オックスフォード大学で考古学博士号を取得し、心理学修士の資格も持つという異色の経歴を持つ開発者が、新たなゲームの世界を切り開こうとしています。彼女が手掛ける新作ゲーム『コードネーム:香(シャン)』は、古代文明の神々をテーマに、プレイヤーが調香師となり「香を通じて神と通じる」というユニークなコンセプトを持つ女性向け作品。すでにGDC(ゲーム開発者会議)で注目を集め、その革新的なアプローチは、ゲーム業界に新たな風を吹き込むと期待されています。女性の成長と心理的健康に焦点を当てた、これまでにない体験が待っているようです。
異色の経歴を持つ開発者が贈る、神話がテーマの女性向けゲーム
新作ゲーム『コードネーム:香』は、古代文明の神々をモチーフにした女性向けゲームです。神々は人類のポジティブな側面を、そして「悪神」はネガティブな感情の化身として描かれます。プレイヤーは「調香師」となり、「香を通じて神と通じる」というコンセプトのもと、様々な神々と繋がり、彼らの物語を探求していきます。
この群像劇ゲームでは、これまでにフェニックス、酒神、ホルス、アポロという4柱の主要キャラクターが発表されており、最近では古代エジプトの月の神コンスも登場しました。今夏には初のテストプレイが予定されており、今年のGDC会場でも多くの来場者の関心を集めています。
開発者「老王」氏の挑戦
『コードネーム:香』の制作責任者である老王(ラオワン)氏の経歴は、まさに異色のものです。彼女はオックスフォード大学で考古学博士号を、そして心理学修士号を取得するという、非常にユニークな学術的背景を持っています。エジプト、ギリシャ、マヤといった古代文明の遺跡発掘にも携わってきた彼女がゲーム業界に足を踏み入れたのは、とあるAAA級ゲームの歴史顧問としてでした。
その後、創業を決意した老王氏は、10人にも満たない小規模なチームを結成しました。チームメンバーは、中国の大手ゲーム会社であるテンセント(Tencent)、ネットイース(NetEase)、XD(心動網絡)といった著名な企業出身者で構成されています。現在、彼らは『コードネーム:香』のデモ版をほぼ完成させ、資金調達の段階に入っているとのことです。
「女性の成長と力」をゲームに込める思い
老王氏は、この『コードネーム:香』を「女性向け”二遊”(二次創作ゲーム)」と定義しています。この言葉には、既存の市場にある女性向けゲーム(中国では「二次元ゲーム」や「乙女ゲーム」なども含む広い意味で使われることが多い)には、不満を感じる点が多く、女性である自分自身や、同じ女性プレイヤーのために、本当の意味で「女性のために用意されたゲーム」を創造したいという強い思いが込められています。
心理カウンセラーとしての経験も持つ彼女は、ゲームを「よりインタラクティブな映画のような芸術表現形式」と捉えています。そして、このプラットフォームを通じて、女性の成長と力強さの物語を紡ぎたいと願っています。
老王氏は語ります。「現代社会ではテクノロジーの発展とともに人と人との距離が遠くなり、生活はますます忙しくなっています。本来機能すべき社会的なサポートシステムも、目まぐるしい時代の流れの中でその役割を果たすのが難しくなっています。私自身も女性として、仕事上のプレッシャーだけでなく、常に心にのしかかる社会的なタイムリミットのような無形のプレッシャーを強く感じています。だからこそ、女性に関連する何かをしたいとずっと考えていました。創造の動機が異なれば、その背後にある自律性、実行力、能力、そして視野は大きく変わります。最終的に生まれる作品も当然違ってくるでしょう。私のような人間は、表面的な変更を加えるだけの『替え玉ゲーム』を作ることは決してありません。」
まとめ
オックスフォード大学の考古学博士という稀有なバックグラウンドを持つ老王氏が手掛ける『コードネーム:香』は、単なるゲームに留まらない、深いメッセージ性を秘めた作品となりそうです。古代文明の壮大な神話を背景に、女性の心理と成長をテーマにしたそのアプローチは、ゲーム体験をより豊かで意味深いものへと昇華させるでしょう。
まだデモ版の段階ですが、大手ゲーム会社の出身者で構成された精鋭チームが制作に携わっており、その完成度には期待が高まります。特に、女性プレイヤーの心理的ニーズに応え、エンパワーメントを促すというビジョンは、日本を含む世界のゲーム市場においても新たな潮流を生み出す可能性を秘めています。今後のテストや正式リリースに向け、引き続き注目していきたいインディーゲームです。
元記事: news
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