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中国ゲーム業界の激震!テンセントAI戦略と元網易幹部の挑戦

AI game development Chinese tech startup - 中国ゲーム業界の激震!テンセントAI戦略と元網易幹部の挑戦

中国のゲーム業界では、巨大企業から新興ベンチャーまで、目まぐるしい変化が起きています。テンセントは2026年第1四半期に驚異的なゲーム売上を記録し、AI戦略を本格化。元ネットイース幹部はゲーム開発の未来を問い、巨額の資金を調達して新たな道を切り開きます。さらに、AI漫劇という新しい市場が急成長を見せる一方で、中国版Nintendo Switchはその歴史に幕を下ろしました。今回は、まさに激動の様相を呈する中国ゲーム業界の最新ニュースを深掘りし、その背景と未来を探ります。

中国ゲーム業界の動向:テンセントの成長とAI戦略、新たな挑戦者たち

テンセント、Q1ゲーム売上642億元達成!「AI」を最重要視

2026年5月13日、テンセント(腾讯)が発表した2026年第1四半期(1月〜3月)決算は、ゲーム事業の好調ぶりを鮮明にしました。総売上高1965億元(約4.2兆円)のうち、ゲーム事業は前年同期比9%増の642億元(約1.4兆円)を達成。特に海外市場は13%増と成長を牽引しました。

この好調を支えるのは、『王者栄耀(Honor of Kings)』や『和平精英(Game for Peace)』といった「長青ゲーム」と呼ばれる主力タイトル群です。テンセントが定義する「長青ゲーム」とは、モバイルゲームで四半期平均DAU(日間アクティブユーザー数)が500万人以上(PCは200万人以上)かつ年間売上が40億元(約860億円)を超えるタイトルを指します。最近では新作『三角洲行動(Delta Force: Hawk Ops)』もこの長青ゲームの仲間入りを果たし、その成長スピードが注目されています。

特筆すべきは、テンセントがAIをゲーム事業の核となる生産力と位置づけ、戦略的優先度を極めて高く設定している点です。財政報告会では、AIがコンテンツ制作(3Dアセット、アニメーション生成)のスピードアップと、プレイヤー体験(スマートな誘導、高度なレンダリング技術)の劇的な向上に寄与すると明言されました。同社の劉熾平総裁は、「AIは人材削減やコスト圧縮を目的とするものではなく、より豊かなコンテンツを迅速に生み出し、プレイヤー体験を高めることが核心価値だ」と強調しており、AIによる大規模な人員削減計画はないことを示唆しました。

元ネットイース幹部が1億ドル調達!新会社GTGでゲーム開発の未来を拓く

元ネットイース(网易)の投資協力部責任者だった朱原(Simon Zhu)氏が、新たなゲーム持株会社GreaterThan Group(GTG)を設立し、約1億ドル(約140億円)もの巨額資金を調達したことが明らかになりました。朱原氏はネットイースに12年間在籍し、『マインクラフト』の中国導入や、『風ノ旅ビト』のthatgamecompany、『Destiny』シリーズのBungieなど、世界トップクラスのスタジオへの投資を主導してきました。

現在のゲーム業界が大規模なスタジオ再編や人員削減に直面する中、朱原氏は異なるアプローチを提唱します。GTGは持株会社構造を採用し、傘下のスタジオと共同で株式を保有。資金提供やエンドツーエンドのサポートに加え、コアチームに十分な創作の自主性を与えることで、資本やアルゴリズムによる過度な介入に抵抗しようとしています。既に3つの提携スタジオが公開されており、その中にはかつてネットイースの資金支援を失ったチーム(元「質量効果」ディレクター率いるArcanaut Studios、元「コール オブ デューティ」デザイナー主導のBulletFarm)も含まれています。さらに元コナミ社員が率いる東京スタジオMAGshipも名を連ねており、「量より質」を追求する朱原氏の哲学が表れています。

ネットイース「幻の三国志ゲーム」が復活!AI漫劇市場にカイエンが参入

かつて開発中止となったネットイースのゲーム『万民長歌:三国』が、「復活」の噂の後に、同社の2026年「520」ゲーム発表会で正式に公開されることが発表されました。同作は『率土之濱』の開発チームが約4年をかけて手掛けた「シームレスな広大な三国志世界」を目指した大作でしたが、技術的・市場的な要因で開発が中断されていました。現在は少人数の新チームで、単機大戦略ゲームとして開発が再開されたとのことです。

また、人気SLG『三国:謀定天下』の開発元である華娱网络は、新作『代号:长生计划』を発表。これは、修仙(仙人を目指す修行)をテーマにしたPC/モバイル向けMMOゲームで、制作チームは100人を超え、これまでの収益を全て投入する意気込みを示しています。しかし、修仙MMO市場は競争が激しく、大手の有力タイトルもひしめき合っており、新たな挑戦は容易ではありません。

一方、ゲーム会社のカイエン網絡(恺英网络)は、全額出資子会社「上海时光川行科技有限公司」を設立し、AI短劇・AI漫劇市場への本格参入を明らかにしました。AI漫劇市場は急速に拡大しており、2025年には168億元(約3600億円)規模に達し、2026年には243.6億元(約5200億円)に成長すると予測されています。ゲーム会社にとって、AI漫劇は制作期間の短縮、宣伝コストの削減、ユーザー導線確保、顧客層拡大といった多岐にわたるメリットがあり、テンセント、ネットイース、三七互娯といった大手もすでにこの分野に注目しています。ゲーム開発で培ったノウハウをAIコンテンツ制作に活用する動きは、今後さらに加速するでしょう。

中国版Nintendo Switch、ネットワークサービスを終了

2024年5月15日、中国で正式販売されていた「国行Nintendo Switch」のネットワークサービスが全て停止されました。オンラインプレイ、クラウドセーブ、eショップでのダウンロードやコード引き換えなど、インターネットを介した機能が利用できなくなりました。

2019年12月にテンセントの協力のもと発売された国行Switchは、中国のコンソールゲーム市場の普及に貢献しましたが、厳格な審査制度によりゲームラインナップが限定的であったことが長年の課題でした。これにより、中国版Switchは事実上その役目を終えることとなります。

まとめ

今回のニュースは、中国ゲーム業界が持つダイナミズムを如実に示しています。テンセントのような巨大企業はAIへの巨額投資でさらなる成長を目指し、元ネットイース幹部のような挑戦者は、資本主義の波に飲まれがちなゲーム開発に新たな価値観を提示しています。また、AI漫劇のような新しい市場の台頭は、ゲーム会社に新たな収益源と創造の可能性をもたらしています。

一方で、国行Switchのネットワークサービス終了は、中国市場特有の規制環境が、海外ゲーム企業にとって依然として大きな課題であることを改めて浮き彫りにしました。これらの動きは、日本のゲーム開発者や企業にとっても、中国市場を理解し、今後の戦略を練る上で重要な示唆を与えてくれるでしょう。技術革新と市場変化のスピードが速い中国から、今後も目が離せません。

元記事: chuapp

Photo by Pavel Danilyuk on Pexels

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