中国・上海で先日開催された「BilibiliWorld(BW)」は、その熱気と規模で世界中の注目を集めています。元々は中国最大級の動画プラットフォームBilibili(Bilibili動画、通称Bilibili)のオフラインコミュニティイベントとして始まったBWですが、今や世界的なACGN(アニメ・漫画・ゲーム・ノベル)イベントへと進化し、特にゲームコンテンツの存在感が圧倒的です。早朝から長蛇の列を作り、人気ゲームの巨大展示や先行試遊に熱狂する来場者の姿は、まさに中国ゲーム市場の「今」を象徴しています。一体なぜ、これほど多くのゲームメーカーがBWに集い、プレイヤーを熱狂させるのでしょうか。その舞台裏を探ります。
BW、もはや「ゲームの祭典」へ変貌
2017年に第一回が開催されたBilibiliWorldは、当初「Bilibiliのオンラインコミュニティの雰囲気をオフラインでも体感できる場」としてスタートしました。しかし、約10年の間にその性格は大きく変化。出展企業やブランドを見ると、BWは今や多くのゲームメーカーにとってオフライン運営の重要拠点となり、グローバルなACGN業界における一大イベントへと成長しています。公式情報によると、今年の出展社数は170社以上で、そのうち「ゲームワールド」区画の出展社が約130社を占めるとのこと。昨年のゲーム出展社数が100社強だったことを考えると、BWにおけるゲームの比重は年々高まり、その熱狂的な「ゲーム雰囲気」は他のゲーム展示会とは一線を画しています。
BW会場マップの変遷からも、ゲームの存在感が増していることが伺えます。2017年には会場の右上に限られていたゲームステージは、今や上海国家会展中心の7つの展示館のうち、3、4、5の3館を「ゲームワールド」区画として占めるまでになりました。おなじみの有名タイトルから新興タイトルまで、数多くのゲームメーカーが参加し、巨大なプレイヤーの列が絶えることはありません。
ゲーム開発者がBWに集う理由:魅力的な「展示」と「体験」
BWの展示ブースは、単なるプロモーションを超えた「観賞性」と「インタラクティブ性」を兼ね備えています。各ゲームは最新バージョンに合わせてゲーム内のシーンを再現し、プレイヤーをその世界へと誘います。精巧な多層構造を持つブースは、まるで回転するルービックキューブのように、見るたびに異なる表情を見せるのも特徴です。
- 『明日方舟:終末地』はゲーム内の武陵エリアを再現し、滝やカエル、照明付きの植物、そして本物の草地まで設置。別ステージではプレイヤーがチームを組んでゲーム内ミニゲームに挑戦し、スカイブリッジではコスプレイヤーが観客に挨拶を送ります。
- 『無限暖暖』は、近日登場する新バージョン「黄金塵」に合わせ、本物の「黄金郷1号」掘削機を設置。ロボットが現場で耕作や修理を行う様子は、ゲームの世界観と完璧にマッチしています。
- 『崩壊:スターレイル』は、一昨年設置されたサムの巨大メカに続き、今年は木製フレームとワイヤーで吊るされた「拓星者」の巨大オブジェを展示し、多くのプレイヤーを魅了しました。昨年復活した『原神』や、初参加の『永劫無間』、『白銀の城』も、それぞれ巨大な彫刻を設置し、来場者の目を釘付けにしています。
さらに、多くの新作や新ゲームモードがBWで先行公開されるのも大きな魅力です。今回、楽元素の『白銀の城』やmiHoYoのAI製品『林離』が初のオフライン試遊を開始。NetEaseの新作『詭影藏峰』がオフラインで初お披露目されたほか、『三角洲行動』の爆破新モードや、日本のATLUSから世界初となる『ペルソナ4 リバイバル』が試遊可能となり、連日多くのプレイヤーで賑わいました。
特に女性向けゲームの存在感もBWでは際立っており、主に5号館に集中しています。これらのブースは、女性向けゲームの特徴である「感情的な寄り添い」を重視した、よりインタラクティブな体験を提供しています。例えば、アイドル育成をテーマにした『V Project』は、清涼感のある海の色を基調としたブースで、ステージでの記念撮影やバックステージ、アイドルとのスリーショットなど、様々なシチュエーションでの交流を演出。予約済みのプレイヤーたちがステージで練習生たちと交流する姿が見られました。
多様なゲーム文化が集結する「交流の場」
BWでは、ゲームの展示体験の幅が年々拡大しています。独立系ゲーム(インディーゲーム)のストリート、ゲームアクセサリーやハードウェアのエリア、そして海外ゲームの区画も設けられ、多様なゲーム文化が交錯する場となっています。国産のインディーゲーム『猿公剣』や『錦衣衛』、そして話題の『黒神話:悟空』に加え、海外からは『デス・ストランディング2』、『ブラウンダスト2』、『料理人バンチョー』といった注目タイトルがブースを構えました。
SEGA、ATLUS、集英社といった海外ブランドの参加は、BWが単なる中国国内イベントに留まらず、国際的なプラットフォームとしての地位を確立していることを示しています。
これらのゲームは、ブース展示だけでなく、より直接的なインタラクションや体験を提供し、プレイヤーは試遊後に開発者と直接会話する機会まで得られます。様々なファッションに身を包んだ来場者たちが、Coserのステージショーやゲームイベント、限定グッズの配布、そしてゲーム試遊を楽しむ光景は、BWが単なる展示会ではなく、ゲームとプレイヤー、そしてゲーム開発者が一体となる「共創の場」であることを物語っています。
まとめ
BilibiliWorldは、元々の動画コミュニティイベントという枠を超え、今や中国ゲーム業界、ひいては世界のACGN業界における最も重要なイベントの一つへと進化しました。メーカーにとっては、新作発表や先行試遊を通じたテストマーケティングの場であり、ブランドイメージを構築し、ユーザーと直接交流する貴重な機会となっています。
特に目を引くのは、その熱狂的な「ゲーム雰囲気」と、単なる展示に留まらない「体験」を重視する姿勢です。長時間の行列に並ぶことも厭わない熱心なファンたち、精巧に再現されたゲームの世界観、そして開発者とプレイヤーが直接触れ合う機会は、BWが単なる商業イベントではなく、ゲームコミュニティ全体の「チームビルディング」の場、つまり「共創と交流の聖地」となっていることを示唆しています。日本のゲーム業界にとっても、中国市場のトレンドを把握し、新たな可能性を探る上で、BWの動向は今後ますます見逃せないものとなるでしょう。
元記事: chuapp












