中国のゲーム業界では、オープンワールドゲームの開発競争がかつてないほど激化しています。大手から新興まで、様々なスタジオが次々と新作を発表し、市場はまさに「戦国時代」の様相を呈しているのです。人気IPの派生作や、ポケモンライクなモンスター捕獲、GTAのような都市型アクションまで、多種多様なタイトルがプレイヤーの期待を集めています。この記事では、各社の注力タイトルから見えてくる最新トレンドと、今後の中国ゲーム市場の行方について深掘りしていきます。
オープンワールド+α:爆発的ヒット要素を融合した戦略
まず注目すべきは、オープンワールド(一部の公式は「大世界」と呼称)を基盤としながら、既存の爆発的ヒット要素を巧みに組み合わせた製品群です。これは、すでに成功したモデルを参考にしつつ、人気市場のニッチを確保しようとするメーカー各社の戦略の結果と言えるでしょう。このカテゴリには特に多くの新作が集中し、大手スタジオの存在感が際立っています。
進化する捕獲系オープンワールド
「モンスター捕獲」をテーマにしたオープンワールドは、多くのメーカーが力を入れているジャンルです。
- テンセント・キューブスタジオ『モシーク王国:世界』
15年の歴史を持つ人気IP『モシーク王国』の世界観や精霊デザインといった資産を継承し、有利なスタートを切っています。過去のテストでは400体以上の精霊が登場し、さらにユニークな点は、精霊自体を課金対象とせず、ゲームプレイや大世界コンテンツへの没入感でプレイヤーを引き留めようとしていることです。プレイヤーと精霊の絆、そして精霊の育成や進化、ハウジングシステムや着せ替え要素といった生活シミュレーションに重きを置き、「私と精霊が広大な世界でどう生活するか」という問いに答えようとしています。公式は「小さなモシークの子よ、お帰りなさい」といった言葉で懐かしさを喚起し、予約数は5000万に迫る勢いです。 - miHoYo『崩壊:因縁精霊』
『崩壊:スターレイル』のプロデューサーである蒋大衛(ジャン・ダーウェイ)氏が直接チームを率いると言われる、miHoYoの力作です。昨年の初テストでは、大世界での生態系、精霊収集、ストーリー任務、miHoYo作品とは一線を画す育成システム、さらにはオートチェスや謎解きミニゲームなどが披露されました。大世界は物語の補助的な役割を担い、精霊のスキルを使って謎を解き、任務を達成することで物語が紡がれます。「無限渦旋」システムでは、異なる時間軸に遡り、ストーリーの分岐や結末を体験できるそうです。公式は、プレイヤーとの共創を重視し、継続的な小規模な秘密テストを通じてゲームを磨き上げていく姿勢を見せています。 - 蛮啾スタジオ『ブループロトコル:旅謡』
人気二次元ゲーム『アズールレーン』を生み出した蛮啾スタジオが、初めて独立主導で開発するタイトルです。開発には約500人規模のチームが関わっています。昨年の初テストではプレイヤーコミュニティから高い評価を受け、先日行われたメディア向けテストでは、初期ストーリーと豊富なゲームプレイを体験できました。上記2作とは異なり、本作はキャラクターとペットがほぼ同じ比重を占め、3D戦闘が核心的な遊びとなります。『原神』や『鳴潮』に近い感触で、従来の二次元オープンワールドに「足し算」をするようなアプローチで、よりヘビーユーザーを惹きつける可能性があります。 - FunPlusが出資する『イモ』
このゲームの最大の特色は、精霊を収集するだけでなく、プレイヤー自身が精霊と繋がり、その能力を得て変身できるシステムです。
「二次元GTA」を目指す都市型オープンワールド
もう一つの人気カテゴリは「都市」をテーマにしたもので、多くのタイトルが「GTA(グランド・セフト・オート)」の方向性を目指して開発されています。
- パーフェクト・ワールド傘下Hotta Studio『異環(イーファン)』
「二次元GTA」の一角として、まもなく正式リリースを控えています。先行者利益は、この激しい競争の中で優位性を確立するかもしれません。これまでのテストでは、華麗な演出、麻雀、釣り、レースといった生活系コンテンツ、都市デザインに散りばめられたACG(アニメ・コミック・ゲーム)文化のイースターエッグが大きな話題となりました。しかし、先行リリースにはプレイヤーからの厳しい目も伴います。新鮮さが薄れた後、いかに「長草期(コンテンツ不足期)」を乗り越えるか、そして「都市型生活シミュレーション」の価値を最初に証明するタイトルとなるかが問われます。 - NetEase雷火スタジオ『インフィニティ』
2023年8月に発表され、昨年9月の東京ゲームショウでは約30分の試遊版が提供されました。公開された情報からは、無厘頭でコミカルな雰囲気を重視していることが伺えます。例えば、戦闘中にキャラクターのツッコミが多数挿入されたり、技が自由奔放であったり、周囲のマンホールや机、鉄パイプまで武器として使用できたりします。都市型オープンワールドの定番であるレースや追跡戦、各種生活系コンテンツも充実しており、非常に大きな可能性を秘めた作品となりそうです。 - シーユエ『望月』
こちらも「都市」カテゴリの注目株です。実は「月霊」(ペット)が重要なセールスポイントの一つであるため、「捕獲系」とも言えます。しかし、本作の最大の特徴は都市の雰囲気であり、他の同ジャンル作品とは異なり、現実の広州を深くゲームマップに融合させ、現実と幻想が入り混じった中国的な都市を表現しています。昨年の初テストでは美術面の評価が芳しくなく、一部コンテンツが世界観と合致しない問題がありましたが、同年10月には新コンテンツが公開され、まるでリメイクと言えるほどの大規模なアップデートが行われました。
これらの「都市型」作品は、互いに異なるようでも、二次元文化の雰囲気を色濃く反映し、都市生活シミュレーションでプレイヤーの興味と長期的な定着を維持しようとしている点では共通しています。ある意味、このジャンルは最も競争が激しく、「過当競争」の状態にあると言えるでしょう。
大人気IPからの派生:新たな価値創出の舞台として
これらとは別に、巨大なIP(知的財産)を基盤としたオープンワールド作品も最近、活発な動きを見せています。これは自然な流れの結果と言えるでしょう。IPのコンテンツ量が膨大になるにつれて、既存のゲーム規模や表現形式ではその価値を完全に引き出せなくなります。オープンワールドは、より多くのものを内包し、その上限もはるかに高いからです。前述の『崩壊:因縁精霊』も理論上はこのカテゴリに入りますが、現時点では市場のトレンドに合わせた側面に重きを置いているようです。
このカテゴリの代表格として、再び『モシーク王国:世界』が挙げられます。15年前に誕生したIPである『モシーク王国』は、当時の技術的制約により、開発チームが描いていた「精霊大世界」の構想を完全に実現できませんでした。そのため、現代の技術でその夢を叶えようとしているのです。
まとめ
中国ゲーム市場では、各社が人気IPの活用や新たなジャンルの融合を通じて、オープンワールドゲームの可能性を追求しています。これらの動きは、単に市場シェアを争うだけでなく、ゲーム体験そのものを進化させようとする意欲の表れと言えるでしょう。特に、既存の成功モデルに甘んじず、プレイヤーとの共創や独自のシステムを模索する姿勢は注目に値します。今後、これらのハイクオリティな中国発オープンワールドゲームが日本市場にもさらに流入し、世界のゲームトレンドに大きな影響を与えることは間違いありません。日本のゲーム開発者にとっても、中国市場の動向は新たなインスピレーションや競争の刺激となるでしょう。
元記事: chuapp












