中国のゲーム業界は、常に世界のトレンドを牽引する存在です。miHoYo(ミホヨ)、NetEase Games(ネットイース・ゲームズ)、Tencent Games(テンセント・ゲームズ)といった業界の巨頭が示す最新の採用情報からは、彼らが今後どこに力を入れ、どのような未来を描いているのか、その明確なヒントが見えてきます。本記事では、彼らが注力する「ゲームエンジンの移行、AIの浸透、そして海外展開の加速」という3つのトレンドを深掘りし、日本のゲーム開発者やファンにとっても見逃せない情報を解説します。
中国大手ゲーム企業が求める人材像:3つのキーワード
各社の採用情報から見えてくるのは、以下の3つの明確なトレンドです。「ゲームエンジンの移行」、「AI技術の本格的な浸透」、そして「海外市場へのさらなる加速」です。これらの求人情報こそ、企業が本当に投資しようとしている分野を示す、偽りのないシグナルと言えるでしょう。
「UE5」が席巻!ゲームエンジンの次世代移行
miHoYoがUE5を活用したMOBAや未発表の予備研究プロジェクトの求人を出すなど、かつてUnityで成功を収めた企業もUE5へとシフトしています。Tencent Gamesでは100件以上のUE5関連求人があり、Perfect World(完美世界)の「異環」やPapergames(叠纸网络)の「無限暖暖」といった注目作もUE5を採用。NetEase Gamesの「帰唐」もUE5で開発され、BilibiliでのPV再生回数が1550万回を超えるなど、そのクオリティが注目されています。
特に、写実的なグラフィック、コンソールゲーム、そしてグローバル市場を狙う大規模プロジェクトでは、UE5が事実上の標準エンジンとなりつつあります。しかし、Unityが完全に淘汰されたわけではありません。Hypergryph(鷹角ネットワーク)の「アークナイツ:エンドフィールド」やX.D. Network(心動網絡)、GigaByte(吉比特)などの企業は、独自のカスタマイズを施したUnityエンジンや自社開発エンジンを引き続き採用しています。Unity ECSフレームワークをベースとしたNetEase Gamesの「無限大」も、高度な技術で超大規模な都市生成を実現し、全シーンレイトレーシングを実装しています。エンジンの選択はプロジェクトの特性に大きく依存しますが、UE5を扱えるC++エンジニアの需要が急速に高まっていることは間違いありません。
「AI」が開発現場を革新!効率化からゲーム体験の中核へ
主要ゲーム企業の8割以上がAI関連の求人枠を設けており、AIはもはや開発パイプラインの主流となっています。スマートアシスタント、ローカライズ翻訳、AIアート、コード生成など、AIは開発のコスト削減と効率向上に貢献しています。
例えば、37 Interactive Entertainment(三七互娱)は、自社開発の大規模言語モデル「小七」により、2Dアート資産の80%以上、広告動画の70%以上をAIで生成。海外ゲームの85%でAIローカライズ翻訳を適用しています。Shanghai Shengqu Information Technology(盛趣ゲーム)では、AI NPCの導入やAI補助アートで効率が60〜80%向上しました。
NetEase Gamesは「人工知能」を独立した採用カテゴリとして確立し、大規模言語モデル(LLM)や生成AIの専門家を求めています。CEOの丁磊氏は、汎用AIではなくゲームに特化した「最もゲームを知るAIエキスパート」を目指すと表明し、AIネイティブのパイプラインで一部の開発効率を300%向上させています。
さらに、miHoYo創業者の蔡浩宇氏が設立したAnuttaconによるAIゲーム「Whispers from the Star(群星低語)」のように、AIがゲーム体験の中核を担うプロジェクトも登場。AIとのリアルタイム対話を通じて物語が進むという、革新的なアプローチが試みられています。一方、中国A株市場で時価総額3位に位置するKunlun Tech(昆仑万维)は、ゲーム事業からAIと海外展開に主軸を移す「All in AI」戦略を推進。GigaByteはAIの導入に慎重な姿勢を見せつつも、AIがもたらす技術的な可能性に注目しています。
「グローバル市場」へ加速!多様なジャンルで世界を目指す
中国ゲーム企業の海外展開は、引き続き成長の牽引役となっています。Tencent Gamesの予備研究プロジェクトには、欧米文化やSLGジャンルへの深い理解を求める海外向けSLGの開発が含まれています。miHoYoも、従来の強みである二次元ゲームだけでなく、MOBAやより写実的な3Dゲーム、さらにはこれまでに手掛けてこなかったジャンルへと挑戦の幅を広げています。NetEase Gamesも、リアルな武侠オープンワールドMMOや二次元ゲーム、SLG単機など、多様なタイトルで海外市場を視野に入れた開発を進めています。
これらの動きは、中国のゲーム企業が国内市場だけでなく、世界のあらゆる地域のプレイヤーをターゲットに、より洗練された、かつ多様なゲーム体験を提供しようとしている明確な証拠と言えるでしょう。
まとめ
中国大手ゲーム企業の採用動向から見えてくるのは、ゲーム開発の最前線が急速に進化している姿です。UE5による視覚表現の革新、AIによる開発効率の向上と新たなゲーム体験の創出、そしてグローバル市場への積極的な挑戦。これらのトレンドは、日本のゲーム開発者にとっても、技術的なキャッチアップや市場戦略を見直す上で重要な示唆を与えてくれます。特に、UE5エンジニアやAI技術者の需要の高まりは、次世代のゲーム業界で活躍するためのスキルセットを示唆していると言えるでしょう。中国のダイナミックな動きを注視し、今後のゲーム業界の変革に備えることが重要です。
元記事: chuapp
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