防犯カメラは今や私たちの生活に欠かせないものですが、夜間の視認性の低さは常に課題でした。そんな中、中国のイメージセンサー大手SmartSens(思特威)が、その常識を覆す革新的な超星光級イメージセンサー「SC285SL」を発表しました。第20回中国国際社会公共安全博覧会で「暗闇の王」と称されたこの新製品は、極限の暗闇でもまるで昼間のように鮮明なフルカラー画像を捉えることを可能にし、2026年初頭の量産開始がセキュリティ業界に新たな夜明けをもたらすと期待されています。
SC285SLが実現する「究極の暗闇視認」
「SC285SL」は、200万画素(1080P)の超星光級イメージセンサーとして、「極限の暗闇環境でのイメージング」と「全天候型での安定運用」を核に設計されました。その驚異的な性能を支えるのは、数々の先進技術です。
革新的な感度とノイズ抑制
このセンサーは、より強力な感光能力を持つBSI(裏面照射型)技術と、4.0µmの大型ピクセルサイズを組み合わせています。これにより、高感光能力の強固な基盤を築きました。さらに、SFCPixel®という特許技術を搭載することで、感度は12236 mV/Lux*sという高い数値を達成し、SNR1sはわずか0.1Luxという優れたノイズ抑制性能を誇ります。これにより、光がまったくない、あるいは極めて暗い環境下でも、クリアで繊細なフルカラー画像を生成。補助光の必要性を大幅に低減し、システム全体のコスト削減にも貢献します。
メーカーの紹介によると、高ゲインの長時間露光条件下では、読み出しノイズが0.82e-まで低減され、これは前世代製品と比較して約39%の改善にあたります。これにより、画像の純度とディテール再現能力が飛躍的に向上しました。
夜間監視を強化する赤外線技術
「SC285SL」は、Lightbox IR®という近赤外線強化技術も統合しており、850nm波長でのピーク量子効率は40%に達し、940nm波長では前世代比で約25%向上しています。この技術は、近赤外線画像における明るさと鮮明さを著しく向上させ、夜間の隠蔽監視シナリオに非常に適しています。
展示会では、0.001Luxの照度下での前世代製品との比較デモンストレーションが行われました。前世代製品がノイズだらけで色彩が暗く、秒針の動きも識別できないのに対し、「SC285SL」は色が鮮やかで、ノイズが少なく、秒針の動きがはっきりと視認できるという、その圧倒的な性能差が示されました。
全天候型監視を可能にする先進技術
24時間365日の監視ニーズに応えるため、「SC285SL」はSmartAOV® 2.1技術を搭載し、Always-On Video機能をサポートしています。
賢い省エネと迅速な切り替え
イベントがトリガーされていない通常時は、毎秒1フレーム(1fps)という低フレームレートで低消費電力で動作します。しかし、一度イベントがトリガーされると、迅速に30fpsの通常の録画モードに切り替わり、24時間体制での全天候型録画を実現します。この技術は、起動時間、消費電力制御、マルチ撮影連携能力を最適化し、太陽光発電やバッテリー駆動のワイヤレスカメラのバッテリー寿命を大幅に延長することに貢献します。
あらゆる光環境に対応するHDR
さらに、「SC285SL」はInSensor HDR™技術もサポートしており、そのダイナミックレンジは92dBに達し、DR100、DR200、DR400など複数のゲイン比に対応します。これにより、均一な照明から逆光、街灯と影が交錯するような強い明暗差のあるシーンまで、多様な監視シナリオに柔軟に対応します。高輝度領域の露出オーバーや暗部のディテール損失を防ぎ、チップ上での単一フレーム多ゲイン画像融合技術により、高ダイナミックレンジと同時に動きの残像を効果的に抑制します。また、Staggered HDRモードもサポートし、明暗部のディテール保持能力をさらに向上させ、多様な監視ニーズに応えます。
多様化する監視ニーズに応える高フレームレートと安定性
消費電力と高温時の安定性においても、「SC285SL」は優れた性能を発揮します。最高90fpsの超高フレームレートをサポートすることで、交通量や人流など、高速で動く物体があるシーンでも、より滑らかで鮮明な動画を提供し、監視の精度を高めます。
まとめ
SmartSensの「SC285SL」は、単なる高性能イメージセンサーに留まらず、防犯監視のパラダイムを変える可能性を秘めています。夜間・悪天候時の視認性向上はもちろん、低消費電力によるバッテリー駆動カメラの長時間運用、そして高ダイナミックレンジ対応によるあらゆる照明条件下での安定した監視能力は、スマートシティ、自動運転、そして一般的なIoTカメラの進化にも大きく貢献するでしょう。2026年初頭の量産が始まることで、日本を含む世界のセキュリティ市場にどのような影響を与えるのか、今後の動向から目が離せません。
元記事: pcd
Photo by Henrikas Mackevicius on Pexels












