中国の大手生活サービスプラットフォーム「大衆点評(DaZhong Dianping)」が、デリバリーサービス「品質デリバリー」を大幅に刷新し、ユーザーに「本物の品質、本物の料理、本物の評価」を届ける新たな挑戦を開始しました。AI技術と膨大な実レビューデータを活用し、これまで以上に信頼性の高い飲食店選びをサポート。人気店や高級レストランの味を自宅で気軽に楽しめるようになるだけでなく、偽レビュー排除への強い姿勢が注目を集めています。
「本物の品質」を追求するAIデリバリー
大衆点評の「品質デリバリー」とは?
9月10日、大衆点評(Meituan傘下)は、デリバリーサービス「品質デリバリー」の大幅な「再始動(重啓)」を発表しました。この新サービスは、BtoB向けの自社開発大規模AIモデルと、ユーザーから寄せられた膨大な実店舗レビューデータを組み合わせることで、顧客のニーズを詳細に分析します。
最大の特徴は、AIが不正確なレビューデータを排除し、「AI+本物の高評価」という形で、ユーザーに信頼性の高い飲食店選びの判断材料を提供することです。すでに100万店以上の高品質な飲食店がこの「品質デリバリー」の対象となっており、高評価のレストランからの供給、実際のユーザーによる店舗訪問評価、そしてMeituanの効率的な配送システムが連携し、「本物の品質、本物の料理、本物の評価」を実現します。
豪華レストランも自宅へ!対象店舗と提供クーポン
今回のアップグレードにより、大衆点評の「品質デリバリー」は、中国版ミシュランとも称される「必吃榜(必食リスト)」や「黒珍珠(ブラックパール)」掲載店、さらには高級ホテル内のレストランなど、あらゆる種類の高品質な飲食店を網羅します。発表日である9月10日時点で、全国の2025年版「必吃榜」掲載店1,400軒以上、2025年版「黒珍珠」掲載店約30軒、高級ホテル内レストラン約1,500軒が「品質デリバリー」に加盟しています。
通常は行列のできる人気店や事前予約が必要な高級店、あるいはラグジュアリーホテルに宿泊しなければ味わえなかった逸品が、大衆点評の「品質デリバリー」を通じて、わずか30分で自宅に届くようになります。Meituanの公式情報によると、MeituanのBtoC向けAIスマートサービスも1週間以内に発表される予定で、現在「社内テスト」段階にあるとのことです。
サービス開始に合わせて、9月10日には2,500万枚の「品質デリバリー」消費クーポンも配布され、ユーザーはより手軽に高品質なデリバリーサービスを体験できます。
信頼性の源泉、大衆点評の「評価基準」
大衆点評は早くも2014年にデリバリーサービスを試行し、2016年には「品質デリバリー」の概念を導入。2022年にはMeituanデリバリーと共同で「品質デリバリー」の入り口を設け、ユーザー向けにデリバリー可能な高評価レストランを厳選してきました。以来、多くの新規デリバリープラットフォームが「品質」という概念を引用し、加盟店の選定基準として「大衆点評の高評価」を必須条件とするところも少なくありませんでした。
現在、即時小売(オンデマンド小売)は中国で一般的な生活様式となり、デリバリーは消費者の主要な飲食消費習慣です。ユーザーはデリバリー加盟店の環境、料理のレベル、食品の安全性、店舗の資質に対して、より高い要求を持つようになっています。多くの消費者は「品質デリバリー」を見分ける秘訣として、大衆点評で店舗の運営年数、個人の評価、総合評価を確認することを挙げています。「大衆点評を開いて、注文するデリバリーが本当に品質の良い老舗か、高評価の店か、しっかり見極めます。高評価の『老舗デリバリー』を選べば、まず間違いないでしょう」と、上海で働く95年以降生まれの女性は話しています。
大衆点評は設立以来、ユーザーのリアルな評価、加盟店の星評価、グルメランキングなどの「オンライン口コミ」システムと、「AI+手動」による偽評価識別・処理メカニズムを核としており、これらが中国飲食業界の「評価基準」となっています。データによると、過去1年間で大衆点評には合計3億6300万件の実レビューが寄せられました。そのうち、「写真付きレビュー」の閲覧数は前年比11%増、低評価の優先閲覧率は14%に達し、低評価を優先して閲覧するユーザー数は前年比36%増加しています。これは、ユーザーがよりリアルな情報、特にネガティブな情報にも関心を持っていることを示しており、大衆点評が提供する「本物の評価」が価値を持っていることを裏付けています。
まとめ
大衆点評が今回「品質デリバリー」サービスを大幅に刷新した背景には、消費者からの「本物」への強いニーズがあります。AI技術と膨大な実データに基づいた偽レビュー排除の取り組みは、デリバリーサービスの信頼性を飛躍的に高める可能性を秘めています。これは、中国のフードデリバリー市場が成熟期を迎え、単なる利便性だけでなく、品質と信頼性が重要な差別化要因となっていることを示唆しています。
日本においても、飲食店のレビューサイトやデリバリーサービスは普及していますが、偽レビューや評価の信頼性に関する問題は依然として存在します。大衆点評の「AI+本物の高評価」アプローチは、日本の関連業界にとっても、今後のサービス品質向上や消費者信頼獲得のための重要な示唆を与えるものでしょう。中国テック企業の先進的な取り組みが、世界のデリバリー市場に新たな基準をもたらす可能性に注目が集まります。
元記事: pedaily
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