2026年、中国の動画プラットフォームBilibili(ビリビリ)で、未だ正式リリースされていないゲーム『奥星熱浪(O.S.T.R.)』のPVが公開からわずか3日で1000万再生を突破し、大きな話題を呼んでいます。「Bilibiliの過去10年で一番」とまで評されるこの型破りな作品は、従来のゲーム開発の常識を覆す「プレイヤー共創」というユニークなアプローチを採用。開発者は、秘密主義が一般的な業界慣習の中、最初から開発プロセスをBilibiliで公開し、ユーザーとの密接なコミュニケーションを通じてゲームを作り上げています。今回は、そんな斬新な手法で注目を集める『奥星熱浪』の制作人、賀志強(が しきょう)氏への独占インタビューから、その哲学と開発の舞台裏に迫ります。
Bilibiliを席巻した話題作『奥星熱浪』の衝撃
数日前、一本のPVが中国のインターネットを揺るがしました。その主役は、リリース前の新作ゲーム『奥星熱浪』。Bilibiliで公開された実機PVは「あまりに衝撃的」と瞬く間に拡散され、3日間で再生回数1000万回を突破。コメント欄は「弾幕」で埋め尽くされ、その熱狂ぶりは「Bilibiliの過去10年で最高」とまで称されるほどです。まだ正式サービスは始まっていませんが、すでにゲーマーたちの間で熱い視線を集めています。
この異例のヒットの背景には、開発チームの型破りな戦略がありました。業界では開発中の情報を秘匿するのが一般的ですが、『奥星熱浪』は企画段階から「公開透明」を貫いています。「我在奥星做游戏(私は奥星でゲームを作る)」と題されたBilibiliアカウントを通じて、アイデア出しから初期テストに至るまで、開発のあらゆる段階を動画で公開し、プレイヤーと積極的に交流してきたのです。
常識を覆す「プレイヤー共創」の哲学
「我在奥星做游戏」アカウントに込められた真意
インタビューに応じた制作人の賀志強氏によると、このBilibiliアカウントはプロジェクト立ち上げ当初から計画されていたとのこと。従来のゲーム開発では、制作人や企画主導で進められ、プレイヤーとのコミュニケーションはリリース直前まで限定的でした。しかし、賀氏は現在の若い世代のプレイヤーが持つ「強い創造意欲と行動力」に注目。「自分たちなりの面白いアイデアを持ち、それを表現したいという欲求」に応えるため、開発モデルの転換を決断したのです。
「ユーザーのアイデアや意見を開発プロセスに取り入れ、プレイヤーと共に製品を構築する」。これが、賀氏が目指す「共創」の具体的な形です。Bilibiliの動画アカウントは、チームのアイデアを提示し、プレイヤーの反応(好き嫌い、アイデア、要望)を直接受け取る「共創チャンネル」として機能。その議論の内容や結果が、実際にゲーム開発にフィードバックされています。
ゲームシステムと「ネタ」文化の融合
また、このオープンなコミュニケーションは、プレイヤーとの「距離を縮める」という狙いも持っています。現代の若者は、中国のネットミーム文化である「梗(Gěng、ネタ)」や「抽象表現」を好み、ユーモラスなやり取りを重視します。開発チーム自身も「おふざけ」を好む気質があったため、プレイヤーと「共通の言語」で会話することで、平等で誠実な信頼関係を築こうとしているのです。
賀氏は、ゲームの具体的な魅力についても言及しました。広大なオープンワールドとシューター要素の融合、そしてゲーム内の「ネタ」が単なる一時的な流行に終わらず、「時代遅れにならない」ような工夫が凝らされているといいます。表面上は「型破り」に見えるこのチームですが、その裏には緻密で独自のクリエイティブな思考回路が存在していることが伺えます。
チーム体制と今後の展望
開発チームは立ち上げ当初は25人という少数精鋭でしたが、現在では60人を超える規模に成長しています。そして2月5日には、いよいよ「HAKIGAO(ハキ高)テスト」が正式に開始されました。このテストを通じて、プレイヤーからのさらなるフィードバックを得て、ゲームをより完成度の高いものへと磨き上げていくことでしょう。
まとめ
『奥星熱浪』の登場は、単なる人気ゲームの誕生にとどまらず、ゲーム開発における新たな可能性を示しています。プレイヤーを開発初期から巻き込み、共にゲームを作り上げる「共創」というアプローチは、ゲーム体験をより深く、パーソナルなものへと進化させる力を秘めていると言えるでしょう。中国発のこの革新的な開発モデルは、日本のゲーム業界にも新たなインスピレーションを与え、今後のゲーム開発のあり方に一石を投じるかもしれません。『奥星熱浪』の正式リリース、そしてその後の動向に、引き続き注目が集まります。
元記事: news
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