中国ゲーム業界では今週、悲喜こもごものニュースが飛び交いました。人気のモバイルゲーム《归龙潮》が1周年を目前にサービス終了を発表し、プレイヤーへの「陪伴服务器(お供サーバー)」提供という新たな対応が注目を集めています。一方、待望のインディーゲーム《ホロウナイト:シルクソング》はSteamで初週340万本超という驚異的な売上を記録しつつも、一部で賛否両論を呼ぶ状況です。さらに、鷹角網絡(HyperGryph)のビッグタイトル《アークナイツ:エンドフィールド》が2026年初頭のオープンベータテスト開始を発表し、ゲームファンを沸かせました。また、米ハヨ(miHoYo)がAI関連の新会社を設立するなど、大手企業の戦略的な動きも活発です。本記事では、これらの主要トピックを深掘りし、中国ゲーム市場の現状と未来に迫ります。
中国ゲーム業界の光と影:サービス終了から新作発表まで
人気作《归龙潮》、1周年を目前にサービス終了と「陪伴服务器」の試み
Funplusが手掛ける横版アクションRPGモバイルゲーム《归龙潮》が、2025年12月10日でのサービス終了を発表しました。開服1周年を目前にしてのこの発表は、多くのプレイヤーに衝撃を与えています。運営側は、開発および運営コストの維持が困難になったことを理由に挙げています。しかし特筆すべきは、ゲーム終了後も「陪伴服务器(お供サーバー)」を提供すると発表した点です。これは、特定の期間にログインしたプレイヤーのゲームデータを維持し、サービス終了後もログインしてゲームの一部機能をオフラインで楽しめるようにするものです。退款(返金)についても、未使用の課金アイテムに対し現金または限定クーポンでの返金を選択可能とするなど、プレイヤーへの配慮が見られます。
《归龙潮》はテスト段階から大規模な方向転換を経験し、3Dコンテンツやオープンワールド要素を追加しましたが、一部プレイヤーの期待に応えきれなかった経緯があります。2024年のリリース直後はiOS売上ランキングで21位に達したものの、その後は順位を落としていました。今年(2025年)に入り、多くの二次元ゲームがサービス終了を発表しており、《归龙潮》のこの試みは、ゲーム終了後のプレイヤーの感情的なニーズに応える新たなトレンドとなるかもしれません。
《ホロウナイト:シルクソング》がSteamで快進撃も、評価は賛否両論
待望のメトロイドヴァニア系アクションゲーム《ホロウナイト:シルクソング(空洞骑士:丝之歌)》が、Steamプラットフォームで驚異的な成功を収めました。データ分析プラットフォームGamalyticによると、初週で推定340万本以上の売上を記録し、推定売上額は5400万ドルを超えています。同時接続プレイヤー数のピークは58.7万人を記録し、Steam史上トップ20入りを果たすなど、その市場での存在感を強く示しました。
しかし、評価の面では興味深い傾向が見られます。現時点でのグローバル評価は「多半好评(やや好評)」ですが、プレイ時間が10時間を超えるプレイヤーの間では「褒贬不一(賛否両論)」となっています。これは「プレイ時間が長くなるほど評価が下がる」というジョークを生むほどです。主な不満点としては、簡体字中国語の翻訳品質、ゲームの難易度の高さ、一部のゲームデザインの問題が挙げられています。開発チームTeam Cherryは、プレイヤーのフィードバックを受け、9月12日にアップデートをリリースし、初期のゲーム難易度を下方修正しました。また、簡体字中国語の翻訳についても、数週間以内に改善する意向を示しています。
《アークナイツ:エンドフィールド》2026年初頭に公測開始を発表
Yostarの運営する人気タワーディフェンスRPG《アークナイツ》の世界観を受け継ぐ新作《アークナイツ:エンドフィールド(明日方舟:终末地)》が、9月10日未明のApple発表会にサプライズ登場しました。iPhone Airのデモンストレーションとして、その携帯版の実機プレイ映像が披露され、Appleの新世代チップA19 Proの高い性能と電力効率をアピールする役割も果たしました。Appleのニュースリリースでは、《アークナイツ:エンドフィールド》のオープンベータテストが2026年初頭に開始予定であることも明記されており、世界中のファンからの期待がますます高まっています。
中国大手企業の戦略:AI投資と市場動向
米ハヨがAI関連新会社を設立、ゲーム開発とAIの融合を加速
miHoYo(米哈游)が、9月11日に「上海米哈游百战地科技有限公司」と「上海米哈游稻海桑田科技有限公司」の2つの新会社を全額出資で設立したことが明らかになりました。両社の法定代表者は于晨曦氏で、それぞれ1000万元(約2億円)の登録資本金を有しています。これらの新会社の事業範囲には「人工知能応用ソフトウェア開発」「デジタル文化クリエイティブソフトウェア開発」「アニメ・ゲーム開発」などが明確に記載されており、miHoYoがAI技術とゲームコンテンツの融合に本格的に注力する戦略的意図が伺えます。さらに、miHoYoの2026年度秋季採用ではAI関連の求人が多数含まれており、AIに関する自社研究開発能力の強化を目指していることが裏付けられています。
8月中国モバイルゲーム世界収入ランキング:テンセントが首位を堅持
モバイルアプリデータ分析機関Sensor Towerが発表した8月の中国モバイルゲームパブリッシャー世界収入ランキングによると、テンセント(Tencent)が引き続き首位を維持しました。2位には点点互動(Century Games)、3位には網易(NetEase)が続き、上位の構図は盤石です。トップ100には中国企業32社がランクインし、合計売上は20.4億ドルに達し、全体の35.1%を占めています。特にテンセントは、《王者栄耀(Honor of Kings)》や新作《無畏契約:源能行動(Valorant Mobile)》などが好調で、映画とのコラボレーションを行った《和平精英(Game for Peace)》も売上を大きく伸ばしました。また、点点互動は海外向けモバイルゲームの好調により、過去最高の売上を記録しています。巨人網絡(Giant Network)も《超自然行動組》のヒットで売上を大幅に増加させました。
《鳴潮》、声優の不適切発言で配役変更へ
Kuro Gameが開発する新作オープンワールドアクションRPG《鳴潮(Wuthering Waves)》は、9月8日に公式発表を行い、女性主人公「漂泊者(女)」の中国語声優を変更すると発表しました。発表には具体的な理由は記されていませんが、報道によると、既存の声優の不適切な言動が原因とされています。既存の音声コンテンツについても、今後のバージョンアップで順次差し替えられる予定です。これは、ゲームコンテンツにおいて声優の倫理観や発言が、作品そのものの評価や運営に影響を及ぼしうるという、現代のゲーム業界におけるデリケートな側面を示しています。
まとめ:激動の中国ゲーム市場、日本への示唆
今週の中国ゲーム業界ニュースからは、市場のダイナミズムと複雑な課題が浮き彫りになりました。人気作のサービス終了や、大ヒット作でも評価が割れる現状は、プレイヤーの期待値の高さと市場競争の激しさを物語っています。特に《归龙潮》が試みる「陪伴服务器」は、ゲームのサービス終了後もプレイヤーとの関係性を維持しようとする新たな動きとして、日本のゲーム業界にとっても示唆に富むかもしれません。
一方で、miHoYoのAI関連投資や、Apple発表会での《アークナイツ:エンドフィールド》の公測発表は、中国のゲーム開発企業が技術革新とグローバル展開に意欲的に取り組んでいることを示しています。テンセントを筆頭とする中国パブリッシャーが世界市場で存在感を増す中、日本企業も中国市場のトレンドを注視し、技術とクリエイティビティの融合をさらに進める必要があるでしょう。声優の言動が作品に影響を与える問題も、コンテンツ産業全体で考慮すべき重要なリスク要因となりつつあります。
元記事: chuapp
Photo by Pavel Danilyuk on Pexels












