足歩行ロボットと人型ロボットという二つの柱で急速な成長を遂げ、科創板上場という新たなステージへと歩を進めています。徹底した自社開発によるコスト競争力と、メディア露出を巧みに利用した市場浸透戦略は、同社を汎用ロボット市場の世界的リーダーへと押し上げつつあります。
研究機関向けから産業応用、そして一般消費者へと市場を広げる宇樹科技の成功は、まだ初期段階にある汎用ロボット産業の商業化における重要な一歩となるでしょう。日本市場においても、高性能かつ低価格なロボットの登場は、様々な産業における自動化や省力化を加速させる可能性を秘めており、今後の動向から目が離せません。
元記事: pcd
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