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中国ゲーム市場、深圳の巨額支援と騰訊・網易の快進撃!

Shenzhen gaming, Chinese game studio - 中国ゲーム市場、深圳の巨額支援と騰訊・網易の快進撃!

今週、中国のゲーム業界は大きなニュースで賑わいました。特に注目すべきは、深圳がデジタルコンテンツ産業の高品質な発展を促進するため、3Aゲーム開発に最大1000万元(約2億円)もの補助金を提供するという大胆な政策を発表したことです。この動きは、中国ゲーム産業の技術革新と国際競争力強化への強い意欲を示しています。さらに、テンセント(騰訊)とNetEase(網易)という中国の二大ゲーム巨頭が、最新の四半期決算でゲーム事業の大幅な成長を報告。世界最大級のゲーム見本市であるGamescom 2025には、注目のタイトル『黒神話:悟空』を擁するゲーム科学をはじめ、複数の中国大手ゲーム会社が参加を表明し、その存在感をいっそう高めています。中国ゲーム市場の活況は、政策支援と企業の技術力向上、そしてグローバル展開が相まって、新たなフェーズへと突入していると言えるでしょう。

中国ゲーム市場の活況を支える政策と技術革新

中国のゲーム産業は、政府の強力な支援と企業の技術投資によって、目覚ましい発展を遂げています。特に今週は、その動きを象徴する二つの大きなニュースが報じられました。

深圳が3Aゲーム開発に巨額の支援金を投入

8月12日、中国のテクノロジー拠点である深圳(シンセン)市は、「デジタルクリエイティブ産業の高品質な発展を促進するための若干の措置」を発表しました。これにより、ゲーム、映像アニメ、短編ドラマ、公演、SFなど重点産業への支援が強化されます。特にゲーム分野では、中華の優れた伝統文化要素を取り入れた3A(高品質・高投入・高文化的内包)ゲーム、およびハイクオリティなゲームの開発・運営に対して、最大1000万元(約2億円)の補助金が支給されます。これは、開発投資額の30%を上限とするものです。また、中国ファーウェイが開発する鴻蒙(HarmonyOS)ネイティブアプリゲームには最大50万元、国際的な著名ゲームイベントの開催には最大500万元の補助金が提供されます。さらに、海外輸出に貢献し、国際的な影響力を持つゲーム作品の翻訳・制作費用に対しても、最大50万元(年間上限200万元)が支援されるとのことです。この政策は2025年8月11日から3年間実施され、中国がゲーム産業の国際競争力を高め、文化的な影響力を拡大しようとする強い意思が感じられます。

「Unreal Engine 5」採用の新作FPS、『CrossFire: Hong』も登場

今週開催された「CrossFire」IPカーニバルでは、Unreal Engine 5をベースに開発された新作FPS『CrossFire: Hong』(穿越火線:虹)の実機デモ映像が初公開されました。本作はハードコアな戦術要素とダイナミックなシーンデザインを融合させ、より没入感のある戦場体験を提供するとのことです。公開されたポスターには触手に囲まれた目の様な模様が描かれており、クトゥルフ神話をテーマにした作品である可能性も示唆されています。また、同じくUnreal Engine 5で開発される3A級シングルプレイシューターも発表され、「CrossFire」IPの起源を再構築し、世界観の深掘りが期待されています。これは中国ゲーム開発の技術力が、世界トップレベルに到達しつつあることを示す一例と言えるでしょう。

世界の舞台で存在感を増す中国ゲーム、Gamescomに『黒神話:悟空』が参戦

伝統的なゲーム見本市が再編される中、Gamescomの重要性が増しています。2025年のGamescomには、多数の中国大手ゲーム企業が参加を表明し、その存在感を世界に示します。

テンセント、NetEaseが驚異的な成長を記録

8月13日に発表されたテンセントの2025年第2四半期決算では、総売上が前年同期比15%増の1845億元(約3.7兆円)、純利益も17%増の556.3億元(約1.1兆円)と好調でした。特にゲーム事業は、売上が592億元(約1.2兆円)で前年同期比22%増を記録。国内市場が17%増、海外市場が35%増と、海外での伸びが顕著です。人気FPSタイトル『Delta Force』(三角洲行動)は7月の月間アクティブユーザー数(DAU)が2000万人を突破し、業界トップ5のDAUとトップ3の収益を誇ると報告されています。この他、『王者栄耀』、『和平精英』、『VALORANT』、Supercellのゲーム群、『PUBG MOBILE』、『Dune: Awakening』などが収益に貢献しました。

NetEaseも8月14日に2025年第2四半期決算を発表し、純売上が前年同期比9.4%増の279億元(約5600億円)を達成。ゲームおよび関連付加価値サービス事業の純売上は228億元(約4600億円)で、前年同期比13.7%増となりました。『夢幻西遊』は、新たなサーバーの開設や他IPとのコラボレーションにより、同時接続プレイヤー数が8月に293万人を突破し、モバイル版も四半期売上で新記録を更新しています。海外市場では、『Outlaws of the Old West』、『All-Star Streetball Party』、『Marvel Rivals』などの新作が好調で、複数の地域でダウンロードランキング上位に食い込んでいます。

「中国パワー」がGamescom 2025を席巻、ソニーは欠席

8月14日、Gamescom 2025は、出展する中国企業リスト「中国パワー」を正式に発表しました。これには、西山居、ゲーム科学(『黒神話:悟空』開発元)、鷹角網絡、miHoYo、疊紙遊戲、Perfect World、Hero Games、そしてTencent Gamesといった、中国を代表する大手ゲーム会社が名を連ねています。特に『黒神話:悟空』は、Gamescom初日の8月20日に重大発表があると示唆されており、大きな注目を集めています。BilibiliはGamescomオープニングナイトライブ(ONL)の独占配信と日本語同時通訳を提供すると発表しており、日本のゲームファンもこの盛り上がりをリアルタイムで体験できます。

また、Gamescom 2025には任天堂が『メトロイドプライム4』と『ホロウナイト:シルクソング』を、カプコンが『バイオハザード9』の独占新コンテンツを、Obsidian Entertainmentが『アウター・ワールド2』のデモを準備していることが判明しています。一方で、ソニーは2019年以来再びGamescomへの出展を見送ることが確認されており、PlayStationの動向も注目されます。

まとめ:中国ゲームの進化が世界市場を再定義する可能性

今週のニュースは、中国ゲーム産業が政府の後押しと技術革新、そして積極的なグローバル戦略によって、世界のゲーム市場でますます存在感を強めていることを明確に示しています。深圳市の巨額な補助金は、特に3Aタイトルや高品質ゲームの開発を強力に推進し、中国発のAAA級タイトルが今後さらに増えることが予想されます。テンセントやNetEaseの堅調な成長は、盤石な国内基盤に加え、海外市場での成功が加速していることを物語っています。

Gamescomのような国際的な舞台での「中国パワー」の台頭は、世界のゲーム開発地図を塗り替える可能性を秘めています。『黒神話:悟空』をはじめとする革新的な作品は、中国のクリエイティビティと技術力を世界に発信し、日本のゲーム市場にも新たな刺激を与えるでしょう。一方で、テンセントが運営する『王者栄耀』のマッチングメカニズムに関する訴訟問題など、急速な成長に伴う課題も散見されます。しかし、これらの動き全体は、中国ゲームが単なる「模倣者」ではなく、独自の文化と技術で「創造者」としての地位を確立しつつあることを示しています。日本のゲーム業界やプレイヤーにとっても、中国ゲームの動向から目が離せない時代が続くことになりそうです。

元記事: chuapp

Photo by Tima Miroshnichenko on Pexels

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