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「消えた」と噂された5年を経て…30人チームが挑む中国武侠RPG『錦衣衛』の激動の開発秘話

game development team Wuxia warrior - 「消えた」と噂された5年を経て…30人チームが挑む中国武侠RPG『錦衣衛』の激動の開発秘話

中国のゲームスタジオ「成都蒼墨ゲーム工作室」が開発する武侠アクションRPG『錦衣衛』。2022年の初公開から5年、『代号錦衣衛(コードネーム:錦衣衛)』として注目を集めながらも、約1年半の沈黙期間を経て、「開発中止か?」との憶測を呼んでいました。しかし2026年1月末、正式タイトル『一盞秋声:錦衣衛』を発表し、新たなPVを公開。再生数は瞬く間に100万回を超え、多くのプレイヤーがその復活に熱狂しました。一体この1年半、スタジオに何が起きていたのでしょうか?そして、わずか30人ほどのチームで「数千万元規模」という、いわゆる「2A品質」の大作に挑む彼らの情熱と困難に迫ります。

沈黙の1年半と「2A品質」への激変の舞台裏

突然の露出と「中国之星」選出、そして深い沈黙

成都蒼墨ゲーム工作室は、2022年にわずか6人のチームで開発中だった『代号錦衣衛』のPVを中国の大手動画プラットフォーム「Bilibili(ビリビリ)」で初めて公開し、多くのプレイヤーの注目を集めました。同年には投資も獲得し、制作人の離憂先生はチームを率いて成都での起業へと踏み出します。そして2024年1月には新たなPVを公開し、同年7月にはソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が中国の優秀なインディーゲームを支援するプログラム「中国之星(PlayStation China Hero Project)」にも選出され、期待は高まるばかりでした。

しかし、その後スタジオはパタリと沈黙。ゲームに関する新たな情報は一切発表されなくなり、その状態が約1年半も続きました。この期間中、プレイヤーからは「『代号錦衣衛』はどうなった?まだ開発は続いているのか?」といった疑問や、「開発中止になったのではないか」といった不安の声がSNS上で飛び交いました。そんな中、2026年1月末に突然、新たな予告PVが公開され、正式タイトルが『一盞秋声:錦衣衛』に決定したことが発表されたのです。この復活劇に、プレイヤーは大きな驚きと喜びをもって迎えました。

資金難と「2A品質」への転換

なぜ、スタジオは1年半もの間沈黙を続けていたのでしょうか? 制作人の離憂先生が触楽(Chuapp)のインタビューで明かしたのは、「極めて現実的な困難、すなわち資金問題」でした。2024年8月には新たな投資を獲得したにもかかわらず、投資市場の変化により、予想外の資金難に見舞われたといいます。会社口座の残高がゼロになり、給与の支払いのために借金をすることもあったほど、状況は深刻でした。しかし、メンバーのゲーム開発への純粋な情熱に支えられ、制作人は粘り強く資金調達の道を模索しました。

彼らはこの状況を打開するため、大きな決断を下します。当初は独立ゲームとして開発を進めていましたが、より大きな資金を獲得するため、そしてゲームをより魅力的なものにするために、「独立ゲームの品質から、より高い『2A品質』のシングルプレイゲームへと移行する」ことを選択したのです。これに伴い、短期間で大幅に美術面への投資を増やし、モーションキャプチャやシーンスキャンといった最先端の3D技術を導入しました。この変化はチームメンバーに大きな負担と不安をもたらしましたが、離憂先生は「現在の『錦衣衛』は、単なる武侠の雰囲気だけを追求するゲームではない。あらゆる側面で面白く、ユニークでなければならない」と語り、チームを鼓舞し続けました。そして、チームは20人強から30人強へと拡大し、新たなオフィスへ移転。文字通り、大作を開発するための体制を整えていったのです。

『錦衣衛』の魅力と革新的なゲームプレイ

明朝末期の「錦衣衛」が織りなす武侠アクションRPG

『錦衣衛』は、明朝末期を舞台にした武侠アクションRPGです。プレイヤーは「推演」と呼ばれる特殊能力を持つ錦衣衛(明朝時代の秘密警察組織)の一員として、二重の身分を持つ潜入捜査官を演じます。ゲームプレイは「モンスターハンター」シリーズに似ており、プレイヤーは拠点となる街でキャラクターを育成し、そこから様々な「箱庭型」のステージへと赴き、探索や戦闘を繰り広げます。

特に注目すべきは、今回PVで大々的に紹介された主人公の「推演能力」です。これは、時間を遡り、過去の出来事を追体験する「天衍術(てんえんじゅつ)」と呼ばれる能力で、異なるアイテムや「時間メカニズム」(戦闘によって時間が流れ、探索では流れない)と組み合わせることで、敵を倒す速度によって異なるストーリー展開や結末が生まれるといいます。この革新的な「時間回溯」メカニクスは、PV公開後、多くのプレイヤーから「非常に面白い」と高い評価を受けました。離憂先生も「アイデアが実際に形になることが最も重要だ」と語り、このシステムが物語に深みを与え、プレイヤー体験を豊かにする可能性に興奮を隠しませんでした。

「確固たる信念」が支える開発哲学

「プロジェクトが頓挫する原因はたくさんあるが、内部的な要因としては『不確かな気持ち(不坚定)』が一番大きい。だが、十分な『確固たる信念(坚定)』さえあれば、プロジェクトは必ず完成させられる」。これは、制作人の離憂先生がチームメンバーに伝え続けてきた言葉です。2021年に独立ゲームとして企画された当初、『錦衣衛』は2年ほどで完成させる計画でした。「独立ゲームは全てを完璧にする必要はなく、特定の方向性が突出していれば成立する」というのが、当時の彼の考えでした。

しかし、市場の変化やプレイヤーからの期待、そして資金の問題に直面する中で、彼らは独立ゲームの枠を超え、より高品質な2Aタイトルへと舵を切ることを決断しました。この大きな方針転換は容易なことではありませんでしたが、離憂先生の「確固たる信念」がチームを支え、困難を乗り越える原動力となったのです。現在の美術品質についても、「私たちが開発を完了できるギリギリの品質だ」と正直に語りつつも、「幸いなことに、プレイヤーはこの品質で満足してくれている。そして私たちも実現できる」と自信をのぞかせました。

まとめ:日本市場への期待と中国ゲーム開発の底力

「消滅した」とまで噂されながらも、資金難という極めて現実的な壁を乗り越え、より高い目標を掲げて復活を遂げた『一盞秋声:錦衣衛』。その開発には、離憂先生と30人を超えるチームの、ゲーム開発への揺るぎない情熱と「確固たる信念」が凝縮されています。

ソニーの「中国之星」プログラムにも選出された本作は、日本市場での展開も大いに期待されます。明朝末期の壮大な世界観、ユニークな時間回溯メカニクス、そして「モンスターハンター」ライクな骨太なアクションRPGという組み合わせは、日本のプレイヤーにも十分にアピールできるでしょう。中国のゲーム開発スタジオが、時に困難に直面しながらも、その底力と情熱で世界に向けて新たな挑戦を続ける姿は、私たち日本のゲーム業界にも刺激を与えてくれるはずです。今後のさらなる進展と、正式リリースが待ち望まれます。

元記事: chuapp

Photo by RDNE Stock project on Pexels

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