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中国ICY Tech、Samsung 8nm eMRAMでエッジAIチップ開発に成功!アジア初の快挙

AI chip semiconductor chip - 中国ICY Tech、Samsung 8nm eMRAMでエッジAIチップ開発に成功!アジア初の快挙

中国のAIチップ企業ICY Techが、Samsungの8nm組み込みMRAM(eMRAM)プロセスを活用し、エッジAIチップのテープアウトに成功したと発表しました。これはアジア地域で初めての8nm eMRAM商用化事例となり、中国AIチップが先進的なメモリとコンピューティングアーキテクチャの分野で大きな一歩を踏み出したことを示します。特に、不揮発性で低消費電力なeMRAMの採用は、今後のエッジAIデバイスの性能向上と普及に貢献する画期的な進展として注目されています。

中国AIチップの新たなマイルストーン

2024年5月8日、中国のAIチップ開発企業ICY Tech(寒武紀科技)が、SamsungのエコシステムデザインパートナーであるSEMIFIVEと連携し、Samsungの8nm eMRAMプロセスを用いてエッジAIチップのテープアウトを完了したと報じられました。

この成果は、アジア地域において8nmプロセスで組み込み型MRAM(eMRAM)を商用化する初の事例となります。ICY Techが基盤となるコア技術開発を主導したこのプロジェクトは、中国のAIチップ業界が、先進的なストレージとコンピューティングアーキテクチャの分野で画期的なブレークスルーを実現したことを明確に示しています。

MRAM(磁気抵抗メモリ)は、不揮発性(電源を切ってもデータを保持する)、高速、高耐久性、低消費電力といった特徴を持つ次世代メモリとして期待されています。特に「組み込み型MRAM(eMRAM)」は、プロセッサと一体化させることで、より高速で効率的なデータ処理を可能にします。

画期的な技術的特徴とアーキテクチャ

MRAM+SRAMハイブリッドアーキテクチャで「メモリウォール」を突破

ICY Techは、通常のASIC(特定用途向け集積回路)開発プロジェクトとは異なり、MRAMのビットセル設計、周辺回路、高帯域幅読み出し回路、さらには大規模モデル推論アルゴリズムアクセラレーションなどの基層設計全体を主導しました。一方、SEMIFIVEはバックエンドの実装とMPW(Multi-Project Wafer)によるテープアウトを支援しています。

このプロジェクトでは、「基層アーキテクチャの自社開発と国際エコシステムの連携」というユニークな協力モデルが確立されました。従来のIP(知的財産)を呼び出すだけの手法を超え、MRAMとSRAMを組み合わせたハイブリッドストレージアーキテクチャを革新的に採用し、従来のAIチップが直面していた「メモリウォール(プロセッサとメモリ間のデータ転送速度の差による性能ボトルネック)」の問題に直接対処しています。

eMRAMをチップ上の大規模SRAMの代替として使用することで、プロセス微細化に伴うSRAMの面積効率低下や高消費電力といった課題を効果的に解決。さらに、近接メモリ処理(PNM: Processing Near Memory)アーキテクチャGEMV計算を組み合わせることで、Transformer推論における主要なアルゴリズムを高速化し、最大20億パラメータの大規模モデルのエッジデバイスでの実行をサポートします。

国際トップレベルに匹敵する性能

この新チップは、その性能において国際的なトップレベルの推論チップに匹敵し、メモリ密度とエネルギー効率の面で優位性を達成しています。

主な用途としては、AIエージェントやヒューマノイドロボットといったエッジシナリオに焦点を当てつつ、汎用AIやクラウド推論センターへの適用も可能です。GPU/HBM(High Bandwidth Memory)システム以外の、高性能な推論アクセラレーションモジュールとしての役割も期待されています。

eMRAMの不揮発性、高帯域幅、低消費電力という特性は、特に消費電力とスペースが制限されるエッジデバイスにとって理想的であり、中国のエッジAIアプリケーションに強力なコアコンピューティング能力を提供します。

まとめ:中国AIチップの進化と今後の展望

今回のICY TechとSamsungの提携による8nm eMRAMエッジAIチップのテープアウトは、中国のAIチップ産業がグローバルな技術競争において、独自の技術開発力と国際的な協業能力を兼ね備えていることを証明するものです。北京大学物理学院応用磁学センターの技術蓄積を背景に、スピンエレクトロニクスとメモリ・コンピューティング統合分野における重要な成果として、その存在感を高めています。

今後、エッジAIの進化は、自動運転、スマートシティ、ロボティクスなど、多岐にわたる産業に大きな影響を与えるでしょう。日本を含む世界のテック企業にとっても、この先進的なeMRAM技術の動向は、次世代AIデバイス開発における重要な要素となるはずです。中国発のこの技術革新が、今後のAIチップ市場にどのような波紋を広げるのか、引き続き注目していく必要があります。

元記事: pconline

Photo by Tima Miroshnichenko on Pexels

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