2026年2月の世界モバイルゲーム市場は、中国パブリッシャーの存在感が際立つ結果となりました。特に注目すべきは、ゲームデベロッパー兼パブリッシャーの心動網絡(XD Inc.)が、中国企業として初めてグローバル売上トップ10入りを果たしたことです。また、動画プラットフォームのBilibili(B站)は、2025会計年度に初の年間黒字を達成し、ゲーム事業の戦略転換が成功を収めていることを示しました。一方、春の市場に向けては人気IPを擁するオープンワールドゲームが続々と発表され、今後の市場の競争激化が予想されます。本記事では、最新のランキングデータと各社の動向から、中国ゲーム業界の「今」を深掘りします。
2月の世界モバイルゲーム市場:心動網絡が中国トップ10に躍進!
Sensor Towerの最新報告によると、2026年2月、中国のモバイルゲームパブリッシャーは世界収入ランキングTOP100に35社がランクインし、合計で21.8億ドル(約3,300億円)を稼ぎ出しました。これは、世界TOP100全体の収入の41%を占める驚異的な数字です。
騰訊・点点互動・網易の盤石な上位陣と好調タイトル
ランキングでは、騰訊(Tencent)が引き続き世界モバイルゲームパブリッシャー収入トップの座を堅持。春節(旧正月)期間には、『王者荣耀(Honor of Kings)』『和平精英(Game for Peace)』など、複数の主力タイトルが好調な売上を記録し、中国App Storeのモバイルゲーム収入ランキングTOP5を独占しました。特に『王者荣耀』は限定スキンなどの新春イベントで売上を大幅に伸ばし、日次売上高が過去1年で最高値を更新しています。
点点互動(Century Games)は世界2位を維持し、そのグローバル運営力の強さを示しました。旗艦タイトルである戦略ゲーム『Whiteout Survival』は累計収入が43億ドルに迫り、新興の力作『Kingshot』も累計10億ドル突破目前です。網易(NetEase)も『蛋仔派対(Eggy Party)』『第五人格(Identity V)』といった人気タイトルの成長により、2月の世界モバイルゲーム収入は前月比44%増となり、3位に浮上しました。
急成長を遂げる心動網絡と注目の中堅パブリッシャー
今月最大の注目は、心動網絡が『心动小镇』の世界的な好調により、1月の収入が倍増したのに続き、2月も再び105%の大幅増を記録し、史上最高を更新。初の中国パブリッシャーTOP10入り(9位)を果たしたことです。また、巨人網絡(Giant Network)の『超自然行動組』も2月の世界収入が前月比66%増と歴史的な高値を記録し、ランキングを10位上げて16位にランクイン。累計収入は1億ドルを突破しました。
Bilibili、初の年間黒字を達成!ゲーム事業の戦略転換とは?
3月5日、Bilibili(B站)は2025会計年度第4四半期および通期決算を発表し、初の年間黒字化を達成したことを明らかにしました。通期総収入は303.5億元(約6,300億円)で前年比13%増、調整後純利益は25.9億元(約540億円)でした。BilibiliのCEO、陳睿氏は2025年を「マイルストーンとなる一年」と称しています。
ゲーム事業は、2025年に63.9億元(約1,300億円)の収入で前年比14%増となりました。Q4のゲーム事業収入は前年同期比14%減でしたが、これは前年の『三国:謀定天下』の高い基盤の影響です。Bilibiliは、長寿タイトルである『Fate/Grand Order(FGO)』や『碧蓝航线(Azur Lane)』が安定した収益を上げ、自社開発の新作『逃离鸭科夫』も発売3週間で300万本以上の販売を記録し、国内年間単体売上トップクラスとなりました。
陳CEOは2026年のゲーム事業戦略として、「長期運営への注力」と「ジャンルごとのトップタイトル創出」を掲げています。特に若年層ユーザーへの強みと高品質コンテンツへのこだわりを活かし、今後のゲーム事業の成長を目指すとしています。
苦戦する百奥と期待の新作
一方、百奥家庭互动(Baioo Family Interactive)は3月5日に2025年度の赤字警告を発表。特定の投資プロジェクト(趣糖網絡の『米姆米姆哈』と見られる)の失敗により、約4,500万元(約9億円)の損失が発生し、純損失が7,200万~7,950万元(約15億~16億円)に拡大する見込みです。
しかし、百奥は2026年に2つの自社開発・自社配信ゲームをリリース予定であり、そのうちの1つ、『夜幕之下』(旧『代号砰砰』)はテストで高いユーザー維持率を記録し、業界トップクラスの基準を達成していると報告しており、今後の巻き返しに期待が寄せられています。
春のゲーム市場を彩る新作オープンワールドゲーム
2026年春のゲーム市場は、大作オープンワールドゲームのリリースラッシュで賑わいそうです。中でも『王者荣耀:世界(Honor of Kings: World)』は、3月2日に4月リリースを正式発表しました。Unreal Engine 5を採用し、レイトレーシングやNVIDIA DLSS 3技術に対応するこのタイトルは、国民的IP「王者荣耀」の力を背景に、IPエコシステムの補完とプレイヤー層の拡大に重要な役割を担うことでしょう。開発も最終段階に入っており、リリースが目前に迫っています。
この他にも、愷英網絡(Kingnet)のSLG新作『三国:天下归心』が4月16日にリリース決定し、游卡網絡(Youka Games)の怪談・民俗テーマ新作『元夜十二談』も初公開されるなど、春に向けて様々なジャンルの新作ゲームが市場投入され、激しい競争が繰り広げられる見込みです。
まとめ
2026年2月の中国ゲーム市場は、既存の大手パブリッシャーが盤石な地位を築きつつ、心動網絡のような中堅企業が成長タイトルによって頭角を現す、ダイナミックな動きを見せています。Bilibiliの初の年間黒字化は、中国のテック企業が持続可能な成長モデルを確立しつつあることを示唆しており、ゲーム事業の長期運営とニッチな分野でのトップを目指す戦略は、今後の業界トレンドを形成する可能性を秘めています。
また、『王者荣耀:世界』をはじめとする、人気IPを活用した高品質なオープンワールドゲームの登場は、中国ゲーム市場の技術力と開発力の向上を世界に示しています。これらの中国発ゲームの成功は、グローバル市場、特に日本のゲーム市場にも大きな影響を与えるでしょう。今後は、中国企業のグローバル展開戦略と、日本市場での受け入れられ方に注目が集まります。
元記事: chuapp
Photo by Anya Juárez Tenorio on Pexels












