中国の巨大ECプラットフォームJD.com(京東)が、画期的なライブコマースイベントで中国全土を熱狂させました。10月30日に開催された「京東家電・家具購入価格比較ライブ配信」は、たった1日で600万人以上がオンライン視聴し、JD.comのライブ配信人気ランキングで堂々の1位を獲得。ユーザーがJD.comの価格が他社より高いことを発見した場合、なんと最大10000元(約20万円)の賞金が手に入るという驚きのキャンペーンが展開され、そのユニークな仕掛けが大きな話題を呼んでいます。今回は、この前代未聞のイベントの詳細と、中国EC市場におけるその衝撃について深掘りします。
「価格比較ライブ」に600万人が熱狂!京東の新たな挑戦
「京東家電・家具購入価格比較ライブ配信」は、単なる商品紹介に留まらない、ユーザー参加型の革新的なイベントでした。当日は、JD.comの家電・家具担当者が現場で他社製品との価格比較をリアルタイムで行ったほか、中国の大手家電ブランドMidea(美的)や家具ブランドZuohua(芝華仕)などの担当者もライブ配信に「空降(急遽登場)」し、JD.comを全面的にサポートして価格比較に協力するという異例の展開を見せました。
わずかな価格差で10000元(約20万円)ゲット!?「価格比較懸賞令」の衝撃
このライブ配信の最大の目玉は、JD.comが全ネットに向けて発令した「価格比較懸賞令」です。その内容は、もしJD.com直営の家電製品の価格が、他のプラットフォームのブランド旗艦店やブランドのライブ配信よりも高かった場合、ユーザーがライブ配信中にその情報を申請し、証拠を提供すれば、10000元(約20万円)もの賞金が「京東豆(JD.com内で使えるポイント)」として贈られるというもの。さらに、価格が高かった商品はその場で9割引に調整され、一部の商品は5割引という破格の価格で限定販売されました。
このキャンペーンは瞬く間に大反響を呼び、ライブ配信中には驚くべきエピソードが続出しました。あるネットユーザーは、ある給湯器がJD.comで他社よりわずか0.02元(約0.4円)高かったという情報を提供し、見事10000元の賞金を獲得。他にも、3分(約0.03元)や7毛(約0.7元)といったごくわずかな価格差で10000元を手にするユーザーが続出し、JD.comの誠実な姿勢が示されました。申請者が殺到しすぎて、一時的にネットワークが混雑し、ライブ配信が10分間中断するほどの大盛況ぶりでした。高額な賞金を連発するJD.comの購買担当者は、ネットユーザーから「京豆哥(京東豆兄さん)」という愛称で親しまれたそうです。
他社を圧倒!京東が示す「最安値」の実力
ライブ配信中には、JD.comの価格優位性を裏付ける具体的な事例も多数報告されました。例えば、ある有名ブランドのテレビは、JD.comの「ダブルイレブン(11.11)」価格が9999元(約20万円)だったのに対し、他社の公式旗艦店では13599元(約27万円)と、JD.comの方が3600元(約7.2万円)も安価でした。また、ある家具ブランドのマットレスは、JD.comの11.11価格が1572元(約3.1万円)、他社プラットフォームの「百億補貼(数百億円規模の補助金)」適用後でも1629元(約3.2万円)と、JD.comの方がさらに57元(約1100円)安かったのです。多くのユーザーが「結局JD.comが一番安いし、配送も早いし、アフターサービスも安心できる」とコメントし、JD.comへの信頼を再確認していました。
ブランドとの協業で信頼を構築!「価格保証基金」の設立
さらに、JD.comはユーザーの信頼をより強固なものにするため、家具ブランドのZuohua(芝華仕)と手を組み、500万元(約1億円)もの「価格保証基金」を共同で設立することを発表しました。この基金は、「ダブルイレブン(11.11)」期間中、JD.comのZuohua直営旗艦店の同等商品が全ネットで最安値であることを保証し、万が一価格差があった場合には補償サービスを提供するものです。
この取り組みは、単にZuohuaブランドがJD.comの価格比較を高く評価しているだけでなく、両者が健全なEC環境を維持し、消費者の権利と利益を保護しようとする責任感と決意を示すものです。JD.comの家電・家具購買担当者がライブ配信で述べたように、積極的に価格比較を行うことは、本質的に消費者のための「価格防衛壁」を構築することであり、プラットフォームの価格競争力を確保しつつ、ユーザーがJD.comで適切な価格で商品を購入できることを保証するものです。
まとめ
今回のJD.comの「価格比較ライブ配信」は、ライブコマースの可能性をさらに広げる画期的なイベントとなりました。10000元という高額な賞金でユーザーを巻き込み、リアルタイムで価格の透明性を追求する姿勢は、消費者の購買意欲を刺激するだけでなく、ECプラットフォーム間の競争を激化させる起爆剤となるでしょう。このような大規模な価格保証やユーザー還元策は、中国のEC市場がいかに顧客獲得と信頼構築に注力しているかを物語っています。日本のEC市場にも、こうした大胆なプロモーションが新たなトレンドをもたらすかもしれません。
元記事: pcd
Photo by Max Fischer on Pexels












