先日、OpenAIが次世代フラッグシップモデル「GPT-5」をリリースし、世界中で大きな注目を集めました。その直後、共同創設者兼CEOのサム・アルトマン氏がCleo Abram氏のポッドキャストに登場し、GPT-5がもたらすブレークスルー、AI技術発展における4つの大きなボトルネック、そして2027年末にAIが重大な科学的発見を成し遂げる可能性について語りました。さらに、衝撃的な予測として「GPT-8が癌の治療法を見つけるかもしれない」とも断言。AIが私たちの未来をどのように形作るのか、その最前線に迫る注目のインタビュー内容を詳しく見ていきましょう。
GPT-5の衝撃:AIが「即座にソフトウェアを創る」新時代へ
「GPT-4は、私たちが使うAIの中で最も“賢くない”モデルになるだろう」――アルトマン氏が以前語ったこの言葉は、GPTシリーズの進化の速さを物語っています。SATやLSATなどの試験で人間の90%を凌駕し、プログラミングや医療資格試験までパスするGPT-4に続き、今回リリースされたGPT-5は何を可能にするのでしょうか。
アルトマン氏によれば、GPT-5の最大の進化は、プログラミング、ライティング、そして複雑な問題解決能力において劇的に向上した点にあります。特に注目すべきは、ほぼリアルタイムで専門レベルのソフトウェアを生成し、その場で修正・改善できる能力です。
アルトマン氏は、中学時代に夢中になった「TI83電卓で作るスネークゲーム」の思い出を語りながら、GPT-5の驚異的な能力を説明しました。当時、数時間かけて手作業でコードを書いていたこのゲームを、GPT-5はわずか7秒で完璧に作成してしまったというのです。さらに、ゲームに新機能を追加したいと思えば、その場で指示するだけでリアルタイムにゲームが更新されます。この体験は、アルトマン氏に「子どもたちが『石器時代』のプログラミングを学ぶ苦労を逃してしまう」という一瞬の懸念を抱かせつつも、すぐに「新しいツールを使って、アイデアを形にするスピードが信じられないほど速くなる」という興奮へと変わったといいます。
この「AIが瞬時にソフトウェアを創る」能力は、GPT-5時代の決定的な特徴であり、GPT-4では到達できなかった領域だとしています。つまり、GPT-5は単に質問に答えるだけでなく、ユーザーの思考をコードとして具現化する、まさに「創造の加速装置」となる可能性を秘めているのです。
AI進化の光と影:サム・アルトマンが語る未来と4つのボトルネック
AIの進化は、私たちの知的活動にどのような影響をもたらすのでしょうか。アルトマン氏は、AIが「双刃の剣」であると指摘します。一部の人が思考を放棄し、AIを“思考の逃げ場”として使う可能性がある一方で、記憶力の強化などによって人間の認知の境界を拡張し、これまで以上に深く思考することを可能にすると語ります。ユーザーの行動をいかに良い方向へ導くかが、ツールの設計において重要だということです。
AIの未来について、アルトマン氏はいくつかの重要な予測を提示しました。
スーパーインテリジェンスの定義と到来
AIシステムが特定の分野で人類のトップ専門家を継続的に凌駕する時、それが「スーパーインテリジェンス」の段階に入ると定義。この進展は、予想よりも早く訪れる可能性があるとしています。
変化する社会と雇用市場
将来、人々はAIが生成したコンテンツを自然に受け入れるようになるでしょう。雇用市場は劇的な変化を遂げますが、社会にはその変化に適応する「レジリエンス(回復力)」があるとアルトマン氏は強調します。AIツールの普及により、個人が新たなビジネスを始めるハードルが大幅に下がり、想像もしなかったような新しい職業が生まれるだろうと予測しています。
AI発展における4つの主要なボトルネック
しかし、AIのさらなる発展には、乗り越えるべき大きな壁が存在します。アルトマン氏は、以下の4つを主要なボトルネックとして挙げました。
- 算力(コンピューティングパワー): AIモデルの学習と実行に必要な計算能力の不足。
- データ: 高品質な学習データの確保と管理。
- アルゴリズム最適化: より効率的で高性能なアルゴリズムの開発。
- 製品化: 革新的なAI技術を実際に社会で利用可能な製品やサービスとして展開する能力。
2027年末の重大な科学的発見と医療への応用
アルトマン氏は、通用モデル(汎用AI)が2027年末までに重大な科学的ブレークスルーを達成する可能性があると予測しています。現在のAIが「数分で完了するタスク」に強いのに対し、将来のAIは「数千時間かかるような複雑な研究」にも対応できるようになることが鍵だと述べています。特に医療分野では、GPT-5がすでに医療アドバイスの精度を大幅に向上させており、将来的にはAIが主導する薬物開発が実現する可能性を示唆。さらに驚くべきことに、GPT-8が癌の治療法を発見するかもしれないとまで語っています。
社会契約の再構築と開発者の責任
AIの進化に伴い、社会はAI計算能力の新たな分配メカニズムを確立し、資源を巡る争いを避ける必要があるとも提言しています。また、AI開発業界には「絶滅のリスクを警告しながら、一方で全力で開発を進める」という認知的な乖離が存在するとし、開発者の責任についても言及しています。
まとめ
サム・アルトマン氏のインタビューからは、AIがもたらす未来が、私たちの想像をはるかに超えるものであることが強く示唆されました。GPT-5による「ソフトウェアの即時生成」から、AIが人類の認知能力を拡張し、科学分野で未曽有の発見を成し遂げ、さらには難病の治療法を見つける可能性まで、その展望は計り知れません。
しかし、その一方で、計算能力やデータの制約、そして技術と社会システムの間の乖離といった課題も浮き彫りになりました。日本においても、このAIの波をどのように捉え、活用し、そしてそのリスクを管理していくか、国家的な戦略と個々の企業の適応力が問われる時代に入ったと言えるでしょう。AIがもたらすであろう「人類史における最大の進歩」は、着実に、そして急速に私たちの目の前で進行しています。
元記事: 36氪_让一部分人先看到未来